おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

11月29日はダンスの日。高校生・大学生にとってダンスはコミュニケーションツール?

update:

 11月29日は、1883(明治16)年11月29日に鹿鳴館が開館し、最初の舞踏会が開かれたことを記念した「ダンスの日」。そこで「ポカリダンス」をCM展開している大塚製薬がダンスに関する世代別調査を行ったところ、興味深い結果が明らかになりました。

  •  この調査はインターネット上で、2017年11月17日〜11月19日に全国の高校生、大学生、20代、30代、40代の男女各100人(男女50人ずつ)、合計500人を対象に行われました。

     結果を見てみると、全体の約7割でなんらかの「ダンス経験あり」。40代では約半数(51%)ですが、高校生(86%)と大学生(85%)ではほとんどが経験しています。2012年から中学の体育で、男女ともダンスが必修化されたのが影響しているようですね。それ以前は高校の体育で女子のみ「創作ダンス」というものが行われたりしていたので、40代の51%というのは、多くが女性の可能性があります。

     ダンスに対する意識にも世代差があります。「踊ることに恥ずかしさを感じる」というのはどの世代も約7割を占めているのですが、若い世代ほど「みんなで踊るのは楽しい」「踊ること自体が好き」と答えています。何か矛盾しているような気もしますが、このところ幅広い地域の授業や体育祭で取り入れられている「よさこい」の経験などを通して「みんなで」踊ること自体は好きだということかもしれません。

     また、「踊るところを人に見せるのが好き」という質問については、「好き」と回答したのは30代が16%、40代が9%と低いのに対し、高校生では31%が答えています。同時にダンス動画についても、みること自体は30代以下で同じくらいの割合が「楽しい」と答えているものの、ダンス動画を撮ることに関して「楽しい」と答えているのは高校生が35%と突出しています。

     そしてダンス経験があると答えた360人に絞り、ダンス動画撮影経験の有無を聞いてみると、40代が7.8%、30代20.3%、20代25.7%に対し、高校生の33%、大学生の41%が「経験あり」と答えています。「経験はないが今後してみたい」と答えた割合が高校生で24.4%、大学生で17.6%となっているので、大学生は高校時代に経験した、ということかもしれませんね。撮影した動画をネットに投稿した割合は10%前後と高くはなく、多くは自分だけ(22%)や友達や知人に見せた(56%)ケースが多いようです。見せた動機についても「思い出に残したいから」が57.7%ともっとも多く、ついで「ネタとして面白いから」が38.5%、「復習して上達するため」が35.9%、「友達や友人の反応をしりたいから」が17.9%となっており、ダンス動画がコミュニケーションツールとなっていることが判ります。


     ダンス動画が多くの人に知られるようになったきっかけの一つとして、2006年のテレビアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』ED「ハレ晴レユカイ」の「踊ってみた」動画投稿ブームが思い出されます。2007年に撮影された、秋葉原の歩行者天国で大勢のコスプレイヤーが一斉に踊る動画は特に有名です。そのあたりから動画投稿ブームに拍車がかかり、10年あまりを経て、ダンス動画を撮って楽しむということが若い世代に一般化していったと考えれば、ダンス動画撮影経験が40代のみ10%未満と少ないことも説明がつきそうです。

     この結果について、全国中高生ダンス部応援マガジン「ダンスク!」やWEBメディア「DANSTREET」を運営する石原久佳さんは次のように語っています。

     「今の中高生は2000年以降に生まれた世代ですが、彼らは、生まれたときからダンスミュージックやヒップホップを聴いているし、アニメやテレビ番組でも、主人公たちがみんなで踊るシーンがエンディングになっていたり、目にするものも耳にするものもダンスとつながっています。生まれたときからダンスミュージックを聴き、アニメのダンスを観て、ダンスへの抵抗感がなく、キッズダンスブーム真っただ中で学校でもダンスを習った今の中高生は、いわば『キッズダンス黄金世代』といえるでしょう」

     10〜20代の若者の実態にとことん迫り、若者と社会のより良い関係構築を目指す「電通若者研究部」代表の吉田将英さんは、今の中高生のダンスとSNSの関係について、次のように語ります。

     「今のこどもたちは、義務教育でダンスが必修化されたことで、ダンスで感情表現・自己表現をすることへの心理的なハードルが下げられ、さらに、SNSや動画共有メディアなどのデジタルツールの発達により、自分の感情や表現を自己発信することへの物理的なハードルが下げられたからではないか、と考えられます」

     ダンスが子供の頃から身近にある上、デジタルネイティブであり、SNSを友達とのコミュニケーションツールとして使っている高校生・大学生にとって、ダンス動画を撮影したりするのは自然なことなのかもしれませんね。筆者の場合は、クラブでステップを覚えて……という世代なので、意識の違いに驚くばかり、という調査結果でした。

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 3Dアクションアドベンチャーゲーム「Calorie Mate FOR GAME CREATORS - JELLY MISSION -」
    ゲーム, ニュース・話題

