2018年8月20日(現地時間)、イギリス海軍の空母クイーン・エリザベスが搭載予定のF-35B運用試験を行うため、母港ポーツマスからアメリカへ向けて出航しました。

 イギリス海軍の空母クイーン・エリザベスは引渡し後、作戦能力の獲得に向けて様々な運用試験を重ねてきました。艦載機の運用試験では、これまで各種ヘリコプターの発着艦試験を終了させており、いよいよ固定翼機(通常の飛行機)の発着艦を試験することになったのです。

 試験を行うためにクイーン・エリザベスが向かう先は、アメリカのメリーランド州にあるパタクセントリバー海軍航空基地。現在イギリス海軍向けF-35Bの訓練が行われている場所です。

 ポーツマスを出港する際、飛行甲板では音楽隊が演奏を行い、乗組員たちは甲板周囲に整列する「登舷礼」を行いました。居合わせた人の中には、スマホで撮影する姿も。この後、クイーン・エリザベスは洋上で給油艦タイドレース(A138)、フリゲートのモンマス(F235)と合流し、カルドローズの第820飛行隊所属のマーリンMk.2、ヨービルトンの第845飛行隊所属のマーリンMk.4、そして海兵隊第42コマンドーを乗せてアメリカへと向かいます。




 アメリカに到着後、クイーン・エリザベスは2機の試験用F-35Bを用いて、スキージャンプ甲板を用いた発艦や、垂直着艦などを行い、艦上でのF-35B運用に関する訓練とデータ収集を行います。期間中、およそ500回の発着艦を予定しており、パイロットも久々の空母運用を訓練することになります。

 アメリカへの往復を含む今回の試験期間は11週間を予定。大西洋横断という遠洋航海や、長期間の航海における艦運用の訓練やデータ収集も同時に行われます。これについて空母クイーン・エリザベスのキッド艦長は「このアメリカへの遠征は、我々のフネにとって新たな初体験となります。1500人の乗組員とともに大西洋を横断し、到着後の9月にはF-35Bを初めて迎えるのですから。非常に興奮しています」とコメントしています。

 すでにマーラム空軍基地に到着しているイギリスのF-35Bを用いた運用訓練は、この試験終了後の2019年の早い時期に開始される予定です。

Image:Crown Copyright 2018

(咲村珠樹)