おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

コミケのサークル参加初心者へ!事前告知の重要性を説くツイートが話題

 もうすぐ夏のコミックマーケット(コミケット/コミケ)。ちゃんとしたサークルさんは、すでに新刊の入稿を済ませていることと思います。でも、実はここからがサークルにとっての勝負どころ。そんなことを実感させるツイートが話題を呼んでいます。

  •  2019年はオリンピック・パラリンピックを控え、東京ビッグサイト最大の東展示棟が使えずスペース数が減少するため、4日間の変則日程となるコミックマーケット。企業ブースも離れた青海展示棟を使用します。

     今回「夏コミの宣伝をおろそかにしている夢見がちな方に届け」というメッセージとともに漫画をTwitterに投稿したのは、漫画家のほっけ様(@nukosama)さん。「電撃ツイッターマガジン」で「専門学校JK Ctrl+Z(やりなおし)」を、そして「つぶやきGANMA!」では、ぬこー様名義で「無常のふでこさん」を連載しています。

     ほっけ様さんが漫画で示した場面は、7月26日に発売された、アニメ・漫画系専門学校生の厳しい現実を講師としての経験から描く「専門学校JK Ctrl+Z」第1巻から抜粋されたもの。初サークル参加を果たした辻堂ゆきが浴びる「コミケの洗礼」です。

     初めてサークル参加したゆきは、作り上げた自分の本に自信満々な様子。しかし、彼女にはひとつ、忘れていることがあったのでした。自分のサークルを周知するための宣伝活動をしないまま、即売会にやってきていたのです。

     初参加ですから、会場にやってきた参加者は誰も、ゆきのサークルを知りません。作者は誰で、どんな作風で、どんな本を出しているのか、事前情報が全くないのです。

     最初の頃はスペースの前を通り過ぎる人に愛嬌を振りまく余裕のあったゆきも、誰も自分のスペースで足を止めてくれない時間が続き、へたり込んでため息をつきます。こんなはずじゃなかった……。

     よりによって、お隣のサークルさんは早々に新刊が完売した様子。心なしか気を使われているのか、ゆきのスペースの方を見ないようにしてるようです。ゆきはだんだん「サークル参加した動機」を見失っていくのでした。

     参加サークル数が1万に届かなかった昭和の時代ならいざ知らず、直近の2018年冬(コミケット95)では3日間で3万5000サークルが参加するほどに肥大化した現在のコミケットでは、事前にある程度存在を宣伝しておかないと、スペースをチェックしてくれないといっていいでしょう。初参加であればなおさら。

     このツイートには、ほっけ様さん自身がリプ欄で「俺だ!!!!!!!!」と自虐的にオチをつけています。詳しくお話を伺うと、今から10年ほど前の2008年9月のこと。イラスト投稿サイトで有名になっていたほっけ様さん。そのネームバリューで、即売会では何もせずとも本がさばけていたそうです。

     この状況に油断した訳ではないでしょうが、以降いい加減な宣伝ばかりしてしまったせいで、数年後には、さばける量が全盛期の10%にまで落ち込んでしまったといいます。最後には「1冊100円でたたき売りしたら売れるかな?」と価格を激安設定にしたら、逆効果で余計にダメになってしまい、大泣きした経験があったとか。このことから、まずは真面目に漫画に取り組もうと心に誓ったそうです。

     そして宣伝の重要性という点では、コミックス第1巻が発売されたばかりの「専門学校JK Ctrl+Z(やりなおし)」が、まさにいい例だといえます。実はこの作品、一度は「専門学校JK」として、連載が打ち切られた作品だったのです。

     ところがこの作品、ひょんなことで状況に変化が訪れます。きっかけは、作者のほっけ様さんが自身のTwitterアカウントに投稿した「親戚やご家族に夢見がちの方がいらっしゃれば、ぜひこの漫画をおススメしてください」という「専門学校JK」宣伝漫画付きツイート。

     このツイートで電子版コミックスの存在を告知したことで、電子版コミックスの売り上げが上がったといいます。紙の書籍の場合、まとまった数がないと印刷できませんし、在庫管理の面でもスペースを取りますが、電子版だと注文数にかかわらずリアルタイムで対応できるため、より柔軟に作品を届けられるのです。

