『怪獣酒場』、そこはウルトラ戦士に倒された怪獣たちが集う憩いの場。だったのだけれど、ウルトラ戦士の圧力のため惜しくも2015年3月31日で閉店。しかし、バルタン店長はじめ怪獣たちは装いも新たに『帰ってきた怪獣酒場』を再開させたのだった!

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入り口

 今回は店名からも推察できるように第二次ウルトラブームの作品を中心にした内装となっていて、展示されている怪獣フィギュアも『帰ってきたウルトラマン』から『ウルトラマンレオ』に登場した怪獣がメインとなっている。

 4月15日の営業再開を前に、バルタン店長がマスコミ各社を集め『帰ってきた 怪獣酒場』の魅力を知らしめるというので、ウルトラ怪獣ファンでもあるワタクシも行ってみました。

ジャミラの真実の口

 入り口にはキングジョーが立ち、『ジャミラの真実の口』も健在。まずはここでウルトラ戦士や防衛軍関係者でないことを確認してからの入店となります。

キングジョー 足跡

 通路の床には怪獣の足跡もあり、確かにここが怪獣たちの憩いの場であることが推察されます。そして各エリアごとに展示されているパネルやテーブル上の図版が違い、一度の入店ではその魅力をすべて味わうのは難しそう。もちろんそれぞれのエリアでも『怪獣酒場』の楽しさは充分に感じられますよ。

バルタン店長

 今回はバルタン店長から『怪獣酒場』再開のご挨拶もあり、マスコミ各社を前に堂々としたスピーチをされていました。え、ええ、確かに店長は例の「フォッフォッフォッ」だけですけどね。うん。アシスタントのおねえさんが日本語に訳してくれていました。

「『怪獣酒場』は、ヒーローたちに時に健闘し、ときにこてんぱんにされるウルトラ怪獣たちが、夜な夜な憂さを晴らし、気力を養って、明日への新たな悪だくみをするところ。世を忍んで営業してきたが、期間限定で一部の時間帯を地球人にむけて開放していました。ヒーローに見つかって、閉店の危機に見舞われるも、地球人たちの熱狂的な支持により、再開放決定! それが『帰ってきた怪獣酒場』です。ウルトラ怪獣たちが主役の居酒屋『帰ってきた怪獣酒場』。怪獣たちが贈る『永遠の少年たち』のオアシスが、待望の常設店舗としてオープンします」

バルタン、グドン、ツインテール グドンのおすすめ ツインテールフライ

 そしてバルタン店長と共に登場したのが『帰ってきたウルトラマン』で印象的だった、グドンとツインテール。なんと、グドンはその場でツインテールを激しく鞭打ち、捕れたばかりのツインテールをこのあと料理いたします、とアピール。メニューの試食には『グドンのおすすめ ツインテールフライ』も出されました。

店長挨拶

 店内をぐるっと見回してみると、カウンター席の前には怪獣フィギュアが並び、ついつい登場話について会話が弾みそう。

カウンター席
カウンター

 カップル向けのふたり席は、キングジョー、ゼットン、ベムスター、ベロクロン、アストロモンスをイメージしたものとなっています。

カップル向けのふたり席

 4人以上の席は『光の国/地球 戦力研究所』と『宇宙人エリア』に分かれていて、それぞれパネルやフィギュア、各種小物が展示されています。

ボックス
ボックス
ボックス3 ボックス4

 店の奥には個室もあり、『作戦計画室』となっています。クール星人やナースの大きなフィギュアが天井に。ひと部屋には密会中の宇宙人がいます(現在はフック星人とスチール星人ですが、星人は変更もされます)。

座敷

 他にも大人数向けの『怪獣無法地帯』という座敷エリアもあり、ここのテーブルには怪獣解剖図が配されていました。

座敷2

 そして今回新たに設置されたのが『要望の部屋(ダーク・ゾーン)』という小部屋。そう、ペガッサ星人がいるんです。内装はアンヌ隊員の部屋を再現しています。しかし、この部屋を利用できるのは誕生月の人だけ! 特別な部屋になっているのです。そして部屋の名称にもある通り「要望」を書くというイベント付き。

要望の部屋 要望の部屋1

 それにしてもこの興奮はなんでしょうか。やはりドラマのシーンを再現してあるというのはわくわく感が違いますね。そしてなんと、今回はスペシャルゲストとして、ひし美ゆり子さんが登場! 隊員服ではありませんでしたが、ペガッサ星人と共演を果たしてくれました! 鏡の前で髪をとかすあのシーンも再現していただいて、感動するばかりでなにも言葉が出てきません。ちなみにひし美さんの要望は、「老後はペガッサくんと居たい」というものでした。もう地球の男は飽きたそうです(笑)。

ひし美さん ひし美さん

 ウルトラ警備隊のアンヌ隊員は『帰ってきた怪獣酒場』に入店することはできませんが、今回はバルタン店長が、アンヌ隊員によく似ている女優さんということで入店を許可したということです。
ひし美さんも現在、女優業と同時に自分のお店でウルトラ関係のイベントを開いているそうですが『帰ってきた怪獣酒場』の見事なまでの内装と各種小物に感動していらっしゃいました。

 店内をぐるっと見て思ったのは、ワタクシのような怪獣好きにはたまらないお店ということ! けれど逆に言えばマニアック過ぎて一般の人には入店しづらいのでは…とも。聞いてみると、来店するのは『ウルトラシリーズ』をリアルタイムで見ていた中高年の、「かつての少年たち」がメインではあるものの、女性や若い人たちからも支持されているとのこと。幅広い老若男女から好評を得ているようです。

 店内の内装や小物、演出も素晴らしいのですが、オリジナルグッズにもつい目を奪われてしまいます。
DVDやアイマスク、文房具類といった市販されているグッズに加えて『帰ってきた怪獣酒場』限定商品として、てぬぐいや湯飲み、『怪獣珍味』などがズラリ。『怪獣珍味』はこれまで『ペスターのえんがわ揚げ』『ゴモラの皮』『グビラのひれ』が販売されていましたが、このたび『タッコングの皮』が新登場。またてぬぐいにも『怪獣&宇宙人2』が加わり、さらにオリジナルTシャツ、バルタンのハサミ小鉢、4種類の小皿が今回新しくグッズとして販売されました。グッズコーナーを見ているとつい散財してしまいそうで怖くなります(笑)。

グッズ
グッズ
グッズ

 また、入店サービスとして小皿(箸置き)がプレゼントされるとのこと。これは8種類があり、どれが貰えるかはその時のお楽しみとなっています。

小皿(箸置き)

 料理メニューも新しく『大坂城の悔恨~自虐のローストビーフ』という、ゴモラの尻尾を模したものと、『タッコングのオススメ! オイルと蛸のハーモニー』という、タッコングが大好きなオイルと自身に似ている蛸を使ったメニューが登場。試食させていただきましたが、どちらも美味! 人気の『ツインテールフライ』と一緒にご注文ください。

大坂城の悔恨~自虐のローストビーフ
タッコングのオススメ! オイルと蛸のハーモニー

 居酒屋ですからお酒にも注目。
怪獣をイメージした焼酎のシリーズ(ケムール人やダダ、キングジョーなど)のほか、オリジナルのカクテルなども充実しています。
ついつい内装や小物に目を奪われてしまいますが、お料理や飲み物も充分に楽しめるということは強調しておいていいと思います! やっぱり飲食店ですからね、ここは大事でしょう。

カクテル他

 ここ『帰ってきた怪獣酒場』に一歩足を踏み入れれば、そこはもう『ウルトラゾーン』ともいうべき空間で、目で楽しみ、料理やお酒を味わい、懐かしい話で盛り上がれば、あっというまに時間も過ぎてしまうでしょう。
ワタクシのような怪獣好きであれば「もう帰りたくない!」という気分にさえなってしまいます。いえ、たとえ怪獣はそれほど詳しくないという方でも、例えば置いてあるフィギュアについてスタッフに聞けば、名前や登場したシリーズ、登場話などについて教えてくれますよ。「ええと、これなんだっけ」なんてど忘れしても安心です(笑)。もちろん怪獣マニアではない人だって、子供の頃に見て夢中になっていたのであれば、一気に子供時代に戻って楽しく過ごせること請け合い。日常から離れてひとときの夢を見るのは怪獣たちばかりではない、ということですね。『帰ってきた怪獣酒場』という夢の世界を満喫できるでしょう。

 店内のパネルやフィギュアを見ていると、数々のシーンが思い出され、改めて『ウルトラシリーズ』を観てみたくなったりもします。店内に流れるBGMも『ウルトラシリーズ』のそれですから、音楽からも記憶が呼び覚まされます。頭の中はどっぷりウルトラ怪獣が支配しているような状態になります。バルタンが、ゴモラが、ツインテールが記憶の中から蘇えってきます。
きっと『帰ってきた怪獣酒場』を訪れる人は、みんな同じような感覚を楽しんでいることでしょう。テレビの中で大暴れしていた怪獣たちとの精神的な同窓会という感じもします。懐かしい顔ぶれが、昔のままにいまも心の中にいるのですから。

 『帰ってきた怪獣酒場』は川崎にあります。JRの駅からは徒歩1分。東口アゼリア26番出口にあるバルタン星人をあしらった看板が目印。営業時間は16時半~24時となっています。

 …取材を終えて帰宅し、『帰ってきた怪獣酒場』を思い出しながらお酒を飲むワタクシの目の前には、『怪獣珍味』の『タッコングの皮』が。むむむ…美味しいではないか! これをつまみに飲みながら『ウルトラシリーズ』のDVDを観れば、また心は少年時代に逆戻り。こ、これは怪獣好きにはマタタビのようなものかもしれません。
もう一度、いや何度でも行きたくなる『帰ってきた怪獣酒場』なのでした。

グッズ

(C)円谷プロ

(取材:猫目ユウ)