イギリス王室のキャサリン妃が2日、産後約9時間半でスピード退院したことについて、ネットでこんな意見が注目されていました。
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日本で行われる出産では一般的に5日程度母子ともに入院します。
ところが、今回キャサリン妃がわずか9時間半で退院したという報道から、お産入院について「日本は過保護」「日本の入院期間は長すぎ」という声があげられているのです。
■日本のお産入院は長すぎ?そして過保護?
一部報道では、海外の出産事情についてこうして短期退院する国が多いとされています。
ただ、国によって事情は様々で、おとなり韓国の場合には産後任意で利用できる「産後ケア(産後調理院)」という施設で約2週間ほどすごすケースが増えているようです。女優の小雪さんが第2子出産の折に利用して日本でも話題になりましたよね。話題になった当時は「日本でもこういう施設が欲しい」という声が多く上げられていました。
アメリカの場合には、出産をカバーできる保険に入っていない場合、24時間入院の自然分娩で100万円程度の費用がかかるといわれています。また保険に入っていたとしても保険の内容にもよりますがカバーできるのは大体自然分娩で48時間、帝王切開で96時間。そのため保険適用内で退院する人が多いそうです。
今回キャサリン妃がスピード退院したイギリスのお国事情はというと、当日もしくは翌日が一般的なようす。
背景には、イギリスの国営保健サービス(National Health Service、NHS)が国費で運営されているため利用は原則無料なかわりに入院を短期に抑える目的と、自宅でリラックスして過ごさせる目的があるようです。
なお、入院しない代わりに専門スタッフによる細やかな自宅訪問や、夫の産後休暇取得促進(大体2週間は取得するようです)などもあり、産後ケアもしっかりしつつ自宅でゆっくり過ごせる仕組みが作られているようですね。
キャサリン妃は今回プライベート医療とよばれる治療費全額患者負担の病院を利用していますが、国民と同じ暮らしを心がけているためあえて日帰り出産を望んだと言われています。
そして日本では、自然分娩の場合一般的に5日程度入院し、その間母親は体を癒やし、子供は医療スタッフ24時間観察のもと、誕生後の経過が見守られます。またお産費用については、出産育児一時金で42万受け取れるので、よほどセレブな個室を使用しない限りは、病院によりますが実際の支出は3~5万ほどしかかかりません。
海外では自宅でリラックスしながら夫婦協力しあい産後過ごすスタイル、日本ではプロに任せ母も子もゆったり過ごすスタイル。
どちらが良いとは言えませんが、結果どちらも産後「体を休める」ことには変わりありません。そのため日本のお産が「過保護すぎる」というわけではなさそうですね。
■早期退院を可能にする理由は「無痛分娩」?
今回の意見の中ではこんなものも目につきました。「海外では無痛分娩が主流だから、体力消耗が少なく早期退院を可能にしている」という意見。
確かに無痛分娩の場合には陣痛途中から痛みが軽減されるため、体の負担はかなり軽減されるようです。
ただ陣痛自体が完全になくなるわけではなく、経験した筆者の知人からは「子宮口がある程度開くまでは普通に陣痛を我慢する」という話を聞いたことがあります。また別の人からも「“無痛分娩”という言葉は完全に痛みがないように誤解されるけど、実際は陣痛を経験するし完全に痛みを経験しない訳ではない」という似た意見を聞いたことがあります。
お産する瞬間についてはイキミをコントロールしやすいので、人によっては切開する必要がなかったり、切開しても局部麻酔をする必要がないなどあるようです。
ちなみに筆者は自然分娩で2人出産しています。無痛分娩を経験していないので、何とも言えませんが、産後どちらにせよ体に負担は多少残ると思うので、いきなり自宅に帰るよりは病院でゆっくりできる方が良い気がします。産後の子宮収縮の痛み(後陣痛)なんかもありますしね。
それに、産後三か月は例え夫の協力があったとしてもどうせゆっくり寝る暇はないわけですから。ゆっくり寝てても数時間毎にオッパイが張って痛みで起きたりするのです。子供飲んで貰わないと痛くて痛くて。
(文:栗田まり子)