     そして2018年12月。「専門学校JK」は新たに「専門学校JK Ctrl+Z」として復活。ついにコミックス第1巻発売に至ります。

     この経験をほっけ様さんは「編集さん的には売れてうれしい反面、編集さん自身の宣伝手法が間違っていたということでかなり落ち込んでいました」と振り返りつつ、手法としては「いやらしくならないように魅力を伝えて売り込む必要があって、それには作家自身が生々しい声を発することがベストなんだと思います」と語っています。

     復活してからは作者からの発信で積極的に宣伝しつつ、編集さんも通常と違う方法で宣伝しているんだとか。ただ「不思議なのは時間かけて用意した宣伝より思いつきでパッと流した宣伝の方がバズリやすいです」という面も感じているそうです。筆者も数回バズツイートの経験がありますが、確かに無意識にツイートしたものほど反響が大きいですね。

     現在も「専門学校JK Ctrl+Z」の舞台になっている、大手アニメ・漫画系専門学校で講師を務めているほっけ様さん。クリエイター系の学校でありがちなことなのですが、この作品に登場するような、成功する夢ばかり見て作品作りがおろそかになっている学生さんは一定数いるようです。

     そんな学生に対し、ほっけ様さんは「夢は見たり語ったりするんじゃなくて、ちゃんと追いかけろ」とアドバイスしているんだとか。まず作品を形にし、自分から全力で「私はここにいます」と声を上げない限り、ほかの人は存在に気づきません。そこがスタートであり、評価されるのはその後なのです。

     実際に自分で手を動かし、作品を作り、やる気を持って前に進めた学生は、みんなプロになれたとほっけ様さんは言います。自分の作品を見つけてもらうため、その存在をアピールしないと埋もれてしまうのは、コミケットも同じ。ほっけ様さんのツイートは、自分自身で未来を切り開く重要性を感じさせてくれます。

     さて今度の夏コミ、あなたのサークルの新刊はなんですか?

    <記事化協力>
    ぬこー様とほっけ様(@nukosama)さん

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 絵柄がデフォでピンボケな……いつかやってくる未来に備える「老眼トランプ」が登場
    インターネット, おもしろ

    絵柄がデフォでピンボケな……いつかやってくる未来に備える「老眼トランプ」が登場

  • コミケの名物現象がまさかのグッズ化 「食べられるコミケ雲(わたあめ)」爆誕
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    コミケの名物現象がまさかのグッズ化 「食べられるコミケ雲(わたあめ)」爆誕

  • カプコンが「二次創作ガイドライン」を公開 寛大なるルール制定の一方、戸惑いの声も
    ゲーム, ニュース・話題

    カプコンが「二次創作ガイドライン」を公開 寛大なるルール制定の一方、戸惑いの声も…

  • 「お蚕様かと思った」 ポテトニョッキで作る“ヤバい絵面のサラダ”
    インターネット, おもしろ

    「お蚕様かと思った」 ポテトニョッキで作る“ヤバい絵面のサラダ”

  • コミケに「家庭科のドラゴン」再臨 裁縫箱からアクスタまで“神器”集結
    企業・サービス, 経済

    コミケに「家庭科のドラゴン」再臨 裁縫箱からアクスタまで“神器”集結

  • X、AI会話に“キャラ性”を追加 美少女モデル「Ani」などが登場する新モード
    インターネット, サービス・テクノロジー

    X、AI会話に“キャラ性”を追加 美少女モデル「Ani」などが登場する新モード

  • X日本公式アカウント(@XcorpJP)
    インターネット, サービス・テクノロジー

    Xが検索結果を見直し、本文重視へ転換 ユーザー名で検索しても本文に含まれなければ…

  • イーロン・マスク氏6月27日の投稿
    商品・物販, 経済

    Xの広告改革が止まらない マスク氏が語る「ハッシュタグ排除」と「縦サイズ課金」

  • コミケ50周年
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    「コミケ50周年」記念プロジェクトが始動 特設Xアカウントも開設

  • 「あの頃のTwitter」の空気感を再現 オマージュサイト「ヒウィッヒヒー」爆誕
    インターネット, サービス・テクノロジー

    「あの頃のTwitter」の空気感を再現 オマージュサイト「ヒウィッヒヒー」爆誕…

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • ニキータ・ビア氏の投稿
    インターネット, サービス・テクノロジー

    X、API改定しリプライ浄化 報酬目当ての投稿アプリを出禁

  • 「ゆるキャン△」タイアップ 林野火災予防リーフレット
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    消防庁が「ゆるキャン△」とタイアップ 山火事予防を呼びかけるリーフレット制作

  • 派閥争い終結か!?きのこの山とたけのこの里、マックフルーリーで共闘
    商品・物販, 経済

    派閥争い終結か!?きのこの山とたけのこの里、マックフルーリーで共闘

  • ねるねるねるねアイスバー
    商品・物販, 経済

    テーレッテレー♪ねるねるねるねがアイスに変身 “あたりつき”40周年記念商品を発…

  • 福岡市、生活保護をめぐるSNS情報を否定 投稿者の開示請求へ
    インターネット, 社会・物議

    福岡市、生活保護をめぐるSNS情報を否定 投稿者の開示請求へ

  • 狂愛ストーリー「ホタルの嫁入り」テレビアニメ化 ノイタミナ枠で放送
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    狂愛ストーリー「ホタルの嫁入り」テレビアニメ化 ノイタミナ枠で放送

  • トピックス

    1. 九州の2大巨頭が夢のコラボ 「ブラックモンブランマンハッタン」食べてみた

      九州の2大巨頭が夢のコラボ 「ブラックモンブランマンハッタン」食べてみた

      九州で育った方なら、誰もが知る2つのソウルフード、竹下製菓のアイス「ブラックモンブラン」と、リョーユ…
    2. ニキータ・ビア氏の投稿

      X、API改定しリプライ浄化 報酬目当ての投稿アプリを出禁

      SNS「X」が、ここ最近リプライ欄を埋め尽くしていた「意味不明な“ヨイショ”投稿」に、ついにメスを入…
    3. 覚悟して食べた昆虫食 セミ・ゴキブリ・カブトムシの中で一番おいしかったのは?

      覚悟して食べた昆虫食 セミ・ゴキブリ・カブトムシの中で一番おいしかったのは?

      東京・吉祥寺を歩いていたところ、思わず二度見してしまう自動販売機に出会いました。売られていたのはジュ…

    編集部おすすめ

    1. 生成AI「Grok」を巡りXが安全対策を強化 編集部が体験した監視の実態

      生成AI「Grok」を巡りXが安全対策を強化 編集部が体験した監視の実態

      昨年12月末、画像編集機能を搭載したことで物議をかもした、X(旧Twitter)の生成AI「Grok」。そのGrokをめぐり、Xの公式安全対…
    2. ねるねるねるねアイスバー

      テーレッテレー♪ねるねるねるねがアイスに変身 “あたりつき”40周年記念商品を発売

      クラシエ株式会社(フーズカンパニー)は、発売から40周年を迎えるロングセラー菓子「ねるねるねるね」を記念し、「ねるねるねるねアイスバー」を2…
    3. 福岡市、生活保護をめぐるSNS情報を否定 投稿者の開示請求へ

      福岡市、生活保護をめぐるSNS情報を否定 投稿者の開示請求へ

      福岡市は1月13日、SNS上で拡散されている「福岡市で生活保護を断られた母子3人が亡くなった」とする動画や投稿について、「事実ではありません…
    4. クレーンゲーム機「クラウン602」

      タイトー、幻のクレーンゲーム機を全国指名手配 有力情報に賞金10万円

      ゲームセンターの片隅に、あるいは閉店した商店の倉庫に、ひっそりと眠っているかもしれません……。タイトーが今、全国に向けて“指名手配”している…
    5. ぐるなび、個人情報流出を否定 SNS投稿巡り調査結果公表

      ぐるなび、個人情報流出を否定 SNS投稿巡り調査結果公表

      飲食店情報サイト「ぐるなび」を運営する株式会社ぐるなびは1月8日、同社の個人情報流出を巡るSNS上の投稿について、公式サイト上で「調査の結果…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト