ロッキード・マーティンは2020年7月30日(現地時間)、スイス軍の装備調達を所轄するアルマスイス(連邦防衛調達局)から、戦術偵察・観測用ドローンのIndago 3を受注したと発表しました。正確な受注数は明らかにされていませんが複数で、最初のセットは今年中に引き渡されるとのことです。

 スイス陸軍は装備の近代化計画「Armeebotschaft 2019」を2019年から始めており、中でも偵察・情報収集能力の向上を重点課題に挙げています。戦術偵察用の小型ドローンでは、現在の固定翼機に加え、戦場に一定時間とどまって火砲の弾着観測までを実施できるものが求められていました。

 スイスが選定したIndago 3は、約81cm四方で高さ18cmのクワッドコプター式ドローン。一般の人がドローン撮影用に使っているものより、もう少し大きなものです。プロペラアーム部分は折り畳み可能で、格納状態では30cm×23cm×18cmの大きさ。

 折り畳み状態から飛行可能にするまでのセットアップ時間は60秒以内、飛行まで2分半という迅速な展開が可能。カメラは30倍ズーム(最大望遠画角2度)の可視光カメラ「ION 30X」と、夜間でも使用可能な二眼式(画角32度/8度)赤外カメラ「Noctis IR」を任務によって使い分けます。

 Indago 3は最長10kmまでの範囲で遠隔操縦可能で、最大50分の飛行が可能。また、運用可能な温度も摂氏マイナス34度から49度までと幅広く、特に冷え込むスイスの山岳気候にも適応しています。

 ロッキード・マーティンの無人機システム・ポートフォリオでマネージャーを務めるスティーブ・フォートソン氏は「Indago 3はスイス陸軍の任務をサポートする特性を有しています。Indagoは比較的低い高度で、高精細な画像を提供します。取り扱いは簡単で、兵士は最小限の訓練ですぐ使うことができますし、サイズや重量、電力にコストが重視されるポータプルや組み込み式のアプリケーションにとって最適な選択と言えるでしょう」とのコメントを発表しています。

 今回の契約にはスイス軍の要望により、軍用通信の分野でよく知られているSilvus Technologies製の通信システムと、ロッキード・マーティンのドローン用ナビゲーションシステム「VCSi」も追加され、訓練や技術サポートを含めたトータルパッケージとなっています。最初のセットは今年後半に引き渡され、それから数か月以内には全部の引き渡しが完了するとのことです。

<出典・引用>
ロッキード・マーティン ニュースリリース
Image:Lockheed Martin

(咲村珠樹)