インドネシア版20日、株式会社TGライツスタジオ(東京・渋谷)とコンパス・グラメディアグループの出版部門・M&C(インドネシア・ジャカルタ)が、日本で人気を博した漫画作品を現地の作家により完全リメイクする新ビジネス「完全リメイク(ローカリメイク)」を発表した。

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ドラゴン桜


今回発表された「完全リメイク(ローカリメイク)」とは、日本で既に発表された漫画を現地の文化や風習にあわせて、現地の漫画家が描き直し出版するというビジネスモデル。
そして、そのビジネスモデル第1作にはテレビドラマ化もされた「ドラゴン桜」(作:三田紀房/掲載誌:週刊モーニング)が決定している。

日本の漫画はかつてから海外でも出版されているが、国によっては本来左開きの習慣がある国や、描かれる内容に日本独自の習慣や風景が含まれるなどし、「現地人に理解が難しい」と判断され、その作品が日本でどれだけ人気でも出版に至らないケースや出版しても現地では受け入れられないケースが発生していた。

例えば過去には、左開きの習慣がある国では、漫画原稿をわざわざ反転させ無理に左開きに合うようにして出版されたケースがある。勿論、本来の絵柄を無理に反転させるため、絵のバランスが崩れてしまうなどの問題があった。
また、フランスで出版された「めぞん一刻」(作:高橋留美子/掲載誌:ビッグコミックスピリッツ)の場合には。登場人物達が炬燵を囲んで「たこ焼き」を食べるシーンが描かれている。そのシーンを見たフランス人は「たこ焼き=ショコラ」と勘違いし読みすすめていたという。

それが今回行われる「完全リメイク」では、新たに描き下ろされるため、どちら開きの習慣にも対応可能。そして「ドラゴン桜」を例にすると、主人公はインドネシア人の学生、東大を現地の有名大学へと設定を変えるなど、出版する国の社会背景や文化に即した作品にリメイクされるため独自の風習さえもカバーできる。

つまり、今回の「現地リメイク」ビジネスでは、絵から新たに描き起こすことにより、そうした海外出版の壁となっていた部分を取り除くことが最大の利点。

TG社によるとこの第一弾(9月中旬予定)を皮切りに、今後、ローカリメイクに適した日本国内の漫画を選定し、インドネシアにおいてリメイク作品を連続的にリリースしていくほか、インドネシアで事業を確立した後は他アジア諸国への展開も視野に入れ、事業の拡大を目指すとしている。

ただ、原作ファンは勿論海外にも大勢いるため、今回のビジネスモデルが全て受け入れられるかといえばそういう訳にもいかない。だが、原作・リメイク両方が出版されることになれば、作品のファンは倍になる可能性も秘めており、今後の展開次第ではその動向がさらに大きく注目されることになる。