おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

最後のレッドブル・エアレース 千葉大会レーストラック公開

 9月7日(予選)、8日(決勝)の日程で開催されるレッドブル・エアレース2019千葉大会。レッドブル・エアレースの歴史で最後となる大会のレーストラックが公開されました。直線的に見えて、非常に忙しいレイアウトとなっています。

  •  幕張の海上に設置されるレッドブル・エアレース千葉大会のレーストラックは、海域の制限により沖合にパイロンが設置できず、直線的なレイアウトとなるのが特徴。会場の観客に沿って各ゲートが並ぶので、どの位置からも全体が見渡せ、観戦しやすくなっています。

     しかし直線的に見えても、その中でテクニカルな要素が盛り込まれるのが千葉大会のトラック。最後となる2019年のトラックは、これまでの集大成ともいえる、ゲートの間隔が詰まった非常に忙しいレイアウトとなりました。

     スタートは、最も稲毛側のゲート。そこから若干海岸側にオフセットされたゲート2を抜け、一番海岸寄りとなるゲート3のシケインへ。見せ場ともいえる、レース機がヒラリヒラリとシケインをパスする様子が間近で見られます。

     このゲート2からシケインまでの間隔は短いので、旋回を焦るとゲート2でインコレクトレベルの危険があります。スタート直後、しかもゲート2までが直線的に飛べるために、かなり厳しいターンが要求されることになるでしょう。おそらくパイロットたちは、若干沖側からスタートゲートに進入し、ゲート2までを直線的に飛ぼうとしてくるものと思われます。

     ゲート3のシケインをクリアすると、目の前に迫るフィニッシュゲートを大きく避け、沖側に設置されたシングルパイロンのゲート4へ。ここもシケインからフィニッシュゲートやゲート4までの間隔が詰まっており、かなりGをかけてのターンが要求されます。

     一番マリンスタジアム寄りのゲート5を通過すると折り返し。次のゲート6が直線的な位置にあるため、バーティカルターン(VTM)で折り返すことになります。シケインからゲート4への旋回でGをかけすぎると、運動エネルギー(速度)を失ってバーティカルターンでの失速につながる恐れも。逆にオーバーGにも注意が必要です。

     フィニッシュゲートを兼ねたゲート6からは、シケイン(ゲート7)を逆方向に折り返していきます。ゲート8から、折り返し点のゲート9までは直線的に飛べるので、ここでうまく加速しておきたいところです。

     ゲート9を通過したら、また折り返しのバーティカルターン(VTM)。ゲート8からゲート9にかけて加速して蓄えたエネルギーを、オーバーGに気をつけながら、うまく保って縦のターンをこなす必要があります。

     ゲート10から3回目のシケインとなるゲート11をクリアし、正面に見えるフィニッシュゲート(ゲート14)を目指します。稲毛側のバーティカルターンで、エネルギーをロスしないようにし、最後の区間のタイムを稼ぎたいところですね。

     計3回通過するシケインと、それを挟むように設置されたエアゲートの間隔が詰まっているので、ターンまでの余裕が少なく、非常に忙しいレイアウト。そのため、少しでもリズムが狂うとパイロンヒットや、無理なターンでGをかけすぎ、エネルギーを失ってタイムを落としてしまいます。最後の最後に、やっかいなトラックレイアウトを用意してくれましたね。

     しかも留意しなくてはいけないのが、幕張の浜に吹く「マリン風」とプロ野球ファンから呼ばれる沖からの強い風。レーストラックの横から吹き付ける格好になるので、機体を90度傾け、風を受ける面積が最大となるシケインの通過回数が多いので、パイロットは神経を使いそうです。

     レッドブル・エアレースは、今回の千葉大会で2003年から続く歴史の幕を閉じます。世界最高の操縦技術をもつパイロット14人が競う、唯一無二のモータースポーツを見られるのもこれが最後の機会。今年2勝をあげた日本の室屋選手も、現在トップから10ポイント差の年間ランキング3位につけており、最後のワールドチャンピオン獲得の可能性が残っています。

     また、2015年の初開催時には事故の影響で叶わなかった、海上自衛隊の救難飛行艇US-2のデモフライトや、海上自衛隊小月航空基地(山口県)に所在する、第201教育航空隊の教官パイロットによる広報デモンストレーションチーム「WHITE ARROWS」の関東地方初となるデモフライトも予定されています。



     もちろん、おなじみの千葉市消防局航空隊もサイドアクトに登場予定。チケットは公式サイトで発売中です。

    <出典・引用>
    レッドブル・エアレース千葉大会公式サイト
    Image:Red Bull Media House GmbH/Red Bull Content Pool

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 新たなエアレース「AIR RACE X」コンセプト発表(画像:(c) AIR RACE X)
    宇宙・航空

    初戦は2023年10月予定 エアレースパイロット室屋義秀「AIR RACE X」…

  • 弾道ミサイル対処訓練を行う護衛艦あたごの乗組員(画像:海上自衛隊)
    宇宙・航空

    弾道ミサイルに対処する日米共同訓練「レジリエント・シールド2023」

  • バッグクロージャーを鹿児島県に見立てた地図(自衛隊 鹿児島地方協力本部提供)
    宇宙・航空

    パンの袋留める「アレ」が地図に早変わり 自衛隊鹿児島地本の艦艇一般公開告知

  • ファン感謝イベントでフライトする室屋選手のレース機
    宇宙・航空

    “2022年仕様”のレース機も飛行  室屋義秀エアレースチームのファンイベント

  • 2022年のエアレース世界選手権開催断念を伝えるツイート(スクリーンショット)
    宇宙・航空

    エアレース世界選手権2022年の開催断念 新型コロナウイルスと世界経済激変で

  • 補給艦ましゅうの手前に何か写っている(蒼鉄さん提供)
    宇宙・航空

    ましゅう撮れたぁぁぁ→ボラ!?!? 明石海峡を通過する補給艦を歓迎?写真に写り込…

  • 開会式の記念写真右から3人目が海上自衛隊の野口1佐(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    日本を含む60か国が参加 中東で最大規模の海軍共同訓練始まる

  • きっちり畳まれた自衛艦のTシャツ(道本和生さん提供)
    宇宙・航空

    実は自衛官あるある? きっちり畳まれたTシャツのバウムクーヘン

  • 海上自衛隊第2航空群が公開したP-3C解体動画
    宇宙・航空

    ありがとうの感謝を込めて 海上自衛隊第2航空群が退役P-3Cの解体動画を公開

  • 航行する護衛艦あさひ(手前)(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    海上自衛隊が5か国共同演習「ANNUALEX 2021」を実施 ドイツ海軍が初参…

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)
    商品・物販, 経済

    ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」…

  • キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化
    商品・物販, 経済

    キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

  • 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言
    社会, 経済

    時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

  • ゴロっとチキンのカレーナポ
    商品・物販, 経済

    パンチョ初の人気投票1位「カレーナポ」が進化 期間限定で復刻登場

  • 山崎賢人さんと坂口憲二さん(※山崎賢人さんの崎の字は正しくは「たつさき」です)
    イベント・キャンペーン, 経済

    サントリー生ビール新CMメイキング公開 山崎賢人ら“生ひげ”姿で掛け合い

  • なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売
    商品・物販, 経済

    なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売

  • トピックス

    1. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…
    2. これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      親に怒られてしまった子どもが、その後に取る態度はさまざまです。落ち込む子もいれば、しっかり反省する子…
    3. 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      インターネットを使っていると、ふとした瞬間に現れる「警告ポップアップ」。 近ごろでは「サポート詐欺」…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト