アメリカの航空機メーカー、ノースロップ・グラマンは2019年4月18日(現地時間)、オーストラリア国防省から2機目のMQ-4Cトライトンを受注したと発表しました。この機体はアメリカ海軍との協力協定に基づき、オーストラリアに引き渡されることとなっています。
MQ-4Cトライトンはアメリカ海軍の要請により、RQ-4グローバルホークをベースに開発された無人偵察機。グローバルホーク同様、高度5万5000フィート(約1万7000m)の上空に長時間(連続30時間以上)滞空するタイプですが、特に海洋における偵察・調査を目的に開発されています。グローバルホークから機体や翼の構造が強化され、着氷や雷に対しても強くなっています。
機体にはAN/ZPY-3統合センサーが搭載され、Xバンドレーダーなどを用いて360度の範囲を捜索可能。巡航速度330ノット(時速約610km)で飛行するため、24時間で約700万平方kmの範囲を偵察・調査できます。また、合成開口レーダーや光学(可視光/赤外線)センサーも装備しているため、海上にある対象物についての詳しい情報も得ることができます。さらにEP-3電子情報収集機のような電波情報測定システム(ESM)のパッケージもあるため、電子情報収集(SIGINT)任務にも使用できます。
四方を海に囲まれたオーストラリアでは、老朽化した既存のAP-3Cオライオン哨戒機を更新する「AIR 7000」というプランを打ち出しており、その一環でMQ-4CトライトンとP-8Aポセイドンを導入することを決定しました。無人機のMQ-4Cと有人機のP-8Aを組み合わせることで、省力化しつつ広範囲に目配りすることが可能になります。ギリシャ神話ではポセイドンとトライトン(トリトン)は親子ですから、ちょうど親子が力を合わせて海からの脅威から守る任務をこなす、ということになります。
オーストラリアは現在までのところ、6機のMQ-4Cを取得する予定(オーストラリアの防衛白書では「7機が必要」とされています)。P-8Aは8機~12機調達予定としています。構想ではMQ-4Cに高高度からの全般的な偵察・調査を担当させ、P-8Aは低高度でより詳しい偵察・調査や救難捜索、また対潜水艦作戦などを担当させるとしています。これはアメリカ海軍が構想するものと同じため、オーストラリア空軍(オーストラリアでは哨戒機も空軍が運用します)とアメリカ海軍の間で協力協定が2018年6月に締結されました。
オーストラリアで、すでに発注済みとなっている最初のMQ-4Cが就役するのは2023年の予定。6機のMQ-4Cがすべて就役するのは2025年後半を見込んでいます。
Image:Commonwealth of Australia 2018/Northrop Grumman/U.S.Navy
(咲村珠樹)