おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

「食べるの技術いります」「デザインダメ」など自虐盛り込んだ福井「生羽二重餅」のパッケージがカオス

 やわらかな半透明の白餅が箱の端までビッシリと敷き詰められた「生羽二重餅」(税込750円)。餅粉を蒸し、砂糖・水飴を加えて練り上げた福井名産の餅菓子として有名な羽二重餅ですが、この生羽二重餅は、どうやら様子がおかしい……。通常打ち粉がつけてあり食べやすいサイズにカットされているものが多い中、その逆をいく発想から生まれた新食感の羽二重餅。

  •  餅の存在感もさることながら、それ以上にパッケージもTwitterやインスタグラムで話題を呼んでいます。投稿には「買った羽二重餅の情報量が多すぎる」「初めて見た斬新なお菓子」「めっちゃ食べにくいけどめっちゃおいしい」など様々な声が寄せられていました。その中には、情報量の多さと食べづらさに思わず動画を撮ってアップする人まで!

     こちらの生羽二重餅を製造・販売している福井県福井市松本に本社を構えるマエダセイカさん。福井北インターより車で2分のところにある吉田郡永平寺町の工場・直売所「羽二重餅の古里」では、10種類以上の羽二重餅の試食や工場見学も行っているそうです。この同町にある曹洞宗の寺院「大本山永平寺」で行われる大きな行事ごとの際にマエダセイカさんの羽二重餅が使用されるほど地元で愛されているお菓子とか。

     特に話題になっているのが「くるみ入り生羽二重餅」(税込860円)のパッケージ。通常版の「生羽二重餅」もそこそこ文字量が多いのですが、表面の空いた余白に「これでもか!」というほど美味しく食べるためのコツや注意点がビッシリ記されています。

     「お早めにお召し上がりください。(短命です)」「開封後は冷凍保存がおすすめです。(冬眠します)」など、まるで生き物の取扱説明書かと思うような細かい要望が!

     さらに、パッケージの側面には「お詫び インスタ映えを意識するあまり“盛り”過ぎてしまった事を深くおわびいたします」「#ぐちゃぐちゃ」「#デザインダメ」など自虐ともとれる言葉が並びます。仕舞には「これ食べるの技術いります。会社には持って行けないかな」と辛らつな投稿者さんからの声まで余すことなく掲載。

     これは果たしてインスタ映えなのか? と疑問に思ってしまいますが……。マエダセイカさん曰く「パッケージに食べづらい、短命などが書かれた商品を企画し、試作の段階でいろんな方に食べていただき、その時の声をそのままのせました。その方が一番わかりやすいため。パッケージだけでも家族、友達との話題やコミュニケーションになる。批判的な声など賛否両論いろんな意見があっていい」とのこと。

    「くるみ入り生羽二重餅」(税込860円)

     「生羽二重餅」は2017年に販売され、製法・配合に関してはマル秘で現在10項目以上の特許を申請中だそうです。マエダセイカさん曰く「もちもち感とプレミアムな甘さ・食感を作り上げました。何も手をくわえない、何も加工しないそのままをお届けしているので日持ちもせず、商品も水平を保っていないとダメというとても扱いにくい商品ですが、それゆえに大切に店の者もお客様も扱っていただいており、より商品の魅力もアップしていると思います」とのこと。因みにどのぐらいまで日持ちするのか聞いてみたところ、実験では冷凍で1年は持ったようですが、一般的には、冷凍で3か月ぐらいまでだそうです。

     「生羽二重餅」が誕生したきっかけを伺ったところ、福井県ではもともと冬に一家団らんで水ようかんを分け合って食べる風習があり、さらに菓子の中でも特に土産菓子は、大切な家族、友人、会社の同僚などに旅の記念として持ち帰り、みんなで寄り合って「あーでもない、こーでもない」と工夫しながら食べることで心の距離を縮めてくれ、大切な絆をより強くする手助をしてくれると思ったからとのこと。

     県外の人は勿論、土産を買うつもりではなかったという県内の方も販売当初から「生羽二重餅」を購入されているそうです。たまたまこの商品を見かけ「あまりにも斬新で変わったお菓子を発見した」という感覚で、自分用や福井の自宅用に購入される方もいるとか。

     サービスエリアでは、2018年4月~7月の4か月で4000箱以上販売したという「生羽二重餅」。マエダセイカさんは最後に「3.11の大震災など大きな災害が近年続いている中、日本人は、忘れかけていた人と人とのつながりの大切さを再認識してきました。とても食べづらい生羽二重餅をみんなでわけあい食べることで、お土産菓子の本当の役割である人と人のつながりを深め、家族や友人との心の距離を近づけ、人が集い語り合う場をつくる事ができると思います。ソースをかけて食べるソースカツ丼のようなみんなが親しめ50年後も100年後も残る文化になり、日常的に食べて頂けるようになっていくといいと願います」と語って下さいました。

    <取材協力>
    マエダセイカ株式会社(HP:http://www.maedaseika.co.jp/

    <記事化協力>
    アレルヤ 【Allelujah】さん(@top__6525)

    (黒田芽以)

