「うちの本棚」第十八回は、「少年マガジン」創刊当時に連載されたロボット漫画『13号発進せよ』を取り上げます。

本作は週刊少年マガジンの創刊当初から連載された、ロボット漫画初期の名作のひとつである。


すでに『鉄腕アトム(手塚治虫)』、『鉄人28号(横山光輝)』などがあったわけだが、この『13号発進せよ』もそれらに劣らない、面白い作品だ。にもかかわらず、連載当時に単行本が出されたあと「マンガショップ」での復刊が、実に半世紀ぶりというのであるから驚きである(自費出版である「アップルBOXクリエート」にしても40年以上が経っている)。

また『アトム』や『鉄人』が月刊誌での連載だったのに対し、週刊マンガ誌での連載ということも付け加えておこう。

タイトルからもわかる通り、『鉄人28号』を意識しているのは明らかで、物語の中でも、「13号」を開発した江戸川博士の13番目の発明と説明されている。またリモコンで動き、時には悪人の手に落ちるあたりも『鉄人28号』に類似する。

とはいえ『13号発進せよ』は、週刊誌連載ということもあってか、ストーリーの展開がスピーディーで面白い。正直、もっと退屈するのではないかと思っていたのだが、次々と出されてくるアイデアに、一気に読めてしまった。その分、突然の終了は腑に落ちない印象も受けるのではあるが。

この『13号発進せよ』は、ずいぶん長い間「読みたい作品」のひとつだった。「少年マガジン」の特集で、作品紹介とカットが掲載されたり、夏目房之介の著書で作品が紹介されたのを見る限りで、作品そのものを読む機会がなかったからだ。最初の単行本である東方出版のものは、実物を見たことがない。ロボットマンガの歴史を振り返る意味でも、復刊されたことは喜ばしい。
 夏目は潜水服のような13号のデザインについて触れていたが、個人的にはけっこう好きである。人型の巨大ロボットとしては、いかにも機械というものが主流だったと思うが、13号はどこか着ぐるみ的な印象があり、今だからこそ親しめるデザインなのかもしれない。

■ライター紹介
【猫目ユウ】
ミニコミ誌「TOWER」に関わりながらライターデビュー。主にアダルト系雑誌を中心にコラムやレビューを執筆。「GON!」「シーメール白書」「レディースコミック 微熱」では連載コーナーも担当。著書に『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』など。