新潟のバス会社「新潟交通」が、子どもたちにバスに興味を持ってもらうため、バスに設置した「あるもの」がインターネット上で話題になっています。

 設置したものとは「こども運転席」。前方カメラのリアルタイム映像をモニター画面に映し出すことにより、「バス運転士」気分になれるシートです。担当者に設置の経緯などをうかがいました。

 「こども運転席」が設置されているのは、新潟交通が運行している「こどもデザインラッピングバス」という車両。

画像提供:新潟交通株式会社

 夏休みに開催された「子どもデザインラッピングバスコンテスト」にて、グランプリ賞などに選ばれた小学生3人の絵画作品が車体にラッピングされたバスです。10月19日より約1年間、新潟市内のバス路線を走行することが決定しています。

「こども運転席」が設置されているのは、新潟交通が運行している「こどもデザインラッピングバス」という車両

 「こども運転席」にはモニター画面の他、ハンドルも取り付けられています。さらに速度計などの「計器類」やドアの開閉など運転士が乗務中に操作する「スイッチ関係」、アクセルやブレーキなどのイラストが描かれており、運転席そっくりな空間になっています。

前方カメラのリアルタイム映像をモニター画面に映し出すことにより、誰でも「バス運転士」気分になれる

ハンドルも取り付け

■ 子どもたちの「特等席」を用意しよう!

 新潟交通の広報担当者に話をうかがうと、現在「こども運転席」が設置されているバスは1台のみ。平日は固定ダイヤはなく、土曜・日曜・祝日はダイヤを固定して運行しているそうです。

 バスに「こども運転席」を設置したのは今回が初だといいます。きっかけは現場で活躍するバス運転士から聞いた、「運転席の後ろの席に子どもが座りたがっていたものの大人が座っていたため座れず、残念そうにしていた」というエピソードでした。

速度計などの「計器類」

 そこからバスが好きな子はもちろん、バスにまだ興味がない子にバスの魅力を感じてもらうために、「子どもたちの『特等席』を用意しよう!」と動き出したといいます。

 「計器類」や「スイッチ関係」、アクセルやブレーキなどの「操作ペダル」などのイラストは、業者と密に打ち合わせして細部まで表現。

ドアの開閉など運転士が乗務中に操作する「スイッチ関係」

 モニター画面を取り付けようと提案したのは、新潟交通のICカード「りゅーと」の担当者で、乗り物が大好きな社員だとか。ちなみにハンドルは持つことができるものの、安全性を考慮して固定されています。

■ 子どもたちも大喜び!

 「こども運転席」の評判は良く、通学でバスを利用している小学生も喜んでいると運転士から報告も。子どもたちはバスが減速すると、操作ペダルのシートを踏みながら「いまだ!ブレーキ!ブレーキ!」と運転の疑似体験をしているそうです。

アクセルやブレーキなどの「操作ペダル」

 「こどもデザインラッピングバス」の運行期間は1年ですが、「こども運転席」については反響や耐久性などを見て、延長が可能であれば延長するかもしれないとのこと。

 新潟交通では「こども運転席」や「こどもデザインラッピングバス」の他にも、毎年9月に開催している「万代シテイバスまつり」など、子どもたちにバスの魅力を伝えるイベントを数多く実施しています。

子どもたちも大喜び!

 さらに小学校や幼稚園・保育園向けの「バスの乗り方講座」も随時受付中。スペースがあれば路線バスを校舎やグラウンドに移動させて実際にバスに触れながらレクチャーすることも可能なのだとか。

 担当者は「こういった『バスに興味を持ってもらう』取り組みが、将来的に昨今の『運転士不足』の解消に繋がれば」と語っていました。

<記事化協力>
新潟交通株式会社
新潟交通ホームページ「お知らせ

(佐藤圭亮)