国の場合には国歌、県の場合には県歌、そして市の場合には市歌と、それぞれの地域の特徴を表した歌が存在いたします。さらに、地域によっては讃歌があることも。
今回ご紹介するのは、中でも特に異彩を放つ市川讃歌『透明の芯の芯』。以前ネットで大いに話題になっていたようですが、筆者は千葉県に越してきて約20年、市川市にも住んだことがありますが、つい最近までその存在を知りませんでした。しかし知った時の衝撃や……。
つべこべ書くよりも、とりあえず歌詞のご紹介。反応は全て読者にお任せいたします。
■透明の芯の芯 (1番のみ紹介)
夕焼け おお 生命が炎える
市川 夢の常夜燈
舞う 縄文の蛍たち
少女の乳首の尖きに富士とがり
恋の継ぎ橋に立ちすくむ若者の瞳に
どんな鳥が歌ってくれなかったろうか
幸福より長い永遠はありはしないと
市川 炎える生命
常夜燈の夢
千葉県市川市は、1949年に市川市歌を制定。しかし、歌詞に描かれる風景が時代とともに変化してしまったことをうけ、1999年に市川讃歌制作市民委員会が中心となりこの市川讃歌『透明の芯の芯』が制作、発表されました。
作詞は、市川市に縁のある詩人で仏文学者の宗左近氏、作曲は宗氏の音楽における相棒、作曲家の三善晃氏が担当しています。
二人は市川讃歌『透明の芯の芯』の他、数多くの学校の校歌等もてがけており、代表作には福島県立清陵情報高等学校の校歌『宇宙の奥の宇宙まで』(通称:ゆんゆんの歌)などがあります。
この『透明の芯の芯』。かなり独特な表現が登場するため、一瞬面食らってしまいますが、本来は『万葉集』に登場する伝説の美少女『真間の手児奈』をテーマにしたもの。手児奈伝説の舞台は現在の市川市。今でも、手児奈が水くみした井戸などいくつかの伝説の地を見ることができます。歌詞の意味を文字だけで見てしまうと単に驚くだけですが、歌詞の由来を理解すると、手児奈と、手児奈に恋い焦がれる青年の情景が見えてきます。
なお、ニコニコ動画で『透明の芯の芯』を合唱した動画を発見しました。歌詞は有名なのですが、歌った動画は殆ど出回っていないのでとても貴重な動画だと思います。URLを以下に掲載しておくので、こちらも是非ごらんを。
参考: