航空自衛隊とアメリカ空軍は2020年9月10日、日本海から沖縄周辺の東シナ海にかけて、航空自衛隊のF-15とアメリカ空軍のB-1B爆撃機との共同訓練を実施しました。アメリカ空軍爆撃機との共同訓練は8月18日以来のこと。2020年度に入ってからは11回目で、ほぼ月2回というハイペースで訓練を実施しています。
航空自衛隊の戦闘機とアメリカ空軍爆撃機との共同訓練は、アメリカ空軍が実施する爆撃任務部隊(Bomber Task Force)の飛行機会をとらえて実施されるもの。空中給油を受けながら無着陸で飛行し続けるアメリカ空軍の爆撃機に対し、定められた会合地点で合流し、編隊飛行を実施します。
飛行する爆撃機に合流するまでの手順は、日本の領空に接近する国籍不明機に対してスクランブルする際と同じ。国籍不明機に対するスクランブルは、相手の出方が分からないため、場合によっては戦闘に入る危険をはらんだ「実戦」ですが、この訓練では「撃墜されるかもしれない」という緊張感から解放された形で実施できます。
今回アメリカ空軍から参加したのは、第28爆撃航空団第34遠征爆撃飛行隊のB-1B。サウスダコタ州エルスワース空軍基地から4機がグアム島アンダーセン空軍基地に派遣され、そのうちの2機が航空自衛隊との訓練飛行に参加しました。
航空自衛隊から参加したのは、いずれもF-15。第2航空団(北海道千歳基地)から4機、第5航空団(宮崎県新田原基地)第305飛行隊から8機、第6航空団(石川県小松基地)から4機、第9航空団(沖縄県那覇基地)から4機、計20機が相次いでB-1Bと会合し、編隊飛行を実施しました。
アメリカ空軍第28爆撃航空団司令官、デビッド・ドス大佐は「今回の爆撃任務部隊展開は、動的部隊配備戦略の一環であり、インド太平洋地域の安全保障に関与するアメリカの揺るぎない姿勢を示し、いつどこへでも戦力を展開できるという能力を内外に示すものです」と語り、インド太平洋地域におけるアメリカ軍の姿勢を改めて強調しています。
アメリカ空軍爆撃機と航空自衛隊との訓練は、2019年度は2020年2月4日にB-52との訓練が実施されたのみで、2018年度も7月と9月に2回実施されただけ。2020年度は5月以降、月2回のペースでグアムに派遣された爆撃機との共同訓練が行われています。
アメリカ空軍の爆撃任務部隊による飛行訓練は、日本を含むインド太平洋地域だけでなく、ヨーロッパ方面でも回数が増加しています。爆撃機の周回飛行と、それに伴う同盟国空軍戦闘機との訓練は、アメリカ空軍の世界的な攻撃能力を内外に示す目的もあり、ヨーロッパではロシア、インド太平洋地域では中国の動きに呼応しているものと思われます。
<出典・引用>
アメリカ空軍 ニュースリリース
航空自衛隊 プレスリリース
Image:USAF
(咲村珠樹)