世界文化遺産にも登録された「反射炉跡」があることで有名な、鹿児島の観光名所「仙厳園(せんがんえん)」。

 かつて島津家第19代当主・光久公が別邸として建設したとされるその敷地内に、国内でも数少ない猫の神様を祀った神社があることをご存じでしょうか。

 鹿児島と猫に、いったいどんな関係が?と疑問に感じるでしょうが、実は島津家と猫には深い関わりがあるのです。

 かつて島津家第17代当主・義弘公は文禄・慶長の役の際、7匹の猫をつれていきました。猫の瞳孔の開き具合を元に時刻を知るためだったと言われています。その後無事に生還した2匹の猫が、神様として神社に祀られています。

 この為、猫神様は「時の神様」とも呼ばれ、百日咳にもご利益があると言われているんですよ。

猫神の由来

 「猫神社」と呼ばれるその場所は、仙厳園の主たる見どころである「御殿」の裏に位置しています。

案内マップ

御殿

 「錫門」をくぐり抜け、右手に桜島を眺めつつ、「石階段」「曲水の庭」と園内順路を進み、「江南竹林」を過ぎたところに、木製の小さな鳥居が見えてきます。

錫門

桜島の眺めも抜群

石階段

曲水の庭

江南竹林

猫神社の鳥居

 奥に石碑を構え、両側に石灯篭が置かれたこの場所こそが「猫神社」。順路上にはあるのですが、うっかりしているとスルーしてしまいそうなほど、小さくこじんまりとしています。

石碑と石灯篭

 猫の神様を祀っているだけあり、賽銭箱の大きさもなんともかわいらしい猫サイズ。背後の石碑には、缶詰や猫の置き物が供えられており、鳥居の近くにはたくさんの猫神絵馬が奉納されていました。

かわいいお供え物

たくさんの絵馬

 そのほとんどが猫の健康を祈願するものや、虹の橋を渡った猫へのメッセージ。あまり目立たない場所でありながら、いかに多くの愛猫家が参拝に訪れているかが良く分かります。

手水

 筆者も早速手水で身と心を清め、お賽銭を入れて、二礼二拍手一礼。

 私は今でこそ猫を飼ってはいませんが、実家で暮らしていた幼少時から成人ごろまで、愛猫と生活を共にしていました。

 きっと今も空の上から見守ってくれているであろうことに感謝の気持ちを述べると共に、少しだけ昔の暮らしに思いを馳せると、なんだかかつての愛猫たちがそこに来てくれたような気がして、とても懐かしく、すがすがしい気持ちになれました。

神社の隣の売店

 神社の隣には、猫関連のグッズを取り扱う売店があり、ここで絵馬を購入することが出来ます。

売店にはたくさんの猫グッズ

売店の猫グッズ

 その他、猫神守護のお札や、お守り、御朱印帳などの取り扱いもあるなど、まさに猫愛好家にとってはたまらないスポット。鹿児島を訪れた際は、ぜひ仙厳園・猫神社も参拝してみてはいかがでしょうか。※売店内撮影許可を得ています。

仙厳園の石碑

 なお、2月22日猫の日には、大切な愛猫の健康と長寿を祈願する「愛猫長寿祈願祭」が開催されます。直接来園出来なくても、代理祈願として絵馬を奉納することが可能。仙厳園公式HPより2月12日まで申し込み受付中となっています。

<参考>
名勝 仙厳園公式HP
愛猫長寿祈願祭

(山口弘剛)