おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【うちの本棚】168回 レインボー戦隊ロビン/東映コミックス

「うちの本棚」、今回ご紹介するのはモノクロアニメ時代の戦隊ヒーローの元祖『レインボー戦隊ロビン』です。

本作品には原作コミック版や秋田書店「冒険王」版などもありますが、本書はテレビ版シナリオに基づいた描き下ろし作品です。

【関連:167回 宇宙の騎士テッカマンブレードII/中原れい】

レインボー戦隊ロビン

  • 本書は月刊誌タイプの刊行物で、東映動画(現・東映アニメーション)作品のコミカライズをテーマにしている。

    刊行当時は光文社の「かっぱコミックス」(『鉄腕アトム』や『鉄人28号』)を代表として、テレビ化・アニメ化された作品の雑誌型単行本が盛んに刊行されていた流れがある。現在一般的な新書判単行本の黎明時期であり、マンガの単行本=新書判とはなっていなかった。

    このシリーズは、本書ですでに1年ほど刊行されていて、『風のフジ丸』『ハッスルパンチ』『海賊王子』等が既刊となっていて、表題作のほかに、本書では『宇宙っ子ジュン』が連載作品として掲載されているが、それ以前は劇場用長編アニメ『ガリバーの宇宙旅行』のコミカライズが連載されていたようだ。

    さて、本書の話題に戻るが、大きく表題として掲げられているのは『レインボー戦隊ロビン』だが、シリーズを通してのタイトル(雑誌名と言っていいだろう)は「東映コミックス」となる。

    表題作である『レインボー戦隊ロビン』は、テレビ版第1話をかなり忠実に再現した内容で、これはテレビ版のシナリオを元にコミカライズされていたのだと思う。細部で多少の違いはあるが、ここまで忠実にテレビ版のシナリオを再現している作品もあまり多くない。また作画面でもアニメの印象そのままのキャラクターが描かれていて、その意味でも「忠実なコミカライズ作品」と言っていいだろう。

    ちなみに、表紙イラストは桃谷範夫、コミックは岡 正司、岩井しげおが担当していた。

    ところで、モノクロアニメである『レインボー戦隊ロビン』は、ファンの間でカラー化した際の色指定について多少の議論がある。
    いまのところ、以前発売されたレーザーディスクのジャケットイラストが東映公式の色指定とされているが、モノクロ版で想像していたものとちょっと違うとか、LD以前に発売されていた徳間書店の「ロマンアルバム」、劇場映画『サイボーグ009怪獣戦争』に1シーンだけ登場した際の色指定と違う等々、ファンが納得できる「答え」が出ていないという印象がある。

    本書の表紙イラストはテレビ放映期間のものであり、本書刊行に東映動画が深く関わっていたと推測もされるので、あるいは放映当時にはこの色指定が公式だった可能性もある。

    もっともこの版もファンのイメージ通りの色指定だとは言えないが。

    書 名/レインボー戦隊ロビン 1
    著者名/
    出版元/ひかりのくに昭和出版
    判 型/B5判
    定 価/130円
    シリーズ名/東映コミックス
    初版発行日/昭和41年5月19日
    収録作品/レインボー戦隊ロビン・怪星人現る、宇宙っ子ジュン・太陽をとりもどせ、スカイベビー アッピ・せいぶげきごっこ、理科クラブ

    (文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/

    あわせて読みたい関連記事
  • ジップロックで春菊栽培! 目からウロコの「家庭菜園HACK」
    インターネット, コラム・レビュー, びっくり・驚き

    ジップロックで春菊栽培! 目からウロコの「家庭菜園HACK」

  • 「子どもの頃と大人になってからで見方が変わった映画・漫画・アニメ等の作品」まとめてみた
    アニメ/マンガ, コラム・レビュー

    「子どもの頃と大人になってからで見方が変わった作品」を募集してみた結果

  • おたくまライターが選ぶ2023年アニメ注目の作品5選 ご紹介!
    アニメ/マンガ, コラム・レビュー

    おたくまライターが選ぶ2023年アニメ注目の作品5選

  • より多くの人に楽しんでもらえるために。体験展示型コスプレ「幻想郷システム」。
    アニメ/マンガ, コラム・レビュー

    より多くの人に楽しんでもらうために 体験展示型コスプレ「幻想郷システム」

  • 「ゴムゴムの実」を再現したファンアートのデザインメロン(エトオさん提供)
    アニメ/マンガ, コラム・レビュー

    これを食べれば能力者?「ゴムゴムの実」の模様を再現したファンアートのメロン

  • 「アニメージュ」1984年2月号に掲載された「風の谷新聞」の原本
    アニメ/マンガ, コラム・レビュー

    「風の谷のナウシカ」サークルの「風の谷新聞」約40年ぶりにメンバーの元へ戻る

  • 晴海・TRC時代のコミケットアピールなど
    アニメ/マンガ, コラム・レビュー

    いくつ覚えてる?昭和~平成初期の同人誌事情

  • 推しエコノミー
    アニメ/マンガ, コラム・レビュー

    エンタメの裏側で起きている地殻変動とは? エンタメ社会学者中山淳雄さんにきく(深…

  • 【ジブリグッズラボ】千と千尋に登場する謎キャラクター 君の名は…盃さま?
    アニメ/マンガ, コラム・レビュー

    【ジブリグッズラボ】千と千尋に登場する謎キャラクター 君の名は…盃さま?

  • スタジオジブリの「劇場用卓上スタンディ」
    アニメ/マンガ, コラム・レビュー

    【ジブリグッズラボ】非売品の中でも人気が高い「劇場用卓上スタンディ」後編

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 絵柄がデフォでピンボケな……いつかやってくる未来に備える「老眼トランプ」が登場

      絵柄がデフォでピンボケな……いつかやってくる未来に備える「老眼トランプ」が登場

      どんな人間にもいつかはやってくる老眼。なんだか手元が見えづらいな……という状態を体験できるトランプが…
    2. 「呪術廻戦」酷似ゲームを巡る騒動 公式声明後にApp Storeから姿消す

      「呪術廻戦」酷似ゲームを巡る騒動 公式声明後にApp Storeから姿消す

      人気アニメ「呪術廻戦」に酷似したスマホゲーム「特級呪術師」が配信され、SNSで物議を醸しました。公式…
    3. 「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」26年2月15日放送開始 PROJECT R.E.D.第1弾

      「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」26年2月15日放送開始 PROJECT R.E.D.第1弾

      東映は12月25日、11月に発表していた新番組「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」について、202…

    編集部おすすめ

    1. 宝塚宙組公演、25日に続き28日まで中止 主要出演者の体調不良で

      宝塚宙組公演、25日に続き28日まで中止 主要出演者の体調不良で

      宝塚歌劇団は12月26日、宙組が東京宝塚劇場で上演している公演について、主要な出演者の体調不良により公演の実施が困難な状況が続いているとして…
    2. シートタイプのWebMoney

      WebMoney、事業をビットキャッシュへ承継 一部サービスは終了へ

      オンラインゲームの課金手段として知られる「WebMoney」が事業の節目を迎えます。auペイメントは2026年3月31日付でWebMoney…
    3. 「完全在宅」「未経験OK」のはずが…求人をきっかけに高額契約 消費者庁が注意喚起

      「完全在宅」「未経験OK」のはずが…求人をきっかけに高額契約 消費者庁が注意喚起

      育児などを理由に在宅で働きたいと求人サイトを利用した人が、結果的に高額な契約を結ばされるケースが相次いでいます。「完全在宅」「未経験OK」と…
    4. Netflix映画『10DANCE』

      Netflix「10DANCE」、海外SNSで広がる“困惑と魅了” 「情緒が崩壊した」人も

      Netflixで12月18日に配信が始まった映画「10DANCE」が、海外SNSで大きな反響を呼んでいます。BL作品であることに戸惑いながら…
    5. 「漆黒の指輪」は実在したものの……サン宝石、カプセルトイ「中二病が疼くリング」の“誇大表現”を謝罪

      「漆黒の指輪」は実在したものの……サン宝石、カプセルトイ「中二病が疼くリング」の“誇大表現”を謝罪

      アクセサリーや雑貨の販売で知られる「サン宝石」は12月16日、同社が展開するカプセルトイ「中二病が疼くリング」について、公式サイトおよびSN…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト