おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

調子が悪くても「叩かない」けどチャンネルは「回す」?テレビの「昭和しぐさ」聞いてみた

 昭和の昔、テレビがブラウン管だった頃は、調子が悪くなると「角を叩いて直す」という力技がしばしば試みられました。また、チャンネルはダイヤル式でガチャガチャと回すタイプ。これらの文化はいま、どのように変化しているでしょうか?

 編集部ではTwitterの投票機能を使って、問いかけてみました。

  •  白黒からカラー、そしてリモコン式と進化してきた昭和のブラウン管テレビ。内部の回路も真空管からトランジスタ、集積回路を使ったものになると同様に、チューナーもアナログからデジタルへと進化しました。

     画像が出ないなど、調子の悪い時に「本体の角や側面を叩くと映る」という力まかせの対処法や、ほかのチャンネルに「回す」という表現は、ちょうど昭和30年代から40年代、真空管からトランジスタへと主要回路が移行する時代に定着したもののようです。

    ■ 調子が悪いとテレビを「叩く」人は42.9%

     さて、令和の今でも調子が悪くなるとテレビを叩いてみる人はいるのでしょうか?編集部では公式Twitterアカウントで投票機能を使って調査。集まった329票のうち「たたく」は42.9%、そして「たたかない」は57.1%という結果が出ました。

     叩かない人が半数以上を占めましたが、薄型テレビの時代でも叩く人は少なくない模様。案外、ブラウン管テレビの習性が根強く残っているのかもしれませんね。

     今となっては意味不明な「叩くと直る」ですが、これにはさまざまな要因が絡んでいます。内部に侵入したホコリが油と結びついて固着し、接点の接触を甘くしてしまう場合や、経年劣化でハンダづけした部品が外れかけているなどなど……。古いテレビには簡単な回路図が内部に描かれていることもありました。

     これを外部から叩くことでホコリが落ち、接点が復活したり、部品が動いて一時的に接触が良くなったりした、というのが「叩くと直る」の根拠となっていたようです。あくまで一時的に良くなるだけなので、あまり頻繁に叩いていると部品が脱落し、本格的に壊れてしまった、ということもしばしば。

     現代の薄型テレビの場合、主要回路がひとつのチップにまとめられたSoC(System on a Chip)を採用していたり、ディスプレイパネルも微細な配線で各画素を駆動していたりするので、非常にデリケート。下手に叩くと壊れてしまう可能性も高くなるので、叩かないほうが無難です。

    ■ チャンネルを「回す」人は53.4%、「変える」人は46.6%

     叩いて直すと同じく、テレビの昭和しぐさでつい使いがちなのが、チャンネルを「回す」という表現。昔のテレビはロータリー式チューナーを採用しており、つまみを回すことであらかじめ決められた周波数(チャンネル)を受信するという仕組みで、微調整用のダイヤルがついているモデルもありました。

     こちらも同じくTwitterの投票機能を使って調査してみると、拮抗しながらも「回す」が53.4%とわずかに46.6%の「変える」を上回りました。リモコンを使うことがほとんどで、本体でチャンネル操作をしなくなっても「回す」と使う人って多いんですね。

    テレビのチャンネルは「回す」と「変える」が拮抗

     これには、リモコンにあるチャンネルを上下(もしくは左右)で選ぶ送りボタンが影響しているのかもしれません。このボタンを使ってチャンネルを順送り、逆送りに選択していくと、最後のチャンネルの後は最初のチャンネルに回帰するループ構造となっており、あたかも「回している」感覚がします。

     チャンネルを「回す」か「変える」かは、番組表を使わず今やってる番組は何かな……とザッピングする際、チャンネルボタンで個別に選択するか、チャンネル送りボタンで順番に見て選択するか、という使い方の違いもありそうです。その意味では、これからも「回す」は廃れず、残っていくのかもしれません。

     ちなみに、チャンネル選択の言葉は地域差があり、地上波でNHKのほかは民放が2局という宮崎県の場合、別の民放にチャンネルを変える際「反対にする」という表現を使います。NHKだけは特別で「NHKにして」や「8(宮崎におけるNHK総合のチャンネル番号)にして」と言っていました。

     現在はBS放送やケーブルテレビだけでなく、スマートテレビ化したことにより各種動画配信サービスも視聴できるようになりました。将来、これら動画配信サービスを含めたテレビ周りの用語はどのように変化するでしょう。新しい表現が生まれるかもしれませんね。

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 華の会メール・バナー
    PR

    オトナ世代の恋愛マッチング

  • 華の会メール・バナー
    PR

    趣味でつながる30代からの恋愛マッチング \華の会メール/

  • 学生時代の“謎文化”が続々集結!「○○してたら恋人募集中」アンケート結果まとめ
    ライフ, 雑学

    学生時代の“謎文化”が続々集結!「○○してたら恋人募集中」アンケート結果まとめ

  • かつてヤンキー文化を彩った「裏ボタン」が大量発見 これは懐かしい……!
    インターネット, おもしろ

    かつてヤンキー文化を彩った「裏ボタン」が大量発見 これは懐かしい……!

