赤ちゃん連れでの外出。出産、育児と慌ただしい時を経て、ようやく訪れる我が子との外出は、子にとっては新しい世界を知る機会となり、母親にとってはほんの少しの気分転換の時間。ゆったり歩く散歩道に、日々の生活の上でのお買い物。そんな時に、こんな声をかけられることがあります。

 「赤ちゃん抱っこさせてくれない?」

 声をかけてくる人の多くは女性で、「久し振りに赤ちゃんを抱っこしてみたい」「赤ちゃんが可愛いから」という悪意のない理由からがほとんど。一昔前には当たり前に行われたいた見知らぬ人とのコミュニケーションですが、近頃では子供に対する物騒な事件が多く、言われた側の親からしてみるとためらう事は少なくありません。

 そんな時にどうすれば相手を傷つけず、また警戒心も悟られずに断りを入れることができるでしょうか?タイミング良く子供が泣き出してくれれば相手が遠慮することも考えられますが、そうでない場合には少し困ってしまいます。

 強気の人ならハッキリ断りを入れることができるでしょうが、そうでない人の場合には、ハッキリ「嫌」と言いづらいもの。そんな「ハッキリ言いにくい派」の人でも言いやすい言葉を、看護師でありママブロガーとしても活躍するmomocoさんがネットで紹介し注目されていました。

 その言葉とは
「ごめんなさい、今う◯ちしちゃってるんです」。

 たしかにこれなら相手に警戒を知られず、相手も抱っこしにくい状況。「う◯ち」だから嫌がられるというわけではなく、おむつ替えの必要に迫られている状況という相手の忙しさを想像して、相手は必ず遠慮してくれます。またそこで引かない人の場合には、逆に不信感を強める理由になります。ハッキリ断りやすくなるのではないでしょうか。

■何か起きてからでは遅い……でも穏便にしたい

 この言葉。momocoさん自身が「ハッキリ言えないタイプ」だからこそ、悩みに悩んで考え出した言葉だそうです。お子さんが生後五か月の頃、外出先でこういう場面に遭遇したことがあり、その際は断り切れずに抱っこさせてしまいました。結果、何事も起きなかったそうですが、預けてしまった自分自身を激しく責めたといいます。

 子供を抱かせるということは、一瞬でもその人に子供の命を預けるということ。見知らぬ人に預けてしまったことに、深い後悔が残りました。また、2010年に起きた事件も頭をよぎったといいます。

 これは当時20代の女が「可愛いですね、抱っこさせてもらえますか」と赤ちゃん連れの親子に声をかけ、抱っこした赤ちゃんの足を次々と骨折させた事件。当時事件は連日大きく報道され、子を持つ親たちに大きな衝撃をあたえました。

 momocoさんはこの反省をかかえ、夫に昼間の出来事として報告。すると夫からこんな提案をされました。

 「今後はなんて言って断るか先に考えておいたら?」

 そこで二人で様々な言葉を出し合い、悩んだ結果に出てきたのが「う◯ち」にかけた言葉。あらかじめ断る言葉を準備しておいたわけです。

 それからしばらくして、再び機会が訪れました。相手は「何か月ですか?」と声をかけて来たのち、雑談を少しした上で「抱っこさせて」と言ってきたそうです。相手の方は、「普通の子供好き」に見えたそうですが、でもやはりもう後悔はしたくない。夫と考えた言葉を伝えたところ、相手は事情をよみとり即退散。momoさんの気持ちも少し楽になったそうです。

■ほんのちょっとした「処世術」

 物事を伝えるハッキリ伝えることは大切ですが、今回のような相手に悪意がないと分かっている場合には、ハッキリ言えないと感じる人はmomocoさんのように沢山存在します。

 そんな時はどうしたらいいのか……今回のようにあらかじめ断る言葉を用意しておくだけで、言う側の自分にとってはずっと楽になるはずです。すでに心構えがあるわけですから。

 人によっては「こと子供の事なので遠慮するな」「そんな弱気でどうする!」と感じるかもしれません。でも子供を育てるということは、地域コミュニティの中でも育てて貰うという事でもあるわけで、同じ地域に住まう以上、いつどこでその方と何かのきっかけで再び出会うことがあるかもしれません。周囲との波風は避けたいと思う母親は珍しくないのです。

 なお、この時の心境や、こういう考えに至ったmomocoさんの考えが個人ブログ「モモブロ」に「知らない人に『赤ちゃん抱っこさせて』と言われた時の対処法」として掲載されています。詳しい考えや思いを知りたい方は、是非こちらも一読してみてください。 

<記事化協力>
momocoさん(Twitter:@nanaco08680521、モモブロ:momo-blog.com/

(宮崎美和子)