イギリス空軍が新たな哨戒機として導入を決定したポセイドンMRA Mk.1(ボーイングP-8A)。その1号機「プライド・オブ・マレー」が2020年2月4日(現地時間)、アメリカからスコットランドのキンロス飛行場(旧キンロス空軍基地)に到着しました。

 老朽化のため退役したホーカー・ニムロッドに代わり、新たな哨戒機として9機が採用されたポセイドン。旧来からの対ロシア潜哨戒のみならず、近年北極圏でも高性能な耐氷船や施設を導入して進出を図る中国の動きも勘案して、より高い警戒監視能力が求められました。

 イギリス空軍で運用されるポセイドンの1号機(ZP801)は、2019年7月12日にアメリカのレントンで初飛行。10月に引き渡しを受け、フロリダ州にあるアメリカ海軍のジャクソンビル航空基地で乗員の訓練と導入試験が続けられてきました。

 当初は2020年春を予定していたイギリス入りでしたが、訓練が順調に進んだこともあり、予定を前倒ししてのイギリス到着。キンロス飛行場へやってきたポセイドンは、第II(AC)飛行隊のユーロファイター2機による出迎えを受けました。そしてゆっくりと、初めてとなるイギリスの地を踏みしめたのです。


 出迎えたアン-マリー・トレベリャン国防副大臣は「ポセイドンはもうすぐ、戦闘機や艦船、潜水艦、ヘリコプター、そして精強な海兵隊らと一体となり、北極圏での任務に入ります。北極圏における平和が侵されようとすることを、イギリスは決して座視することはありません。ポセイドンが配備されるロジーマス基地は、イギリスの北の備えを担う重要な場所です。これからはタイフーンによる防空だけでなく、対潜防衛における心臓部ともなるのです」とコメント。ポセイドンに期待を寄せました。

 同じくキンロス飛行場でポセイドン1号機を出迎えたマイク・ウィグストン空軍参謀総長は「ポセイドンMRA1はゲームチェンジャーとなる哨戒機です。イギリスへやってきた1号機の『プライド・オブ・マレー』と、再びスコットランドで哨戒飛行を始める乗員たちを目にして、海軍とともに我が国とその海洋を守ってくれることを誇りに思います」とコメントを発表しています。

 イギリスにやってきたポセイドンは、現在ロジーマス基地で行われている滑走路と誘導路の改修作業が終わる2020年10月までは、一時的にキンロス飛行場で運用される予定。2021年の終わりには全9機が出揃い、第120飛行隊で哨戒任務、そして第201飛行隊で乗員養成任務に使用されることになっています。

<出典・引用>
イギリス空軍 ニュースリリース
Image:Crown Copyright 2020

(咲村珠樹)