    カロリーメイト、続編3Dアクション「JELLY MISSION」をSteamで配…

  • 「文藝きっかわこうじ」表紙
    イベント・キャンペーン, 経済

    吉川晃司60歳記念「文藝きっかわこうじ」発行 UL・OSとコラボキャンペーン開始…

  • 暑さを気にせず、室内でできるスポーツや運動があれば子どもに遊んで欲しいと思う
    企業・サービス, 経済

    猛暑で外遊び減少、親の9割が「室内運動」に関心 キリンが実態調査

  • 初めて父になる「パパ0年生」の本音 UL・OS、父の日に向け応援動画を公開
    イベント・キャンペーン, 経済

    初めて父になる「パパ0年生」の本音 UL・OS、父の日に向け応援動画を公開

  • 10代はAIに恋愛相談も セイコー「時間白書」が示す“今”の価値観
    社会, 経済

    10代はAIに恋愛相談も セイコー「時間白書」が示す“今”の価値観

  • 生きがいが「ない」人の8割、実は日常に幸せ感じていた ソニー生命調査
    社会, 経済

    生きがいが「ない」人の8割、実は日常に幸せ感じていた ソニー生命調査

  • 多部未華子、人生初のセーフティバントに挑戦 マクドナルド「セット500」の魅力を爽快な笑顔で発信
    イベント・キャンペーン, 経済

    多部未華子、人生初のセーフティバントに挑戦 マクドナルド「セット500」の魅力を…

  • 「広い意味での『学び』に取り組んでいますか(年代別)」
    社会, 経済

    【教育トレンド2025】社会人の6割超が“学ばない”現実 子どもに礼儀重視も、A…

  • 将来に必要なお金について、どのようなときに考えますか?
    社会, 経済

    社会人5年目以下に聞いたお金のホンネ 実家暮らしは守り、一人暮らしは攻めの資産戦…

  • セルフケアに積極的な新社会人はワークライフバランス重視の“二刀流”!?第一三共ヘルスケアの調査で明らかに
    社会, 経済

    セルフケアに積極的な新社会人はワークライフバランス重視の“二刀流”!?第一三共ヘ…

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • Discordの発表
    インターネット, 社会・物議

    「Discord」で外部委託先に不正アクセス 一部ユーザーの個人情報が影響か

  • 江口拓也さん&鬼頭明里さん、“声で伝える広報”第2章へ ENEOS「#こえ報部」新企画が始動
    イベント・キャンペーン, 経済

    江口拓也さん&鬼頭明里さん、“声で伝える広報”第2章へ ENEOS「#こえ報部」…

  • 旨辛ユッケジャンクッパ風スープ
    商品・物販

    ダイドードリンコ、韓国の味わいを缶スープで再現 「旨辛ユッケジャンクッパ風スープ…

  • 新作ゲーム「裏バイト:逃亡禁止 たつ子の謎」
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「裏バイト:逃亡禁止」の恐怖をゲームで 小学館がマダミス「たつ子の謎」を11月配…

  • 新物板うに手巻きセット(5貫分)
    商品・物販, 経済

    くら寿司、旬の「新物うに」登場 板うに手巻きセットや北海たこうにも販売

  • 無印良品、大盛りカレーを拡充 和出汁仕立てと香味野菜デミグラス登場
    商品・物販, 経済

    無印良品、大盛りカレーを拡充 和出汁仕立てと香味野菜デミグラス登場

  • トピックス

    1. 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      インターネットを使っていると、ふとした瞬間に現れる「警告ポップアップ」。 近ごろでは「サポート詐欺」…
    2. 母に何気なく70年万博の話をしたら……“55年前の資料”にテンション爆上がり

      母に何気なく70年万博の話をしたら……“55年前の資料”にテンション爆上がり

      大阪・関西万博をきっかけに、55年前の1970年の大阪万博(以下、70年万博)に興味を抱くようになっ…
    3. ハチワレ特製「暗殺者のチャルメラ」を再現 トマトと粉チーズでインスタントラーメンが大変身

      ハチワレ特製「暗殺者のチャルメラ」を再現 トマトと粉チーズでインスタントラーメンが大変身

      10月1日にXで公開された漫画「ちいかわ」にて、ハチワレがちいかわに振る舞った“暗殺者のチャルメラ”…

    編集部おすすめ

    1. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    2. フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      「みんなの75点より、誰かの120点」を合言葉にドン・キホーテが展開している偏愛メシシリーズ。10月1日に「本当にこの組み合わせが好きな人が…
    3. 将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      オンライン将棋対局サービス「将棋倶楽部24」が、2025年12月31日をもって終了することが発表された。運営する席主の久米宏氏が10月1日付…
    4. pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

      pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

      アパレルブランド「pium」が9月30日、店舗スタッフの接客に対する多数の指摘や批判を受け、公式Xにて謝罪文を公開しました。併せて再発防止策…
    5. 「ビー・バップ」クラファン始動、清水で“高校与太郎祭”実現へ 返礼に「鉄橋ダイブ」関連も

      「ビー・バップ」クラファン始動、清水で“高校与太郎祭”実現へ 返礼に「鉄橋ダイブ」関連も

      映画「ビー・バップ・ハイスクール」のロケ地として知られる静岡市清水区で、作品ゆかりの企画を集めた大型オフラインイベント「清水 ビー・バップ・…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト