同じパターンを隙間なく敷き詰めた「テセレーション」と呼ばれる画像。パズル的な組み合わせの妙を感じるものですが、平面だけでなく立体でも表現が可能です。同じ形をしたドラゴン60体を球形に組み合わせた立体パズル「テセレーションボール」がTwitterに投稿され、その精緻な組み合わせが反響を呼んでいます。
テセレーション(tessellation)とは、ある図形やパターンを使い、隙間も重なりもなく平面を敷き詰める技法のこと。身近な例ではタイル貼りの壁や床、路面の敷石などがそれに当たります。
パズル的な面白さと、整然と敷き詰められた調和の美を感じるテセレーション。ドラゴンで作るテセレーションボールの作者、テセ松さんは、実在する動物や空想の生き物、漫画やアニメ、映画などのキャラクターで、エッシャー風のタイリングアート(テセレーション)作品を作り、Twitter上で発表しています。
このテセレーション、ポリゴンを使って3D映像を作る際にも使われる技法です。テセ松さんは「たまたま、趣味の一環でほかの方のタイリング作品をネットで探していたところ、テセレーションボール(球面上で敷き詰めを行った作品)の存在を知り、今まで作った作品でも球面上に応用できないか模索し始めました」と、ドラゴンのテセレーションボールを作った動機を語ってくれました。
自身の作品でテセレーションボールに向いたものはないか、色々探していたところ、候補となったのがTwitterのヘッダ画像にもしている「ドラゴンのテセレーション」。「今まで3Dモデリングは趣味で少しやっていましたが、実際に3Dプリントすることは初体験でした。3Dプリンタも今回初めて購入しました」とテセ松さん。
試行錯誤の結果、ドラゴンのフォルムを五角形と考え、五角六十面体とするとちょうど良さそうだと判明。具体的な3Dモデリング作業に入りました。
作品を立体として出力する、3Dプリントが初経験だったというテセ松さん。「データ作成→プリント→組み上がらない→干渉部分の検出→データ見直しのサイクルを何回もやることになり、これが一番苦労しました」と、試行錯誤の道のりを振り返ります。
テセレーションなので、ドラゴンは全て同じ形。ただ、組み上げたり分解したりする作業がしやすいよう「1個だけは、ほかのものより若干小さく作ってあり、分解時にスムーズに外せるように工夫しています」とのこと。
3Dプリンタでの出力は、1度に6個ずつ。テセ松さんは「1回のプリントで1時間半くらいかかり、その後洗浄で30分、乾燥で1日、二次硬化5分くらい行いました。60個なので計10セットおこなっています」と作業のあらましを話してくれました。
同じ形のドラゴン60体による組み合わせなので「説明書がなくても組み立てできると考えていますが、組み立て分解動画をTwitterにアップしました」と語るテセ松さん。大きな反響を呼んでいることに対しては「予想以上に反響があり、欲しいとおっしゃってくれた方もいましたので、まだ具体的な量産方法や販売方法は決めていませんが、販売したい気持ちはあります」とも話しています。
同じ形のドラゴンが60体集まって球形となるテセレーションボール。均一なパターンが作る調和と、隙間なく組み合わされる面白さをあわせ持つ作品です。
60体のドラゴンの3Dプリント終わったぁー!接着剤不要で一応組み立てできるけど、パズル同士の隙間で若干ぐらつくので、取付ベースは必要そうだ。 pic.twitter.com/NRbSg6GsVH
— テセ松 (@Tesematsu) November 9, 2021
https://twitter.com/Tesematsu/status/1459331776975757315
<記事化協力>
テセ松さん(@Tesematsu)
(咲村珠樹)