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【ミリタリー魂】第38戦 AK祭り~旧共産圏の兵器専門のサバイバルゲームをレポート

【ミリタリー魂】第38戦 AK祭り~旧共産圏の兵器専門のサバイバルゲームミリタリーな話題をマニア目線でお届けしている、鉄砲蔵の「ミリタリー魂」。

今回は1989年11月のベルリンの壁崩壊を手始めに崩壊した旧ソビエト連邦をはじめとする旧社会主義国の銃器のみを使用したサバイバルゲーム、「AK祭り」をご紹介。


  • 【関連:ミリタリー魂、過去の戦績(バックナンバー)】
     
    今回は取材に至ったキッカケはなんと、旧ソビエト連邦装備ファンで女性の方のブログ「ゼロから始まる女の戦い」をネット上で発見。
    そこで「AK祭り」なる催しが11月25日に開催されると紹介されており、たまたま僕のコレクションにAK47Sがあったので興味を持って参加を決意しました。

    自分のAK47

    この日、使用する旧東側の兵器。冷戦下の戦争を描いた映画の数々ではアメリカ軍の手強い敵の使用する武器として登場するものの、多くのサバイバルゲームではカッコイイ外観で構えやすく操作しやすいデザインのアメリカ、イタリア、ドイツ、ベルギーなど西側の銃を模した銃が人気を集めています。

    でもやはり歴史上に登場した木と鉄の銃の重厚な色合い、輝きの魅力にもファンは多い……。ということで、今回のレポートするサバイバルゲームでは、その東側銃器ファンだけの集まりになっていました。

    さて、最寄りの西武新宿線南大塚駅よりタクシーでおよそ10分。意外にも南大塚駅前のタクシー乗り場、運転手さんに「デザートストーム川越まで」と言うだけで話が通じました。ここ2~3年ほどサバイバルゲームフィールドまでの道順を知っていてくれる運転手さんが増えてくれて助かります。
    日曜日によくフィールドまで乗ってゆく人が多いそうで、運転手さんも電話で呼び出す際の電話係の人もすっかりおなじみですだそうです。

    アル・カイダ装備の運営役さん 会場の様子

    午前9時にデザートストーム川越に到着。このフィールド、駐車場は45台収容可能でフィールド部分はおよそ200m×50m。当日、フィールド運営役の方は20人くらいの参加を予測していたそうですが、意外にも約70人の参加者が集まったそうです。
    写真に写っているアフガニスタン風の服装の人が運営役の方でした。アル・カイダ装備、現在、中東地域でアメリカと対立している組織の服装だそうです。
    アル・カイダという言語の意味自体は「座」とか「基礎」とかいう意味しか持たず、明確な組織や階級を持っていません。それぞれ個人が勝手に軍事活動を行っているので明確な制服などは存在せず、中東の民間人の服装に東側の兵器と弾倉を持ち歩く為のマガジンポーチ、というスタイル。一見低コストで簡単に思えますが、中東の宗教や生活スタイルに熟知する必要があり、意外にも知識を必要とします。

    フィールドの建物群 見取り図の看板

    余談ですが、3年ほど前に来たときからフィールドが変化していることに気がつきました。
    以前は射程が20m~30mほどのエアガンに対して素通しのまっ平らな空間が100mくらいありましたが、今回来てみると屋根はないのですが弾除け用の建物状の囲いが複数設けられて街が再現され、30mを越える長距離で敵と遭遇しにくいように工夫がされていました。

    ソ連空挺装備のAyuさん

    まず会場に到着してお会いしたのは今回参加のきっかけになったブログ「ゼロから始まる女の戦い」のAyuさん。
    今回は空からパラシュートで敵陣に降下して攻め込む部隊・ソビエト連邦空挺部隊装備で参加されていました。
    まだサバイバルゲーム一年生ということでしたが、旗を取り合うフラッグ戦でフラッグを取る活躍を見せていました。将来、かなりの腕前になってくれそうで、大いに楽しみです。

    混雑するフリマ 商品のガス拳銃 格安の弾倉

    今回はゲームの他、会場にはフリーマーケットが設置されていました。みんな格安の商品に群がり大盛況。
    並んでいた商品を見ているとガス拳銃を発見。これは、ガスの力で本物の拳銃と同じようにスライドが動いて弾を発射する方式の銃で、撃った時のリアルな感触が楽しめます。しかも射程・耐久性ともにゲームでの実用性も備えた銃。それがなんとお値段3千円!
    これらは通常だと1万4000円前後する商品です。写真では「ジャンク」とありますが、一応全て故障はしていないそうです。エアガンのことがよくわからない人に後で苦情言われないようにとの予防線だそうです。
    あと、ライフルの弾倉では3100円する430連弾倉が1000円!ほかにも2000円前後する68連発弾倉も軒並み1000円!もう投げ売りの嵐です。

    メイドのTシャツ 注意書き

    他にも面白いものを発見しました。なんとAK47の発展版のAK102を持ったメイドさんのTシャツ。下がっていた注意書きには「刷ったのはいいけどこんなの恥ずかしくて自分では着られません。我こそは勇者と思う方はどうか買ってください。」そこで前述のAyuさんに聞いてみました。

    私「もし街中でこれを着た男性を見かけたら逃げますか?」
    Ayuさん「私の方から声をかけます!」

    なるほど、そういってくれるとありがたい。
    覚悟を決め、筆者自ら自腹で購入!1800円でした。寒さをこらえ、一回だけこれを着てゲームし会場を盛り上げました。
    ただ、これからこのシャツを着て公道を歩けるかどうかは迷いますが……。

    さて、ゲームも半ばにさしかかった頃、撮影会となりました。

    スペツナヅの訓練シーン再現 民間軍事会社の再現

    分厚いヘルメットをかぶり、列をなして拳銃やライフルを構えているのはロシア連邦特殊部隊スペツナヅの演習を再現。
    演じている方によると、「スペツナヅ」というロシア語自体が「特殊部隊」という意味だそうです。ロシアの特殊部隊はソ連時代の1950年に創設され、敵陣内での偵察や破壊活動、要人暗殺など……特に危険で高い技術と知識を必要とする任務を行っています。

    ヘルメットをかぶっていない方々はPMC(Private Military Company)、民間軍事会社のコスプレの方。
    民間軍事会社とは、文字通り“民間企業”が経営する軍隊。1991年のソビエト崩壊を境に冷戦が終結し、米ソで軍縮が進んだ結果多くの退役軍人が発生。一方で民族紛争やテロ戦争に対応する需要から要人警護や軍事指導、物資補給任務など軍隊と同じような業務を行う企業が設立され、多くの退役軍人が勤務するようになりました。
    2000年頃の対テロ戦争以降、急成長している業界です。
    装備費用がアメリカやロシア連邦の正規軍より比較的安価なうえ、ホルスターやポーチなど国籍、時代に関わらず自由に使用できるため、全体の3割くらいはこの民間軍事会社のコスプレでした。

    並べた東側兵器

    そして一斉に全員の銃を並べて撮影。ベトナム戦争の記録映像でこういうシーンをよく見かけます。最近のエアガンは外観が良くできていて歴史のワンシーンの再現も容易になりました。

    女性グループの記念撮影

    今回の撮影会では女性グループの撮影も。最近は女性のサバイバルゲーマーが本当に増えました。

    ナイトスコープ のぞいた所

    最後に、この日最大の珍品を発見!ロシア製のナイトスコープ!ナイトスコープというのは、暗闇の中の星や月の光を増幅して映像を作ることによりライトを灯さずに自分だけ敵を見られるようにする兵器で「スターライトスコープ」とも言います。ロシア製でオーストラリアで5万円で購入したそうです。緑色の画像はそれをカメラで覗いてみたところ。ピントが合っていませんが、実際に目で覗くともっと鮮明に見えます。

    今回は特別に東側の兵器に限定した少し本格的なゲームに参加してきました。
    ただ、普段からこうした事は頻繁に行われているわけではないので、もしこれからサバイバルゲームを始めよう!という方は、そう気張らずに参加してみてください。

    【協力】
    ▼「ゼロから始まる女の戦い」
    http://miliayu.militaryblog.jp/
    ▼AK祭り
    http://akfeast.militaryblog.jp/

    (文・写真:鉄砲蔵)

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