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「ちくわにキュウリ挿したやつ」の木彫り 透けるキュウリの色まで再現

 ポンと木皿に置かれているのは、居酒屋のおつまみにも出てくるポピュラーな「ちくわにキュウリ挿したやつ」。メニューの正式名称は分からないのですが、まさかの木彫り作品になりました。作者は木彫り作家として活動する川崎誠二さん。川崎さんに、作品ができるまでをおうかがいしました。

  •  川崎さんは木彫り作家として、可愛らしい動物や、そっくりな食べ物といった作品を発表、販売するかたわら、木彫り教室やワークショップを主宰。作品は中学校の美術教科書に掲載されているだけでなく、木彫りの楽しさを伝える活動をしています。

     今回、SNSで話題となった「ちくわにキュウリ挿したやつ」の木彫りは、2019年に作られた作品。植栽のボックスウッドとしても知られるセイヨウツゲを材料とし、詰められたキュウリを含めて一体で彫り出されています。

    木彫り作品本物そっくりな木彫り作品「ちくわにキュウリ挿したやつ」(川崎誠二さん提供)(川崎誠二さん提供)

     キュウリを穴に詰め込まれ、プックリしたフォルムもリアルに再現。ちくわの断面には、蒸して焼く際にできる気泡もあり、キュウリの角が立っている部分も、ちょっと浮いて空間ができています。

    彫りとヤスリがけで質感を作り分ける(川崎誠二さん提供)

     切った断面とちくわ表面の質感は、彫りとヤスリで作り分けているほか、彩色でも塗り方を変えています。みずみずしいキュウリと、ちくわの断面の違いも見事です。

    彩色はアクリル絵の具(川崎誠二さん提供)

     彩色はアクリル絵の具を使っているとのこと。よく見ると、キュウリの皮が接している面、ちくわの断面から皮の緑がうっすら透けています。

    内側からキュウリの緑が透けている(川崎誠二さん提供)

     美は細部に宿る、といいますが、こういう部分における川崎さんの鋭い観察眼がうかがえます。小皿に転がしてみると、間違えて食べてしまいそうですね。

    お皿にあると食べてしまいそう(川崎誠二さん提供)

     これだけの作品、いくつか習作があったのではないかと川崎さんにお聞きしたところ「特に練習などはしておらず、一発で作っています」とのこと。モチーフを観察することにより、木材の中に彫り出すべきフォルムが見えているのでしょうね。

    モチーフと制作中の作品(川崎誠二さん提供)

     川崎さんはTwitter(@sawsnht)のほか、Facebook(@woodcarving.kawasaki)、Instagram(@seiji_kawasaki)でも様々な作品を発表しています。リアルな食べ物や可愛い動物まで、幅広い表現の木彫りに目を奪われます。

    <記事化協力>
    川崎誠二さん(Twitter:@sawsnht)

    (咲村珠樹)

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