    あわせて読みたい関連記事
  • 画像提供:tomosakiさん(@photono_gen)
    インターネット, びっくり・驚き

    雪に覆われた恐竜のモニュメント 福井駅が完全に「氷河期」

  • インターネット, びっくり・驚き

    これを着込めばマルっと解決 「オーロラリフレクターパーカー」は雪模様でも光を差し…

  • アニメ/マンガ, ニュース・話題

    まさにソードアート 冬の敦賀に舞い降りた「青薔薇の剣」

  • 社会, 経済

    地方をデザインプロデュース! 福井県あわら市から生まれた「シオリボン」が可愛い

  • 商品・物販, 経済

    ケイン・コスギが謎肉頭で大量増殖 カップヌードル新CMがカオス

  • インターネット, おもしろ

    ディストピア感…助けを求めている?悲哀のペッパー君

  • イベント・キャンペーン, 経済

    福井県大野市のポスター展 地元学生と商店のコラボが素敵すぎる

  • インターネット, おもしろ

    「ヤフーでググるにはどうしたらいいですか?」……Yahoo!知恵袋に潜む爆笑質問…

  • アニメ/マンガ, ニュース・話題

    こんなんドラえもんじゃない!木魚にドラえもんカラーをペイントした『木魚えもん』が…

  • ユニーク, 雑学

    じゃ県、琵琶湖県、ふなっしー県……うどん県まね考案された都道府県名がカオス

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 新作ゲーム「裏バイト:逃亡禁止 たつ子の謎」
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「裏バイト:逃亡禁止」の恐怖をゲームで 小学館がマダミス「たつ子の謎」を11月配…

  • 新物板うに手巻きセット(5貫分)
    商品・物販, 経済

    くら寿司、旬の「新物うに」登場 板うに手巻きセットや北海たこうにも販売

  • 無印良品、大盛りカレーを拡充 和出汁仕立てと香味野菜デミグラス登場
    商品・物販, 経済

    無印良品、大盛りカレーを拡充 和出汁仕立てと香味野菜デミグラス登場

  • OpenAI、新動画生成モデル「Sora 2」発表 アプリで“カメオ出演”も可能に
    インターネット, サービス・テクノロジー

    OpenAI、新動画生成モデル「Sora 2」発表 アプリで“カメオ出演”も可能…

  • 将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕
    ゲーム, ニュース・話題

    将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

  • 綾瀬はるか出演CMで新商品「ハピネスミスト」デビュー 洗えない布製品に5つ星ホテルの香り
    商品・物販, 経済

    綾瀬はるか出演CMで新商品「ハピネスミスト」デビュー 洗えない布製品に5つ星ホテ…

  • トピックス

    1. 「フツーの人」と「デブ」の食意識の違いをイラストで可視化 あなたはどっち?

      「フツーの人」と「デブ」の食意識の違いをイラストで可視化 あなたはどっち?

      「もしかして、フツーの人っておなか空いてる時以外おなか空いてないの?」そんな衝撃の(?)問いかけとと…
    2. コーヒーにごま油……!?かどや公式のちょい足しアレンジを試してみた

      コーヒーにごま油……!?かどや公式のちょい足しアレンジを試してみた

      10月1日は「コーヒーの日」。そんな記念日に合わせて、かどや製油公式Xが提案してきたのは……まさかの…
    3. 「えもじの子(仮)」

      LINEの人気キャラ「えもじの子(仮)」が有料で復活 一部未収録に完全復活を望む声も

      つぶらな瞳ととぼけた表情で人気を集めたLINE絵文字「えもじの子(仮)」の無料配布版が10月1日、有…

    編集部おすすめ

    1. フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      「みんなの75点より、誰かの120点」を合言葉にドン・キホーテが展開している偏愛メシシリーズ。10月1日に「本当にこの組み合わせが好きな人が…
    2. 将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      オンライン将棋対局サービス「将棋倶楽部24」が、2025年12月31日をもって終了することが発表された。運営する席主の久米宏氏が10月1日付…
    3. pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

      pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

      アパレルブランド「pium」が9月30日、店舗スタッフの接客に対する多数の指摘や批判を受け、公式Xにて謝罪文を公開しました。併せて再発防止策…
    4. 「ビー・バップ」クラファン始動、清水で“高校与太郎祭”実現へ 返礼に「鉄橋ダイブ」関連も

      「ビー・バップ」クラファン始動、清水で“高校与太郎祭”実現へ 返礼に「鉄橋ダイブ」関連も

      映画「ビー・バップ・ハイスクール」のロケ地として知られる静岡市清水区で、作品ゆかりの企画を集めた大型オフラインイベント「清水 ビー・バップ・…
    5. 第7回京都アニメーションファン感謝イベント『私たちは、いま!! ―京アニのセカイ展―』

      京都アニ「第7回ファン感謝イベント」追加情報を公開 新商品や書籍予約、グッズ二次予約も発表

      株式会社京都アニメーションは、10月25日・26日の2日間で開催予定の「第7回京都アニメーションファン感謝イベント『私たちは、いま!! ―京…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト