アメリカ海軍のヴァージニア級攻撃型原子力潜水艦18番艦、デラウェア(SSN-791)が2020年4月4日付で就役しました。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、人を招いての式典は行われておらず、海軍では将来、改めて式典を行う可能性を示唆しています。
ヴァージニア級原子力潜水艦では、アメリカ各州の名前が艦名となっていますが、デラウェアはネームシップのヴァージニア同様、独立13州を構成する由緒ある州。しかも、アメリカ合衆国憲法を最初に批准した州(1787年12月7日付)であることから「First State」という名前でも知られます。
アメリカの艦船で「デラウェア」の名を冠するのは、これで7代目。初代は1776年に就役したフリゲートで、先代(6代目)は1910年4月4日に就役(1923年11月10日退役)した戦艦デラウェア(BB-18)です。潜水艦デラウェアは、奇遇にも先代の戦艦デラウェアが110年前に就役した同じ日に就役したことになります。
艦のスポンサーとなったのは、オバマ政権時の副大統領だったジョー・バイデン氏(現:民主党大統領候補)の配偶者、ジル・バイデンさん(デラウェア大学卒)。2016年4月30日にニューポート・ニューズ造船所で建造が始まり、2018年12月14日に進水しています。2019年10月25日にアメリカ海軍へ引き渡された後は、就役前の各種試験が続けられてきました。
ジル・バイデンさんは、潜水艦デラウェアの就役に寄せて「この潜水艦と勇敢な乗組員たちが、私の故郷デラウェア州のゆるぎない強さを世界中に運んでくれることでしょう。航海に出る時、乗組員と、その愛する人々は、つねに私の想いと共にあります」というコメントを発表しています。
モドリー海軍長官は「最先端のプラットフォームであるデラウェアの乗組員たちは、デラウェア州の伝統を受け継ぎ、今日の複雑化する情勢の中でも、そのプロフェッショナリズムと能力で、“サイレント・サービス”としてアメリカ国民の信頼に応えてくれると確信しています」とコメントしています。
アメリカ海軍潜水艦隊司令官のダリル・コードル中将は「海軍は今回の重要なマイルストーンに貢献してくれた全ての方々のため、将来この特別な式典を開催する可能性を探っています」とコメント。新型コロナウイルス禍が終息した暁に、改めて就役式典を実施することを示唆しています。
艦長のマシュー・ホートン中佐以下136名が乗り組む潜水艦デラウェア(SSN-791)は、ヴァージニア級ブロックIIIとしては最後の艦。次のヴァーモント(SSN-792・2020年4月18日就役予定)からは、メンテナンス周期を長期化させた、新しいブロックIVの仕様となります。
<出典・引用>
アメリカ海軍 ニュースリリース
Image:U.S.Navy
(咲村珠樹)