食事には色々な食器が並び、どこに何を置くか、一応は「しきたり」があるもの。ところがこれって、地域や家によって異なるようなんです。
漫画家の横山了一さんと加藤マユミさんは、北海道出身と関西出身のご夫妻。食事の時「みそ汁をどこに置くか」で、それぞれの育ってきた「しきたり」が違っていることに気づきました。
横山さんは2022年7月26日、Twitterに「みそ汁の置き方って東西で違うんだな……」という漫画を投稿。これは2020年にツイートした漫画の再掲だったのですが、夕食を食べる際、みそ汁が左奥(ご飯の奥)にあるのに気づき、右手前(ご飯と左右対称になる位置)に移動させます。
すると加藤さんは、チッチッチッと「快傑ズバット」の主人公・早川健のように人差し指を左右に振り「みそ汁は……左奥に置くのが正しいんやで」。今まで育つ中で身につけた知識と違い、横山さんは困惑します。
夫妻で「正しい」と思っていることが対立しているので、思い込みを排除するためネットでちゃんと調べてみることに。すると……東西で置き場所が違うことが判明したのでした。
横山さんが調べた結果、大まかに関東では右手前、関西では左奥にみそ汁を置くと判明。2020年のツイートに寄せられた反応からは、九州では関東式である場合が多い、ということも分かったといいます。正式な場での「お作法」と違い、庶民の間では地域によって違いがあるようです。
汁物椀をどこに置くか、という東西差は、どちらも飯碗を左手前に置くのが共通点。これは食器を持つ左手がすぐ届く場所にあったほうが都合がいい、という合理的な理由からでしょう。
これに対し、汁物は液体だけに変な場所に置くと器をひっくり返し、こぼしてしまう危険があります。不用意にこぼしてしまわないよう場所を考えた結果、関東と関西で違いが出たようです。
汁物椀を左奥に置くと、左側にさえぎるものがないので取りやすく、飯碗が手前でブロックしてくれるので勝手が良さそう。そして右手前に置いた場合でも、箸を持つ右手は宙に浮いていることが多いので、左手の動きを妨げずに取りやすい位置といえます。
関西と関東で置き方が分かれた理由までは考察が及びませんが、どちらも正しい、というのは平和的で良いのかもしれません。こういうことから、お互いが育ってきた地域の文化に親しむ機会にするのも悪くなさそうです。
みそ汁の置き方って東西で違うんだな…(再) pic.twitter.com/iOGXBwq0i3
— 横山了一 (@yokoyama_bancho) July 26, 2022
<記事化協力>
横山了一さん(@yokoyama_bancho)
(咲村珠樹)