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シリーズ最終目前の『ズッコケ三人組』 中年編が思いの外リアルすぎて真顔になった

小学校の図書館などで子どもの頃一度は手に取ったことのある人が多いのではないでしょうか。児童文学で戦後最大のベストセラーとされる那須正幹さん原作の『ズッコケ三人組』シリーズ。
1978年に第1巻が発売されて以降、2004年のシリーズ最終第50巻まで、約26年もの間発表され続けました。累計発行部数は2500万部超といわれています。

  • 【関連:あんまり関係ないけど同世代はこちらもどうぞ→『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の未来が来た!ドクから感動のメッセージ】

    ズッコケ中年三人組

    物語は、花山第二小の六年一組、八谷良平(ハチベエ)、山中正太郎(ハカセ)、奥田三吉(モーちゃん)の三人を中心に描いたもの。
    お化け屋敷に怪盗に探偵……毎巻「ドキドキ」「ハラハラ」、そして子ども達を「ワクワク」させるストーリーが展開されたのです。
    筆者は新巻が登場する度に図書館にかけつけ、予約待ちを申し込んだことを覚えています。

    それほど熱中した『ズッコケ三人組』。でも自分が大人になるにつれ、次第に記憶からは遠ざかってしまい一時は思い出すことすらしませんでした。それが昔を思い返す年齢になった今調べてみると?

    彼らは大人になっていたのです!しかも中年になって。
    2004年のシリーズ終了の翌年2005年より、私が知らなかっただけで続編『ズッコケ中年三人組』シリーズがスタートしていました。
    当初は『ズッコケ中年三人組』発売から10年後に『ズッコケ熟年三人組』を発売する2冊計画だったようですが、第1巻が好評だったため、年1冊のペースで毎年発売されるようになっています。なお、第1巻では彼らは40歳。発売ごとに同じく年を重ね2015年には50歳になります。

    これまで全体で60巻を発行した人気シリーズ。その「最終」といわれる『ズッコケ熟年三人組』の発売は2015年12月が予定されています。こちらは詳しく調べてみたところ、アマゾンで10月14日頃から、『ズッコケ熟年三人組』の書籍名が12月1日発売予定で予約受付を開始しているようです。

    ■人生色々ありすぎてこっちが「ズッコケ」た!!

    本書をどうしても読みたくなってしまい書店をかけずりまわり探してみたのですが、ほとんどの店では在庫がない状況。さすが人気シリーズ!!
    そこで最終手段(いや、最初にやれよという話も)、ネット通販を利用して入手いたしました。

    長い時を経て、再び『ズッコケ』を読むなんて……。と、感慨深く思っていると、読むとこんな感じに。

    【筆者の心境】

    小学生の頃の筆者:ズッコケ読後→スッキリor心にジーン

    現在の筆者:ズッコケ“中年”読後→リアルすぎてワロエない(真顔)

    いや、面白いんですけどね。児童文学のイメージが強かったので、あのキャラクター達がこんな生き方するなんてと。当時と違い本書では、すごくリアルに、人間関係も生々しく描かれています。
    これについてはネット上でも「人気キャラクターに容赦ない」「ワロエない」「リアルすぎて吹く」「違う意味で続きに興味湧くわw」「夢も希望もない」「色んな意味で問題作」などの声があげられていました。

     
    中年になった三人の様子はざっと以下の感じです。

    ▼八谷良平(ハチベエ)

    実家の八百屋を継いだ後、親の反対を押し切りコンビニエンスストアに事業転換。私生活では、同窓会で再会した安藤圭子(ケイコ)と「できちゃった結婚」を。しかし、女癖がわるくスナックのママと不倫しかけたり、さらに女子高生に痴漢したという疑惑をかけられたりと、何かと周囲には心配ばかりかけている。
    age47では面倒見のいい性格が買われ市議会議員に立候補。当選後は、町の再開発事業に取り組んでいる。age49では息子・一平も「できちゃった結婚」をした。

    ▼山中正太郎(ハカセ)

    博物館の学芸員の夢かなわず、一年の就職浪人を経て中学校の社会科教諭の職を得た。しかし、担当クラスが学級崩壊寸前になるなど何かと苦労が多い。
    私生活では赴任先で出会った女性と交際するが破局。しかも相手が不倫の恋に陥ったことを知り一時女性不信に。
    ところが、小学校の同級生である荒井陽子(ヨッコ)とage45で結婚することになり、age47では長男が誕生するなど、ようやく平凡な幸せを手に入れている。

    ▼奥田三吉(モーちゃん)

    高校卒業後、大阪の鉄鋼会社に勤務する。この頃取引先の会社にいた今の妻・満子と知り合った。満子は会社の同僚と不倫をしていたが破局。モーちゃんと結婚し、娘・佳奈をもうけた。
    仕事は順調とはいかず、鉄鋼会社が倒産。職を転々とした後、実家の母が家を建てることにともない一家全員で帰郷。インテリア会社になんとか就職することができている。

    12月に最終を迎える『ズッコケ』シリーズ。当初、あまりのリアルさに多少驚きはしましたが、読み進めるうち「那須先生にはこれを最終といわずage51、age52と続け還暦編ぐらいまで書き続けて欲しいな」と感じてしまいました。子ども時代から親しんだ作者、そして自分と同じく成長したキャラクターを読める幸せ。これはまだ続いてほしいなと。

    なお、『ズッコケ熟年三人組』では、2014年に発生した広島市の大規模土砂災害が題材になるそうです。シリーズ最終といわれる三人の活躍。往年のズッコケファンは絶対見逃しちゃいけない1冊です。

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