龍をモチーフにした迫力ある立体紙作品を多く手掛けている、ペーパーアーティストの紙龍(しりゅう)さん。作品制作時に”ある裏技”を使っているそうです。

 規則正しくカットされた龍のウロコに用いられているのは、100円ショップ等で購入できる「クラフトパンチ」。ハート型、花びら型にカットされた紙が、まさかウロコになるとは!

 紙龍さんは、過去にテレビ東京系列の番組「TVチャンピオン 極~KIWAMI~ ペーパークラフト王選手権」で優勝した経験の持ち主。龍の造形に限らず「楽しい、面白い」を制作のテーマにしており、作品の展開図に頼らない、感覚派の紙細工作家です。

 もともと作品制作に、同じ形が大量に型抜きできるクラフトパンチを頻繁に使用していたという紙龍さん。その形から想像出来るように、ミニチュアの花のリースやブーケなどの制作に用いていたそうですが、ある時ふと、花びらが龍のウロコに見えたのだそう。

これが龍のウロコに見えるとは……

 これはもしや、と思い早速作品づくりに活かすと、その出来上がりは狙い通りの形に。以来、紙龍さんの作品づくりにおいてクラフトパンチはさらに重要なツールとなりました。

最初に作った赤い龍

 今回投稿した赤と紫と龍に用いた花びらの数は、さすがに不明としながらも、それぞれA4サイズの厚紙5枚分は穴だらけにしたとのこと。ぱっと見でも、相当数が使われていることが良く分かりますが、まさかそこまでとは。

 さらに、これを1枚1枚手作業で貼り付けていくわけですから、その苦労は並大抵ではないことが明らかです。紙龍さん自身はこの作業を「修行」と位置付けており、「いつか終わる……いつか終わる……」と思いながら進めているそうです。

 しかし、その苦労は決して無駄にはなりません。完成した作品に使われた花びらやハートは規則正しく並び、実に美しい龍のウロコを形成しています。

赤い龍

その作業はまさに修行

高い完成度を誇る龍のウロコを形成

 作品について「(新作を)作っていくにつれてだんだんウロコの量が増えてきてますねw」と、少し自虐的な様子の紙龍さん。しかし、それはもちろん「龍」というモチーフに対し「さらにすごい作品を作りたい!」という強いこだわりを持っているからこそなのでしょう。

 インタビューの最後には「今後もこのクラフトパンチを使ったウロコ貼りも作っていきますが、もっと面白い技法を模索していきます!」と、力強く宣言してくれました。紙龍さんの”修業”はまだまだ続きそうです。

<記事化協力>
紙龍-SiRYU-さん(@SiRYU000)

(山口弘剛)