港湾地区で大規模な爆発が起き、多くの死傷者が出たレバノンの首都ベイルート。イギリス空軍のC-17輸送機が2020年8月15日(現地時間)にブライズノートン空軍基地を離陸し、災害対応にあたるレバノン軍へ医療物資を空輸しました。

 ベイルートの港湾地区で発生した大規模な爆発事故は、ベイルートの広い範囲に影響を及ぼしました。行方不明者の捜索・救難などの災害対応はレバノン政府当局の許容範囲を超え、この事態に各国から援助の手が差し伸べられています。

 イギリス政府は初期対応として、8月9日にキプロス島リマソールから海軍の海洋調査船エンタープライズ(H88)を派遣。爆発事故のあったベイルート港の被害調査とともに、500万ポンド(約7億円)相当の援助物資をレバノンへ届けました。

 この際、ベン・ウォレス国防大臣は「私たちはレバノンの人々に対し、密接で永続的な友情を抱いています。イギリス軍はいつでも必要な時にサポートできるよう、準備を整えています」とのコメントを発表していました。

 その言葉通り、イギリス国防省は追加の人道援助として、ブライズノートン空軍基地のC-17で医療物資を空輸することを決定。医療用保冷コンテナで追加の医療物資を搭載し、8月15日にベイルートへ向け離陸しました。

 ブライズノートン空軍基地司令官のエミリー・フリン大佐は「ブライズノートン空軍基地は年中無休の24時間即応体制にあります。今回、私たちはイギリス外務省と、危機に直面しているレバノン政府をサポートするため、航空機を派遣しました。これは私たちイギリス空軍が、イギリス政府および同盟国をサポートするため、迅速に行動できるという一例といえるでしょう」とのコメントを発表しています。

 すでにベイルートでは、海軍の海洋調査船エンタープライズに乗って到着したイギリス陸軍マーシアン連隊第2大隊「ウースターシャー・アンド・シャーウッド・フォレスターズ」の兵士が、災害対応にあたるレバノン軍を支援するために野戦食堂(フィールドキッチン)と臨時宿泊用テントを設置。およそ500名のレバノン軍兵士が施設を利用しているといいます。

 今回空輸された医療物資は、保冷コンテナで運ばれたことから推測すると、現地で不足している輸血用血液や、温度管理がデリケートな医薬品が含まれているのかもしれません。事故で傷ついた多くの人々が助かることを祈らずにはいられません。

<出典・引用>
イギリス海軍 ニュースリリース
イギリス空軍 ニュースリリース
Image:Crown Copyright 2020

(咲村珠樹)