2018年8月2日(現地時間)インドの航空機メーカーHAL(ヒンドスタン航空機)は、ゴアにあるハンサ海軍航空基地で、現在建造中の国産空母ヴィクラントに搭載する飛行機の着艦フックの試験を行い、成功させたと発表しました。第二次大戦後の現代海軍において、空母運用に必要な拘束着艦装置の試験を国産機で成功させたのは、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国に続いてインドが6か国目となります。
今回の拘束着陸試験は、着艦フックが設計通りの性能を示すかどうかを確認するために行われたもの。インド初の国産空母ヴィクラントに搭載する予定となっている、インドの国産戦闘機LCA(テジャス)の海軍型試作2号機(NP-2)を用い、海軍のダヒヤ大尉が搭乗して実施されました。
着艦信号士官(LSO)のマオランカル准将らが見守る中、着艦フックを下ろし、通常のタキシング(地上での移動滑走)速度で拘束着艦装置試験設備に進入したLCA海軍型2号機は、無事に最初のトライで着艦フックが着艦ワイヤーをとらえ、機体を停止させることに成功しました。着艦フックは設計通りの耐荷重性能を示し、問題ないことが実証されたのです。
これに先立つ7月23日には、バンガロール上空で飛行中の着艦フック展開試験にも成功しており、7月28日からハンサ海軍航空基地に移動し、ここの地上試験施設で実際の艦上運用試験に備えた試験を行っていました。すでにスキージャンプ甲板を模した設備を使用した発艦試験も成功させており、空母運用における最大の難関である着艦試験への第1段階を無事に終えたと言っても過言ではありません。
試験はこれから飛行機の速度を上げ、最終的に着艦フックを使用した拘束着陸を行う予定です。インド初の国産空母ヴィクラントは2015年に進水し、現在2018年12月の竣工を目指して艤装中。就役は2020年10月ごろを予定しています。国産空母で国産艦上戦闘機を運用するのは空母を保有するどの国も実現させてきましたが、インドがその一員に加わるのも遠いことではなさそうです。
Image:Hindustan Aeronautics Limited
(咲村珠樹)