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アメリカ州空軍F-16 新型レーダーへの換装完了

 ノースロップ・グラマンは2020年1月9日(現地時間)、アメリカ州空軍(ANG)のF-16に新型のレーダーAN/APG-83“SABR”を実装する近代化改修が完了したと発表しました。国土防衛を担う州空軍のF-16は、従来より高いレーダー能力を獲得したことになります。

  •  ノースロップ・グラマンのレーダーAN/APG-83“SABR(Scalable Agile Beam Radar)”は、F-35に搭載されているアクティブ走査式フェイズドアレイ(AESA)レーダーAN/APG-81のアンテナと、新開発の制御機器(バックエンド部)とを組み合わせたもの。F-35用AN/APG-81とはソフトウェア面で約95%、ハードウェア面で70%以上の共通性を持っています。

     従来のF-16に搭載されているAN/APG-66やAN/APG-68と比較して、探知距離が伸びただけでなく、同時に複数の目標を捕捉・追尾する性能も向上。また地上や海上の目標に対応する合成開口レーダー(SAR)モードの性能も、より悪天候に強く高精細に目標を捕捉することが可能です。

     州空軍F-16に対するレーダー換装作業は、国土防衛を担当するアメリカ北方軍(NORTHCOM)の統合緊急作戦要求(Joint Emergent Operational Need=JEON)に基づきます。2017年にAN/APG-83が選定され、メリーランド州のアンドリュース統合基地で、72機に対して改修が実施されました。

     ノースロップ・グラマンでAN/APG-83“SABR”プログラムを統括するマーク・ロッシ氏は「APG-83は前例のないAESAレーダーで、州空軍の任務に合致した比類なき能力をF-16にもたらします。F-16の能力を最大化するために設計されており、F-22用のAPG-77、F-35用のAPG-71に根ざした高い能力を手頃なコストで導入することが可能です」と、AN/APG-83の“値頃感”を強調しています。

     アメリカ州空軍F-16の改修作業が完了したことで、次はAN/APG-83の初度作戦能力(IOC)を目指すことになります。ノースロップ・グラマンは韓国、台湾、ギリシャのF-16に対してAN/APG-83の売り込みを図っており、F-22やF-35といった第5世代ジェット戦闘機並みのレーダー能力を付加するオプションとして、アメリカ州空軍での実績をアピールしていくことでしょう。

    <出典・引用>
    ノースロップ・グラマン ニュースリリース
    Image:Northrop Grumman

    (咲村珠樹)

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