自動車メーカーでロボット開発に従事する傍ら、遊ぶためのモビリティや卓上ロボットを趣味で製作している小林竜太さん。

 先日は2023年の第1作として、往年の名作「ドラゴンボール」に登場する「ドラゴンレーダー」を“開発”しました。

 作品は、「人の心を動かすものづくり」の信条そのままに、多くのユーザーのハートを鷲掴みにするファン作品となりました。つかもうぜ!ドラゴンボール!

 「きっかけはフォロワーのツイートからでした。元々小型のデバイスやおもちゃを作るのが好きなので、作ってみたくなりました」

ラウンド液晶とビーコンを活用して「開発」されたドラゴンレーダー。

 小林さんがドラゴンレーダー製作を決意したのは、新年間もない2023年1月4日夜のこと。Twitterユーザーのでべさん(@devemin)の「ラウンド液晶でドラゴンレーダー作ってみたい」というつぶやきに共感してのことでした。でべさんも、小林さんの作りたいという意志を「是非」と後押し。

 本稿を読まれている多くの方がご存知のように、先端のスイッチを押すことで、7つのドラゴンボールが発する電波をとらえ、現在位置を特定するのがドラゴンレーダー。現実世界ではGPSともいえそうな円型の小型探知機は、ラウンド液晶を素材として活用するのが最適です。

 加えて、小林さんが工夫したのは、ビーコン機能を活用して位置情報を推定したこと。2つを掛け合わせることによる面白さを感じたのが理由でした。

 スイッチの代わりにUSBが装着され、さらに別途製作した「ドラゴンボール」から発せられるBluetoothを検知することで、液晶に発光する仕組みの本作。ワンハンドで持ち運びができるサイズ感もばっちり再現しています。

合わせて製作したドラゴンボールとドラゴンレーダー。

ドラゴンボールから発するBluetoothを検知する仕組み。

 現代技術のちょっとしたコツを掴んだ応用により、多くのユーザーたちに胸ワクワクなアドベンチャーを想起させた小林さんですが、もうひとつ特筆すべきなのが完成に至るまでの日数。

 今回ドラゴンボールがドラゴンレーダーに反応する動画を投稿したのは、先の投稿からわずか3日後の1月7日。機体そのものの完成報告にいたっては、翌日の1月5日夕方だったのです。ブルマかな?

発端のツイートからわずか3日で完成。

ドラゴンボールを近づけるとドラゴンレーダーも合わせて反応します。ブルマかな?

 「サイズ感に加えてシンプルな構成にこだわったのですが、その『シンプル』さが苦労した点でした。たとえばGPSを入れて位置推定すれば精度は上がるのですが、それは高価かつ大変ですので」

「電源」まで切れる「スマートハサミ」。

傘型のモビリティ「KASAMO」。

 摩訶不思議な作品を送り出した小林さんは、他にも家電の電源まで切れる「スマートハサミ」や、傘のような形状ののりもの「KASAMO」など、これまたハートを揺さぶるものづくりをされています。この世はでっかい宝島。

<記事化協力>
小林竜太さん(@CH1H160)
でべさん(@devemin)

(向山純平)