筆者は接客業が好きで、中でもコンビニでは10年ほど働いています。現在も勤務しているわけですが、コンビニ勤務を続ける中で強く思うのが「トイレはトラブルの巣窟である」ということ。

 店員たちの間でもいっそのこと「トイレを貸し出さない」「トイレを潰した方が良いのでは」という話が頻繁にでるほどトラブルの元となっています。これまでにもコンビニで起きた珍事をいくつか記事で紹介してきましたが、今回は店員たちが最も頭を抱えている「トイレ」について、筆者の体験を語っていきます。

■ そもそも何でコンビニにトイレがあるのか

 そもそもコンビニでなんでトイレが設置されたのか。これは昔、コンビニにトイレを設置し、トイレを貸す事により「トイレを借りたのに何も買わないのは……」という心理で売り上げが上がる。と言う事でトイレを設置したのが始まりと言われています。

 現在はトイレを貸し出すというのが当たり前になり、故障や清掃のタイミング、深夜の防犯上の理由でのトイレの貸し出しを拒否した時でさえ、クレームが来るまでになっています。

■ トイレで踊る人

 居酒屋が集まる地域での出来事。このお店は時間によって、酔っぱらいの来店者が多く、さらにトイレのみを利用しにくる人も多いお店でした。

 そんなお店でのある日のこと。トイレの方でドッタンバッタン大きな音がレジの方まで聞こえてきました。これは何か起きてる!すぐにトイレに向かうと、便座の上で激しく踊っている人の姿が……。

 跳び跳ね、片足でステップし、流していないトイレの水に足を突っ込んでも気にも止めず踊り続ける姿には、恐怖を覚えました。声をかけるも無反応。絶対この人何かお薬的なものをやってる……。これ以上刺激するのも怖いので、すぐに警察を呼ぶといつの間にやら逃走。後に残ったのは、壊れた便座に、汚物が飛び散った壁や床。

 掃除が大変だったことは言うまでもありません。

■ トイレに商品を持ち込み窃盗

 トイレが倉庫の隣にあり、店員から見にくい場所にある店舗の話です。当時は防犯意識が低く、倉庫に鍵が掛かっていない状態でした。

 そんな中、トイレではない扉の音がして、倉庫とトイレ間違えたのかな?と注意をしに倉庫に向かったところ、倉庫には人影はなく飲料のダンボールが減っていました。

 「やられた!」と血の気が引き、外に逃げていないか確認しようとしたその時でした。トイレに人が入っていることに気付きました。「あ、これは」と思い、トイレからお客さんが出てくるのを待つこと数分。来店時より明らかに膨らんだリュックをもった男性が、周囲を警戒しつつ出てきたのです。

 あからさまに怪しい……これは捕まえねばと思い、早足で店から出た瞬間に声をかけて足止め。すぐ警察に通報し調べて貰ったところ、なんと常習犯。警察の前で「この店なら捕まらないと思った、今日はいつもと違う店員だがいける」と語っていたのが印象的です。

■ トイレに金魚

 コンビニトイレではイタズラも多くて、苦労しています。トイレの清掃表に従業員以外の名前が書かれていたり、店員の評価が書かれていたり、そんな中印象に残っているのが金魚事件。

 その日は近所でお祭りがあり、屋台が並んで居たのですが、お客さんが飼えないのに金魚すくいをしたらしくトイレに金魚を捨てていったもよう。

 しかし、かわいそうだからと思ったのか流されていませんでした。便器の中で優雅に泳ぐ金魚。次に入ったお客様からの報告ですぐに駆けつけ目にした瞬間、めまいがしました。「どうやって片付けよう……」。まぁ、何とかしたのですが。

 さらにこの話には続きがあり、数日後にトイレの水の流れが悪いというので、タンクをあけてみたところ、今度は亀の死骸を発見。なんでこういうことをするかなぁ。あきれ通り越して怒りがわいてきました。

■ 便器以外で大をする人

 コンビニのトイレで割と見掛けるのですが、変な場所でトイレをするお客さんが一定数います。ゴミ箱の中にしてみたり、床にしたり、ドアに擦り付けている人、小便器に大きい方をする人も……毎日清掃はしているのですが、精神が擦りきれそうになる時もあるので、きちんとした場所にしてほしいと本気で思っています。

■ トイレを詰まらせる人たち

 なぜこれを?という、変なものを詰まらせる人も多いです。おまけだけなくなっている未会計の雑誌がタンクに入っていたり、おもちゃがトイレに浮かんでいたり、トイレットペーパーが丸々1つトイレに突っ込まれたり、汚れた下着が入っていたり……。みかける度にため息しか出ません。

 あと、1度だけですが銀行の通帳と印鑑、カードが防水ケースに入れられタンクの中に入っていた事も……。誰かのへそくりか隠し財産だったのでしょうか。もちろん、その後警察に届けました。

■ トイレのゴミ箱はパンドラの箱

 トイレのゴミ箱には様々な物が捨てられています。汚物から会計が済んでない商品、家庭ゴミに、携帯の充電器やカセットコンロ用のガス缶等です。

 イートイン10%になってからは、持ち帰り用の8%の料金で買われていた、食べた痕跡のある会計済みの食品も増えています。一番酷かったのは、糖尿病用の針が、500mlペットボトルいっぱいに詰められて、無造作にゴミ箱に捨てられていた事です。こういった事は次に使われるお客様にも迷惑になるのでやめていただきたいです。

■ トイレを貸さなきゃ漏らすぞ!脅迫事件

 深夜帯に防犯上の理由でトイレの貸し出しをしていなかった時、「トイレを貸さないとここで漏らしますよ」というお客様が来店されました。よくトイレで寝こけてしまうお客様でしたので、お断りしたところ、店の窓ガラスに向かって用を足して帰っていきました。どうすれば正解だったのか、5年過ぎても分からないです。

 ちなみに、夏場になると深夜帯にトイレで仮眠する人がたまに出てきます。中からイビキが聞こえ、幾ら外から呼び掛けていても反応がないこともしばしば。最終手段として警察を呼んで対応しています。

■ トイレは食事処

 これは非常に迷惑且つ、あって欲しくないのですが、夏と冬に2回ずつくらい遭遇します。

 トイレに未会計の食べ物を持ち込み、食べ、店から出ていく……大体が家出中の学生や無職で住所不定の人。警察にわざと捕まりたくて、やっている感じです。この人達は段々トイレに持ち込む食べ物が豪華になっていくので、とても捕まえやすいのが特徴です。すっごく目立つので。

■ 学校で流行っている度胸試し?

 最後に筆者が体験したなかで1番記憶にのこる衝撃的な出来事です。トイレに未会計の雑誌を持ち込み、汚すというもの。店員に見せつけたいのか、トイレの目立つ所に置いていきます。被害が雑誌数十冊に及び、犯人と思われる人の格好も背丈もバラバラで、特定も出来ず、雑誌の返品も出来ずに破棄をせざる追えなくなった中、遂に犯人を現行犯で捕まえる事が出来ました。

 その際分かった事なのですが、犯人達は複数であり、学校で度胸試しとして流行していて、近くのコンビニが複数店舗被害にあっていたとの事でした。世も末だと思いました。

 本コラムは本来ではあり得ない……と思われるような話も多かったと思います。10年間1か所ではなく地域もバラバラで色々なお店で働いていたからこそ(あちこち応援で入るので……)、この様な体験を人より多くしています。正直、今までのトラブルを思い返して筆者自身がドン引きしていますし、同業者に話をすると「そんなことが!」と驚かれることもしばしば。

 このため、全てのお店がこう、というワケではないことご理解ください。平和なお店も勿論沢山ありますから。これからアルバイトを考えている方は、その点ご安心を。

(戦魂)