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加熱式たばこIQOS アメリカFDAが「曝露低減たばこ製品」としての販売を承認

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 2020年7月7日(アメリカ東部時間)、FDA(アメリカ食品医薬品局)はフィリップ モリスの加熱式たばこIQOSとヒートスティック「マールボロ」について、紙巻きたばこと比較して有害成分の量が大幅に低減している「曝露低減たばこ製品」として販売することを承認しました。これを受けフィリップ モリス ジャパンが7月21日、オンライン会見を開きました。(画像=日本で発売されているIQOS 3 DUO)

  •  オンライン会見には、フィリップ モリス ジャパン合同会社の井上副社長、渉外部科学担当の小西氏、そしてシンガポールからコーポレート&サイエンティフィック・アフェアーズ・マネジャーの飯田氏が出席。今回のFDAによる販売承認について、その経緯と内容について語りました。

     アメリカでは2016年から、電子たばこも紙巻きたばこと同じように規制の対象となり、連邦食品・医薬品・化粧品法第910条(b)項に基づき、商品の発売前に申請が義務付けられました。また同法第911条(d)項には、喫煙によるリスク低減、もしくは有害成分の曝露低減に関する対消費者コミュニケーション(商品説明)表示をする際に要求される「リスク修飾(軽減)たばこ製品(MRTP)」申請の手続きが存在します。

     今回、IQOSがFDAから販売承認を受けたのは、製品またはその製品から出る煙(エアロゾル)に、火を使う紙巻きたばこと比較して有害および有害性成分が含まれない、またはそれらの量が低減されている、あるいはそれらへの曝露が低減されている、と認められる「曝露低減(Exposure Modification)」に関するもの。これは加熱式たばこ製品としては初めてのFDA承認だといいます。

     井上副社長によると、FDAには2016年12月から申請の手続きを始め、様々な成分試験結果、臨床試験結果などの科学的エビデンスを積み重ね、その内容をFDAに提出し、審査を受けてきたとのこと。その結果、申請していたIQOSデバイスとヒートスティック3銘柄(マールボロ・ヒートスティック、マールボロ・スムース・メンソール・ヒートスティック、マールボロ・フレッシュメンソール・ヒートスティック)に関し、紙巻きたばこと比較して有害性分の曝露が低減されている「リスク修飾(軽減)たばこ製品(MRTP)」として販売が承認されました。

     今回、対消費者コミュニケーションとしてFDAから承認された内容は「IQOSはたばこ葉を燃やさず加熱する」、「これにより、発生する有害および有害性成分の量が大幅に低減する」、「科学的研究の結果、従来の紙巻きたばこからIQOSに完全に切り替えることで、成人喫煙者の体内での有害および有害性成分への曝露が低減する」という3点です。

     科学的な試験結果について、渉外部科学担当の小西氏によると、たばこに含まれる有害成分としてWHO、FDAなど各国の機関で指定されている物質について、基準となる紙巻きたばこと比較して平均90~95%低減されていることが証明されたといいます。

     また、実際に人体に取り込まれる有害成分について検証した臨床試験についても言及。成人喫煙者160名を対象にし、40名には引き続き紙巻たばこを、40名には禁煙してもらい、そして残り80名には通常の紙巻きたばこからIQOSに切り替えていただきます。

     これを90日間(臨床5日・外来85日)実施した試験では、IQOS使用群は禁煙群とほぼ変わらない程度しか有害成分が体内に取り込まれなかった、という結果が示されました。

     フィリップ モリスでは「曝露低減」だけでなく、製品が害とたばこ製品使用者個人の喫煙関連疾患リスクを大幅に低減している「リスク低減」についても申請していましたが、こちらの実証については長期的な疫学的調査が必須であり、まだ2016年の申請から日が浅いこともあって承認には至らなかったとのこと。今後のエビデンスの積み重ねによって、承認へつなげていきたいとしました。

     会見で井上副社長が強調していたのは、依存性・習慣性のある喫煙をやめられない成人喫煙者には、科学的に実証された煙のでない製品に切り替えていただきたいということ。「現在喫煙していない方、特に未成年者はIQOSを使用しないでいただきたい」と、IQOSが新たに喫煙を始める動機とならないよう、明確に否定していました。

     小西氏によれば、これはデバイスとヒートスティックが個々に審査されるものなので、新たなデバイスやヒートスティックを販売する際には、また個別の販売前申請が必要だとのこと。日本ですでに販売されているIQOS 3デバイス(アメリカでは未発売)については、2020年3月に追加的申請をしたそうです。

     日本における喫煙に関する健康被害の低減策としては、受動喫煙を防止することを主眼においた健康増進法がありますが、たばこ製品の成分について、踏み込んで科学的な検証を加える取り組みは遅れています。非喫煙者だけでなく、喫煙者の健康を守る点でも喫煙がやめられない人に対して、害の少ない有効な代替手段を認定する仕組みが必要であることを感じた会見でした。

    <取材協力>
    フィリップ モリス ジャパン合同会社

    <参考>
    FDAプレスリリース(英文)「FDA Authorizes Marketing of IQOS Tobacco Heating System with ‘Reduced Exposure’ Information

    (取材:咲村珠樹)

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