アメリカ政府は2018年12月6日(アメリカ東部時間)、日本の航空自衛隊向けとして2機目となるKC-46A空中給油/輸送機を約1億5895万ドルでボーイングに発注しました。この発注分のKC-46Aは、ワシントン州シアトルにあるボーイングの工場で生産され、2021年6月末までに完成する予定となっています。
航空自衛隊が2010年度から愛知県の小牧基地にある第404飛行隊で本格運用している空中給油/輸送機KC-767と同様、ボーイング767-200をベースに開発されているKC-46Aペガサス。現在最終試験も終わりに近づき、アメリカ空軍での本格運用がもうすぐ始まろうとしています。航空自衛隊でもKC-767の追加分として、2015年に3機導入することが決定し、全機FMS(対外有償軍事援助)の形式で調達されることになっています。
今回アメリカ政府の「FA8609-18-F-0006」として1億5895万309ドルで発注されたのは、航空自衛隊に納入される2号機。現在の時点で3機の総額は、4億4937万5855ドルということになっています。
2号機の発注に際しアメリカ空軍のKC-46プログラム・マネージャのジョン・ニューバリー大佐は「日本向けの新しい空中給油機は、アメリカ軍との共通運用性を高めるばかりでなく、両国間共通の安全保障問題における重要な役割を担うことになります」という談話を発表しています。
ボーイングのアジア担当重役であるジョン・サドリング氏は「日本はKC-46における初の海外パートナー国であり、航空自衛隊にこの高い能力を持つ多用途給油/輸送機をお届けすることを楽しみにしています」と語り、「KC-46は従来よりもメンテナンスが楽になっており、信頼性の向上やトータルのライフサイクルコストの低減も実現しています。日本の空輸任務においても、何十年と貢献できることでしょう」と、俗にいう「お買い得感」についても言及しています。
すでにKC-46Aはアメリカ空軍の試験飛行(航法装置、通信装置の試験)の一環で2018年10月、東京都の横田基地に飛来を果たしており、当時航空ファンの間で話題になりました。見かけ上、あまりKC-767と変わらないように見えますが、胴体上部にアンテナドームがない点、主翼の先端近くに給油ポッドが増設されている所などが識別ポイントになります。
トランプ大統領就任以来、アメリカは関係各国に積極的なFMS(対外有償軍事援助)外交を進めており、2018年12月現在での受注額は2017年から約33%増加し、約5560億ドルの規模となっています。この積極的な対外セールスは今後も強化される方向になっており、アメリカのFMSの総額は2019年以降も増加するものと思われます。
Source:U.S. DoD/Boeing
Image:USAF
(咲村珠樹)