テクノロジーの進化は今や日進月歩を超える勢い。しかし、一方で手書きの良さや手作りの良さも見直されています。そんなハイテクと手書きを融合させたシステムが開発され、話題になっています。
はがきサイズの紙に、好きな絵や文字をかいてそのデバイスに投函すると、LINEでその書いたものが送られてくるという「ぶうびんポスト」。世界ゆるスポーツ協会の澤田智洋さんが、「後輩が、手紙を書くのが好きな娘のためにつくった自作ポストが素敵すぎる」と、ツイッターで紹介したところ、「小さな子供が祖父母に手紙を書きたい時にその場で送る事ができていい」「機械に疎い高齢世代が子供や孫に何かを伝えたい時にも使えるかも」「書字障がいがあり、自分なりの字や絵しかかけない子どもにも使えそう」などなど、様々な感想が寄せられています。
この「ぶうびんポスト」、中身にはRaspberry Pi(ラズベリー パイ、通称ラズパイ)と、scansnapというスキャナが使われており、LINEが提供しているMessaging APIを使用し、ユーザーと自動的にやりとりができる「LINEBOT」を通じて、投函した画像が登録者のLINEに送信されるというもの。ちなみに、ラズパイはARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータ。結構小さいです。しかし、応用範囲は広く、小さいながらも様々なプログラミングツールを実行する事ができます。
「ぶうびんポスト」を作ったのは、「ハッキングパパ」と名乗る2人組。自分の子供と楽しい時間を過ごすために、自分の子供のためだけに何かを作るというコンビです。
作った切っ掛けを聞いてみると、「子どもが字や絵を描けるようになり、手紙を書いてくれるようになりました。ただ、はっきんぐぱぱ1ごうの帰りが遅く、ある日手紙を読み忘れるという事件がおき、子どもを悲しませてしまいました。子どもがせっかく書いた手紙を読み忘れて悲しませないようにしたい(そして父としてはリアルタイムで書いてくれた手紙をみたい)、という背景が開発に至った経緯になります」と教えてくださいました。
ハード面を開発したのははっきんぐぱぱ1ごうさん。「ぶうびんポスト」は、ラズパイにscansnapを繋いだだけというシンプルなもの。鼻につけたボタンを押すと手紙を読み取り、画像をトリミング、そこからLINE Message API でぶうびんポストのアカウントに手紙を送る、というのが簡単な仕組みです(実はラインだけではなくサイト上にアーカイブが残るようにもなっています)。
システム面に関しては、はっきんぐぱぱ2ごうさんが担当。子供向けのデバイスは極力シンプルに説明できるように、「手紙をポストに食べさせて、鼻のボタンを押すと送れるよ」と、子供がわかる言葉で伝えられるように工夫したそうです。ちなみに肝心のお子さんの反応はというと「電源入れたら楽しんでたので喜んで使ってもらえそう」とのことでした。
商品化を希望する声も寄せられていますが、思わぬ反響だったことでまだ何も準備はできていないそう。しかし、商品化は検討したい、という話です。プログラム入りの組み立てキットなんかも、子どもと一緒に電子工作を学ぶ取っ掛かりになっていいかもしれないな、と筆者個人的には思ってみたり。
今後は、「自分の子供が喜びそうなものを思いつき次第どんどん作っていきたいと思っています。突然の反響で準備ができていなかったのですが、作ったものはサイトやTwitterを使って紹介していきますので楽しみにしていてください」との事。
今までは子どもの絵などは写真に撮って送ったりもしていましたが、どうしてもキレイに撮れなかったり、影が映りこんだり、ぶれてしまったりなんていう事もありましたが、このデバイスを使えばそんな心配がなくキレイなまま送れるので、画像を受け取った方も見やすくて良いですよね。この「ぶうびんポスト」、開発についての詳しい話は「ハッキングパパ」のnoteにもありますので、ラズパイで自作できそうな人はチャレンジしてみるのも面白いかもしれませんね。
後輩が、手紙を書くのが好きな娘のためにつくった自作ポストが素敵すぎる。 pic.twitter.com/ANvMZCFlGg
— 澤田智洋|世界ゆるスポーツ協会 (@sawadayuru) January 28, 2019
<記事化協力>
澤田智洋(世界ゆるスポーツ協会)さん(@sawadayuru)
はっきんぐぱぱ1ごう・はっきんぐぱぱ2ごうさん(@teamhackingpapa)
(梓川みいな)