アメリカ空軍は2020年4月15日(現地時間)、新たにF-35Aを配備する州空軍の基地として、ウィスコンシン州のトゥルアックスフィールド基地と、アラバマ州のダネリーフィールド基地を選定したと発表しました。双方の基地への配備開始は2023年を見込んでいます。

 アメリカでは空軍だけでなく、州空軍への配備も始まっているF-35A。しかし全ての戦闘機を置き換える訳ではなく、2040年代までは第4世代戦闘機のF-15やF-16を現役にとどめ、F-22やF-35の第5世代戦闘機と併用し、任務に応じて適材適所の運用をしていく方針を明らかにしています。

 今回、新たにF-35Aが配備されることになるのは、ウィスコンシン州空軍の第115戦闘航空団と、アラバマ州空軍の第187戦闘航空団。現在はどちらもF-16を運用しています。バレット空軍長官は「この2基地にF-35を配備することで、我が国は次世代の航空優勢を確保する動きを続けていきます」とコメントを発表しました。

 受け入れ側となるウィスコンシン州の州兵総監、ポール・ナップ少将は「この決定は第115戦闘航空団とウィスコンシン州兵にとって素晴らしいことです。空軍の予備軍として、また緊急事態に最初に対応する存在として、任務を遂行して信頼を勝ち得てきた証明だといえるでしょう」というコメントを発表しています。

 第115戦闘航空団司令官のエリック・ピーターソン大佐は「第155戦闘航空団は空軍長官により、F-35Aが早期に配備される州空軍部隊の1つに選ばれるという栄誉にあずかりました。連邦政府と州のミッション双方を見事にやってのける部下たちの献身に感謝するとともに、これからの機種転換訓練期間中に、地域の皆さんと協力しあっていくことをお約束します」とコメントしています。

 アラバマ州の州兵総監、シェリル・ゴードン少将は「F-35の基地となる決定を待ちわびていたので、ワクワクした気持ちを抑えられません。この決定は(アラバマ州タスキーギに所在した第二次大戦中の黒人戦闘機部隊)タスキーギ・エアメンと“レッドテイルズ”の伝統を受け継ぐものです。これまでサポートしてくれた商工会議所や、郡委員の皆さんに感謝したいと思います」と喜びのコメントを寄せています。

 第187戦闘航空団司令官のエド・ケーシー大佐は「F-35Aに機種転換する最初の州空軍部隊の1つに選ばれたのは非常に名誉なことであり、アラバマ州と我々“レッドテイル”の伝説を空軍が重視していることの証しでしょう。我々は毎日任務をこなし、そしてそれは来るべき機種転換中も続けられます」とコメント。アラバマ州空軍にとって、第二次大戦中の黒人戦闘機部隊「タスキーギ・エアメン(レッドテイルズ)」の存在が誇りとなっていることがうかがえます。

 現在アメリカ空軍では、F-35Aの実戦部隊がユタ州ヒル空軍基地、イギリスのレイクンヒース空軍基地、そしてアラスカ州イールソン空軍基地、そしてバーモント州空軍のバーリントン基地に配備されています。テキサス州フォートワース統合基地の予備役部隊にも配備が仮決定していますが、環境評価が終了するまで正式決定が延期されています。

<出典・引用>
アメリカ空軍 ニュースリリース
ウィスコンシン州空軍(第115戦闘航空団) ニュースリリース
アラバマ州空軍(第187戦闘航空団) ニュースリリース
Image:USAF

(咲村珠樹)