NASAは2020年1月28日(現地時間)、国際宇宙ステーションに初めて誕生する民間のモジュールに、アクシオム(Axiom)・スペースの案を選定したと発表しました。アクシオムによると、最初のセグメントは2024年打ち上げを目指すとのことです。
アクシオム・スペースは、NASAで2005年から2015年にかけて国際宇宙ステーション(ISS)プログラム・マネージャを務めたマイケル・サフレディーニ氏を中心に、2016年に設立した宇宙開発ベンチャー企業。幹部には宇宙飛行士をはじめとするNASAのOBや、NASAの取引先出身者が顔を揃えます。
NASAでは今後、月や火星といった遠くへの有人宇宙飛行へリソースを集中させることにしており、国際宇宙ステーション(ISS)を中心とした、地球を周回する低軌道(Low Earth Orbit=LEO)の分野を民間に任せる方針を打ち出しています。民間の宇宙船が国際宇宙ステーションへの人員を輸送する「コマーシャル・プログラム」もその一環です。
これと同時に、国際宇宙ステーションで「空きスロット」となっているドッキングポートを民間に開放し、商業的な有人宇宙開発事業の発展に寄与する「NextSTEP(Next Space Technologies for Exploration Partnerships)」計画を進めています。今回、JAXAの「きぼう」モジュールが接続している「ノード2」と呼ばれる結節ユニットのうち、空いている前方(Forward)のドッキングポートを第1弾として開放し、接続する民間企業のモジュール案を募集していました。
選定されたアクシオム・スペースのモジュールは、同じ形をした居住・実験セグメントが3つのほか、全面が窓になった高さ2mほどの展望セグメント、全部で4つのセグメントで構成されます。
大きな特徴である展望セグメントは、現在国際宇宙ステーションの展望台的役割を果たしている「キューポラ」の規模を大きくしたもの。船外活動用宇宙服を着なくても、まるで宇宙空間を浮遊しているように地球の景色が見下ろせます。
今回、国際宇宙ステーションに自社のモジュールが選定されたことを受け、アクシオムのサフレディーニCEOは「アクシオムは様々なユーザーに対し、研究、新技術の開発、月や火星を目指すシステムの試験や、宇宙や地上で使用する優れた製品づくりを行うスペースを国際宇宙ステーションに提供します。この独創的な取り組みにおいて、私たちはNASA、そして現在および将来の国際的パートナーと手を取り合って協力することを楽しみにしています」とのコメントを発表しています。
アクシオムによると、最初のセグメントは2024年後半の打ち上げを目指して設計・製作を進めるとのこと。この経験をもとに、将来的には独自の宇宙ステーション建設まで視野に入れています。
この民間モジュールには、民間の宇宙飛行士や宇宙旅行者が滞在できるようにもなるとのことなので、有人宇宙飛行の商業化が現実的なものになってきたことを感じさせますね。
<出典・引用>
NASA ニュースリリース
アクシオム・スペース ニュースリリース
Image:Axiom Space
(咲村珠樹)