NASAは2020年2月20日(現地時間)、国際宇宙ステーションから通算100機目となる超小型衛星(CubeSat)が射出されたと発表しました。2008年のコンセプト発表から約12年を経て、学生やNPOによる超小型衛星プロジェクトが大台を迎えたことになります。

 学生やNPOに、より手頃な人工衛星開発の機会を与えるために発案されたCSLI(CubeSat Launch Initiative)計画。縦横高さが各10cm、重量1.33kg以下のキューブ型ユニット(U)を基準に、最大12ユニットの大きさで人工衛星を作り、補給物資とともに国際宇宙ステーションへ送って、そこから地球周回軌道に射出するという方法で、打ち上げコストを最小限にしたものです。

 衛星の大きさが規格化されたため、開発や製作のハードルも低くなり、これまでに大学や研究機関が開発したものだけでなく、高校生や小学生が作った衛星も宇宙へ送り出されてきました。主な目的としては、技術実証や科学観測、そして衛星を作ること自体による教育的なものも。

 記念すべき100機目の衛星となったのは、メリーランド州立大学ボルティモア校(UMBC)による地球観測衛星HARP(Hyper-Angular Rainbow Polarimeter)。搭載した偏光計で、大気中のエアロゾルや水蒸気の動きや分布を観測する、3ユニット分(30cm×10cm×10cm)の大きさを持つ人工衛星です。

 HARPはほかのCubeSat6機とともに、ノースロップ・グラマンのシグナス補給船に搭載され、2019年11月2日に打ち上げられました。そして射出装置NRCSD(NanoRacks CubeSat Deployer)に装着されて、日本の実験モジュール「きぼう」のエアロックから外部曝露パレットにセット。2月20日に射出されました。

 2020年2月には、最後のCubeSat案が選定される予定。この最後のCubeSatは国際宇宙ステーションからではなく、1972年12月のアポロ17号以来となる有人月飛行「アルテミス2」ミッションに付随するペイロードとして打ち上げられることになっています。

<出典・引用>
NASA ニュースリリース
Image:NASA

(咲村珠樹)