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アメリカ宇宙軍正式ロゴ発表「スタートレック似」の紋章と併用

 アメリカ宇宙軍は2020年7月22日(アメリカ東部時間)、ニュースなど正式文書に使用するロゴとモットーを発表しました。今後アメリカ宇宙軍からの文書には、このロゴが使用されることになります。なお、一部報道で廃止されるように書かれた「スタートレック似」のデザインはロゴではなく紋章(Seal)で別のもの。廃止されることなく、ロゴと併用されます。

  •  2019年12月20日、アンドリュース統合基地でトランプ大統領が2020会計年度国防権限法に署名し、アメリカ空軍宇宙軍団から分離独立する形で、陸海空軍、海兵隊、沿岸警備隊に続く6つ目の新しい軍種として宇宙軍(USSF)が誕生しました。これとは別に、アメリカ統合軍にも「宇宙軍(USSPACECOM)」が以前から存在しています。


     軍種としての宇宙軍は、2020年に正式に発足。2024年度にかけて各軍から人員や部署を移譲し、軍としての組織を構築していきます。発足時に公開された宇宙軍の紋章(Seal)は、母体となったアメリカ空軍宇宙軍団のシールド(紋章)に描かれた、デルタと地球を周回する人工衛星を示す星を基礎にデザインされました。

     地球を周回する人工衛星が1つに減り、紋章(シール)は円形にデザインされるため、人気SFドラマシリーズ「スタートレック」に登場する宇宙艦隊のエンブレムに雰囲気が似てしまったことで、世間的には“パクリ”疑惑も飛び出す話題となったのはご存知の通り。しかしデルタと地球を周回する人工衛星のモチーフは、1965年に始まった「スタートレック」TV第1シリーズ以前から使用しているとして、国防総省はその疑惑を否定しました。

     宇宙軍の紋章は、2020年3月27日の発足後初となる軍用通信衛星AEHF6号機打ち上げの際、ロケットのペイロードフェアリングに掲げられました。以降もアメリカ宇宙軍関連の人工衛星打ち上げの際に、ペイロードフェアリングに描かれています。


     2020年5月15日には、紋章のデザインをもとにした宇宙軍旗が初公開。ホワイトハウスで陸海空軍、海兵隊、沿岸警備隊の旗とともに並びました。また、宇宙軍のき章も公開されています。


     そして今回の正式ロゴ発表で、一通りのマーク類が揃いました。これまで宇宙軍のニュースリリースには、地球と宇宙、そして人工衛星をバックにした「UNITED STATES SPACE FORCE」という文字のロゴのみが表示されていましたが、6月末からはマーク入りのニュースリリースが出されています。

     宇宙軍正式ロゴのモチーフになっているのは、1961年以来の伝統がある矢尻型の「デルタ」。アメリカ空軍と宇宙軍団の伝統を継ぐものとして採用されました。シャープなデザインは、2017年に公表されたアメリカ空軍宇宙軍団35周年ロゴに似ています。

     外枠のデルタが意味するのは、宇宙からの脅威を含むすべての敵から防衛するということ。中の黒い部分は、深宇宙の暗闇を表現しています。

     デルタ内部に背中合わせで配置された矢尻のマーク、先端が上へ鋭く伸びているのは、宇宙を目指して飛翔するロケットの象徴。下向きの先端が4面に研がれている(Four Beveled)のは、統合軍の一員として宇宙軍がサポートする陸海空軍と海兵隊の4軍を意味しています。

     真ん中に光る星は北極星。夜間航行の基準となる星であることから、宇宙軍の任務を導く存在として中心に置いたとしています。この北極星は統合軍の方のアメリカ宇宙軍(USSPACECOM)紋章にも、ほかの星より大きく描かれています。

     ロゴと同時に発表された宇宙軍のモットーは「SEMPER SUPRA(ALWAYS ABOVE)」。常に頭上(宇宙)を見上げ、より高みへを目指して進んでいく志を示したものです。

     これまでのアメリカ宇宙戦略を継承し、専門の軍種としてさらに高いレベルでアメリカに貢献しようという志を示した宇宙軍の正式ロゴとモットー。次回の宇宙軍による人工衛星の打ち上げは、2020年8月を予定しています。

    <出典・引用>
    アメリカ宇宙軍 ニュースリリース
    Image:USSF/USAF/アメリカ国防総省

    (咲村珠樹)

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