  • 金曜ロードショーの初代OP映像がプラキット化 BGM脳内再生余裕でした
    商品・物販, 経済

    金曜ロードショーの初代OP映像がプラキット化 BGM脳内再生余裕でした

  • 画像提供:架空昭和史作家 西川真周さん(@mashunishikawa)
    インターネット, おもしろ

    家のトイレが巨大ロボのコクピットに!昭和とSFが融合した「架空昭和史」の世界に夢…

  • 懐かしの給食メニューを完全再現 「平成こじらせ部屋」のYouTube企画がすごい
    インターネット, おもしろ

    懐かしの給食メニューを完全再現 「平成こじらせ部屋」のYouTube企画がすごい…

  • Wink鈴木早智子がカフェ店員に!紅白出場時の衣装なども展示しているコラボカフェ開催中
    エンタメ, 芸能人

    Wink鈴木早智子がカフェ店員に!紅白出場時の衣装なども展示しているコラボカフェ…

  • 森永「バニラモナカジャンボ」が“昭和レトロ”CM 敬老の日にシニアへ感謝
    企業・サービス, 経済

    森永「バニラモナカジャンボ」“昭和レトロ”CMを敬老の日にあわせて公開

  • 「昭和レトロな温泉銭湯 玉川温泉」の昭和レトロエリア「新玉川テラス」
    企業・サービス, 経済

    埼玉の温泉施設に「昭和レトロ」テラスがオープン ”タイムスリップ”な写真撮影が可…

  • まるで昔のおもちゃ屋さん!あの頃の夢が詰まった「子ども部屋」がステキすぎる
    インターネット, おもしろ

    まるで昔のおもちゃ屋さん!あの頃の夢が詰まった「子ども部屋」がステキすぎる

  • 「Z世代と昭和世代の違い」
    インターネット, びっくり・驚き

    上司と部下の考えかたの違いが話題 昭和世代は「未来に希望」、Z世代は「未来はわか…

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布
    商品・物販, 経済

    誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償…

  • Yahoo!乗換案内「乗車位置」が全国拡大 乗換や降車がもっとラクに
    企業・サービス, 経済

    Yahoo!乗換案内「乗車位置」が全国拡大 乗換や降車がもっとラクに

  • 期間限定で大阪・関西万博をモチーフにしたデザインも登場
    イベント・キャンペーン, 経済

    モリサワ、「フォント de スタンプ」公開 大阪・関西万博モチーフも

  • メガ“豚”級のウマさ 日清「ガーリックスタミナ豚丼」全国発売
    商品・物販, 経済

    メガ“豚”級のウマさ 日清「ガーリックスタミナ豚丼」全国発売

  • 警告画面
    インターネット, サービス・テクノロジー

    Google、goo.glリンク廃止方針を一部撤回 アクティブなリンクは継続

  • Nick Turley氏(@nickaturley)の投稿
    インターネット, サービス・テクノロジー

    ChatGPT、週次アクティブユーザー7億人目前に 4か月で2億人増加

  • トピックス

    1. 定番の「のり弁」が“冷やし”スタイルで登場?オリジン新作が猛暑に効く

      定番の「のり弁」が“冷やし”スタイルで登場?オリジン新作が猛暑に効く

      夏になると、どうしてもあっさりしたものばかり選びがち。そんな中、「のり弁を冷やして食べる」──気にな…
    2. カレッタ汐留の「ハードコア立ち食いそば」が異次元すぎる 辛つゆと極硬麺がクセに

      カレッタ汐留の「ハードコア立ち食いそば」が異次元すぎる 辛つゆと極硬麺がクセに

      東京・汐留の商業施設「カレッタ汐留」にある異色の立ち食いそば屋「そば さやか」がSNSで話題です。極…
    3. キャラ画像の誹謗中傷利用に懸念、「ワタシってサバサバしてるから」公式が注意喚起

      キャラ画像の誹謗中傷利用に懸念、「ワタシってサバサバしてるから」公式が注意喚起

      漫画「ワタシってサバサバしてるから」の公式Xが8月5日、登場キャラクター・網浜奈美の画像を、誹謗中傷…

    編集部おすすめ

    1. 誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布

      誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布

      育児用品メーカーのピジョン株式会社は8月6日、同社が2023年6月より販売している管理医療機器「電動鼻吸い器 SHUPOT(シュポット)」に…
    2. 怨念渦巻く家で、ナダルと村重杏奈が「リフォームホラーハウス」に挑む

      一軒家を魔改築する「リフォームホラーハウス」、MBSテレビで放送

      一軒家を丸ごとホラー仕様に魔改築する前代未聞のホラー×バラエティ番組「リフォームホラーハウス」が、8月8日と15日の深夜にMBSテレビで放送…
    3. RTA in Japan、任天堂作品を2025年夏大会で除外 無許諾利用の指摘受け

      RTA in Japan、任天堂作品を2025年夏大会で除外 無許諾利用の指摘受け

      「RTA in Japan」は8月4日、2025年夏大会において、任天堂株式会社のゲームを利用しないことについて、経緯を説明。法人による任天…
    4. Nick Turley氏(@nickaturley)の投稿

      ChatGPT、週次アクティブユーザー7億人目前に 4か月で2億人増加

      米OpenAIが開発する対話型AI「ChatGPT」の人気が、再び急上昇しています。ChatGPTのプロダクト責任者であるNick Turl…
    5. 日本でも導入して欲しい!北欧のスーパーにある“アボカドスキャナー”が便利すぎる

      日本でも導入して欲しい!北欧のスーパーにある「アボカドスキャナー」が便利すぎる

      アボカドはギャンブルです。スーパーなどで見かけても、どれくらい熟してるのかは見た目ではわかりません。触って確かめることもできますが確度は高く…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト