スウェーデンのサーブは2019年11月6日(現地時間)、新しい次世代型電子戦ポッド(EAJP)をグリペン戦闘機に搭載して飛行試験を行い、成功させたと発表しました。これは専用の電子戦機ではなく、通常の戦闘機に搭載するタイプの電子戦ポッドです。
エレクトロニクスの発達により、電子戦の重要性は年々高まっています。レーダー誘導のミサイルから身を守るだけでなく、相手のレーダーを無力化し、防空システムの脅威を排除することは、作戦を成功に導く重要な要素です。
航空作戦における電子戦は、電子戦用の機器操作パネルや計器が必要な関係上、これまで専用の電子戦機が担ってきました。しかし電子戦機は高価かつ機密の塊であり、予算が潤沢なアメリカなど限られた国でしか開発・運用されていません。
サーブが今回飛行試験を行った次世代型電子戦ポッドは、専用の電子戦機を必要とせず、通常の戦闘機に搭載するタイプ。試験で電子戦ポッドを搭載したグリペンF(複座型)は、コクピットに大型の多機能ディスプレイ(MFD)を装備しており、ソフトウェアの追加で電子戦ポッドの操作や動作状況の表示が可能です。
サーブの監視システム部門を統括するアンダース・カープ上級副社長は「グリペン戦闘機に、この新型電子戦ポッドを搭載して飛行試験を行うことは、我が社の新しい電子戦能力開発における重要な位置を占めます」とコメントしています。
最新の戦闘機では、コクピットはアナログ計器ではなく、大型の多機能ディスプレイ(MFD)で複数の情報を切り替えて表示する形式になっており、ソフトウェアの更新により様々な機能を追加することができるようになっています。今回飛行試験を行ったサーブの新型電子戦ポッドも、グリペンE/Fだけでなく、ほかの戦闘機にも電子戦能力を付加することが可能。既存の戦闘機を電子戦に使用できるメリットは、各国からの注目を集めそうです。
<出典・引用>
サーブ プレスリリース
Image:SAAB
(咲村珠樹)