ヤマト運輸株式会社(以下:ヤマト)が『クロネコメール便』の廃止を1月22日発表した。3月31日の受付分をもって廃止される。

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『クロネコメール便』廃止

■廃止する理由―信書と知らずに送付し容疑者になるケースも

 今回廃止に至った理由として同社では、「信書」にあたると知らずに『クロネコメール便』を利用してしまい、知らぬ間に利用者が容疑者になるケースを懸念しての対応としている。
実際2007年7月からの利用者の中で、『郵便法違反容疑』で書類送検もしくは、警察から事情聴取されるケースが8件発生しているそうだ。

 さらに「信書」と「非信書」の定義は曖昧で、総務省に問い合わせても「信書か否か」即答できないケースもあるという。

▼日本郵便:「信書に該当するものを教えてください」より一部抜粋

―信書に該当するもの
・書状
・請求書の類
・会議招集通知の類
・許可書の類
・証明書の類
・ダイレクトメール(文書自体に受取人が記載されている文書/ 商品の購入等利用関係、契約関係等特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言が記載されている文章)

―信書に該当しないもの
・書籍の類
・カタログ
・小切手の類
・プリペイドカードの類
・乗車券の類
・クレジットカードの類
・会員カードの類
・ダイレクトメール(専ら街頭における配布や新聞折り込みを前提として作成されるチラシのようなもの/専ら店頭における配布を前提として作成されるパンフレットやリーフレットのようなもの)
・その他(説明書の類、求人票、パスポートなど)

■ヤマトの戦い

 ヤマトでは以前から、信書・非信書の区別が利用者につきづらい問題に取り組み、総務省に対して「見た目で判断できる『外形基準』の導入」を提案しているそうだが、その度に見送られているという。

 他にもヤマトはこれまで、民間はまだどこも参入できていない『一般信書事業』(以下で説明)の認可基準が、「既得権益の保護として機能し、事業者間の競争を通じたサービス向上や利用者の便益を害する弊害を生む原因」と指摘し、こちらも散々撤廃及び見直しを求めている。

■民間参入可能なのにどこも参入できていない『一般信書事業』

 郵便法では日本郵便株式会社及び総務大臣の許可を受けた信書便事業者に限り、手紙やはがきなどの『信書』の送達が認められている。
2003年の信書便法施行により、民間業者もこれに参入することが可能となっているが、『一般信書事業』への参入要件が厳しく、前述の通り民間からはまだどこも参入できていない

 ちなみにバイク便などは『特定信書便事業』にあたり、こちらは許認可の基準が比較的ゆるやかなので、ご存じの通り参入企業はいくつもある。

信書事業総務省ページ

■『クロネコメール便』代替サービス

 代替サービスについては、法人で「事前に内容物の種類を確認できるカタログ、パンフレットなどの“非信書”に限定」し、運賃体系も見直した上で4月1日から『クロネコDM便』がスタートするそうだ。
また「小さな荷物」のやりとりに『クロネコメール便』を利用していた、個人・法人向けには同じく4月1日から「小さな荷物」を手軽に利用できるサービス拡充が予定されている。