おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【うちの本棚】160回 ちびっこ怪獣 ヤダモン/永井 豪(原作・うしおそうじ)

ヤダモン「うちの本棚」、今回取り上げるのは永井 豪によるコミカライズ作品『ちびっこ怪獣 ヤダモン』です。

テレビアニメ初期の作品をコミカライズした永井 豪初連載作品でもあり、ヒゲゴジラが登場するあたりも必読です。


  • 【関連:159回 鋼鉄ジーグ(松本めぐむ版)/松本めぐむ(尾瀬あきら)】
     
    本作はピープロ制作のテレビアニメ『ちびっこ怪獣 ヤダモン』のコミカライズ作品で、原作はうしおそうじ(アニメのクレジットでは原案)。永井 豪の初連載作品にあたるが、デビュー自体が本作連載開始直前の1967年11月号の「ぼくら」(『目明かしボリ吉』)だった。

    アニメ作品の方は全体の内容が確認できないのではっきりしたことはいえないが、ヤダモンが南極で発見された卵から生れること、猫が苦手でお菓子が大好き、日本の大矢田家に飼われているという基本設定の上で自由に描かれたという印象がある。というのも後に永井 豪の有名キャラクターとなる「ヒゲゴジラ」がコミック版オリジナルキャラクターとして全編にわたって登場していたりするからである。その意味ではアニメのキャラクターを使った永井 豪オリジナル作品といってもいいのかもしれない。

    ヤダモンは体長80センチながら炎を吐くうえに、おなかのボケットからプロペラを取り出し頭の角に取り付けてヘリコプターのように飛ぶことが出来る。後年『ドラえもん』で使われるアイデアに先行していたといっていいだろう。

    内容は単純に言ってドタバタギャグで、ヤダモン自身をめぐっての追いかけっこなどがメインとなっている。初連載という気負いは感じられず、生き生きとしたタッチで描かれているのは永井 豪の才能だろう。

    単行本は始め若木書房の「コミックメイト」から刊行された(単行本のタイトルは「ちびっこ怪獣」が省略され『ヤダモン』)。このシリーズからは永井 豪の初期作品がいくつか刊行されていたが、そのほとんどがそのまま再刊行されないままレアアイテムとなっていたが、本書を含むいくつかのタイトルは99年にメディアファクトリーから再刊行された。

    最初の単行本では「まんが王」に掲載された『電撃四郎イナズマ作戦』『ちびっこ刑事(デカ)ちゃん』が、メディアファクトリー版では「小学一年生」に掲載された『なぞなぞぼうやXくん』『かいじゅうはかせポコペンちゃん』が併録されている。
     
    初出/講談社「ぼくら」(1967年12月号~1968年7月号)
    書誌/若木書房・コミックメイト(昭和45年10月10日)
       メディアファクトリー・永井豪華版(1999年4月1日)

    ヤダモン・メディアファクトリー ヤダモン・若木書房

    (文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/

    あわせて読みたい関連記事
  • 4K修復で蘇った「劇場版マジンガーシリーズ」上映
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    「劇場版マジンガーシリーズ」上映!「ロボットガールズZ」のトークイベントも

  • アニメ/マンガ, ニュース・話題

    ゲッターロボ・サーガ最終作「ゲッターロボ アーク」ついにアニメ化

  • エンタメ, 舞台

    舞台版「キューティーハニー」2020年2月に上演決定 元NMB48・上西恵主演

  • インターネット, 社会・物議

    ロボットガールズZ×西武鉄道コラボが実現!記念乗車券発売へ

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】177回 キューティーハニー/石川 賢(原作・永井 豪)

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】176回 UFOロボ グレンダイザー/桜多吾作(原作・永井 豪)

  • アニメ/マンガ, 放送・配信

    永井豪「マジンガー」シリーズがまさかの美少女アニメ化―来年1月放送決定

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】175回 グレートマジンガー/桜多吾作(原作・永井 豪)

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】174回 マジンガーZ/桜多吾作(原作・永井 豪)

  • アニメ/マンガ, 商品・グッズ

    本物の銀貨がついた「1/20マジンガーZ」でパイルダーオンごっこをやってみた

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      インターネットを使っていると、ふとした瞬間に現れる「警告ポップアップ」。 近ごろでは「サポート詐欺」…
    2. 母に何気なく70年万博の話をしたら……“55年前の資料”にテンション爆上がり

      母に何気なく70年万博の話をしたら……“55年前の資料”にテンション爆上がり

      大阪・関西万博をきっかけに、55年前の1970年の大阪万博(以下、70年万博)に興味を抱くようになっ…
    3. ハチワレ特製「暗殺者のチャルメラ」を再現 トマトと粉チーズでインスタントラーメンが大変身

      ハチワレ特製「暗殺者のチャルメラ」を再現 トマトと粉チーズでインスタントラーメンが大変身

      10月1日にXで公開された漫画「ちいかわ」にて、ハチワレがちいかわに振る舞った“暗殺者のチャルメラ”…

    編集部おすすめ

    1. フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      「みんなの75点より、誰かの120点」を合言葉にドン・キホーテが展開している偏愛メシシリーズ。10月1日に「本当にこの組み合わせが好きな人が…
    2. 将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      オンライン将棋対局サービス「将棋倶楽部24」が、2025年12月31日をもって終了することが発表された。運営する席主の久米宏氏が10月1日付…
    3. pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

      pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

      アパレルブランド「pium」が9月30日、店舗スタッフの接客に対する多数の指摘や批判を受け、公式Xにて謝罪文を公開しました。併せて再発防止策…
    4. 「ビー・バップ」クラファン始動、清水で“高校与太郎祭”実現へ 返礼に「鉄橋ダイブ」関連も

      「ビー・バップ」クラファン始動、清水で“高校与太郎祭”実現へ 返礼に「鉄橋ダイブ」関連も

      映画「ビー・バップ・ハイスクール」のロケ地として知られる静岡市清水区で、作品ゆかりの企画を集めた大型オフラインイベント「清水 ビー・バップ・…
    5. 第7回京都アニメーションファン感謝イベント『私たちは、いま!! ―京アニのセカイ展―』

      京都アニ「第7回ファン感謝イベント」追加情報を公開 新商品や書籍予約、グッズ二次予約も発表

      株式会社京都アニメーションは、10月25日・26日の2日間で開催予定の「第7回京都アニメーションファン感謝イベント『私たちは、いま!! ―京…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト