エアバスは2020年1月23日(現地時間)、3月に打ち上げが予定されている欧州宇宙機関(ESA)の国際宇宙ステーション用実験・観測プラットホーム「バルトロメオ」に、大気中のプラズマ密度を観測するノルウェーの機器が第1号として搭載されると発表しました。

 欧州宇宙機関(ESA)の新しい実験プラットホーム「バルトロメオ」は、国際宇宙ステーションのヨーロッパ実験モジュール「コロンブス」の外部に装着される、実験・観測用のプラットホーム。ESAの発注により、エアバスが製造しました。

 名前はヨーロッパ実験モジュール「コロンブス」の由来となったイタリア出身の探検家クリストファー・コロンブスの弟、バルトロメオ(バーソロミュー)・コロンブスにちなんだものです。バルトロメオも兄クリストファーと同じく、カリブ海などを探検し、現在のドミニカ共和国の首都サントドミンゴを開拓しています。

 バルトロメオには、最大で12の実験.観測用機器が取り付けられるようになっており、交換可能な構造になっています。今回搭載機器第1号となった観測機器は、マルチニードル・ラングミュア・プローブ(m-NLP)というもの。

 m-NLPはノルウェーのオスロ大学と企業が開発した、地球大気中のプラズマ密度を観測する機器。「マルチニードル」の名の通り、複数の観測用探針(プローブ)を備えています。ちなみに名称にある「ラングミュア」とは、プラズマの命名者であるアメリカの科学者、アーヴィング・ラングミュア(1932年ノーベル化学賞)にちなむもの。

 地球大気の電離層に存在するプラズマは、まだ詳しい全貌が明らかになっていません。m-NLPは国際宇宙ステーションで、長期にわたって大気中のプラズマを観測し、プラズマの全球マップを作成するとともに、季節変動などの状態も観測します。

 バルトロメオは2020年3月、スペースXのドラゴン補給船に搭載されて打ち上げられ、ヨーロッパ実験モジュール「コロンブス」に取り付けられる予定。ノルウェーのm-NLPモジュールは、2020年10月に打ち上げが予定されているノースロップ・グラマンのシグナス補給船(NG-14)で、国際宇宙ステーションに届けられることになっています。

<出典・引用>
エアバス プレスリリース
Image:Airbus/ESA

(咲村珠樹)