おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

流行再来!?おたふく風邪に注意

update:

 およそ4年に一度のサイクルで流行しているおたふく風邪。今年2016年も、10月から西日本を中心に流行していると報じられていました。それを裏付けるようつい先日ネットでは、おたふく風邪にかかった人の報告やかかった場合の処置が話題になっていました。

  • 【関連:薬剤師が自宅で作る 風邪撃退ラーメン】

    ■感染経路と症状

     ムンプスウィルスを原因とする流行性耳下腺炎のことをおたふく風邪と呼びます。飛沫感染によってうつり、2~3週間の潜伏期間を経て発症します。
    感染した人のくしゃみや咳を吸い込んでしまったり、本人と接触したり生活している空間で触れるものを共有していたら感染する可能性が高くなり、インフルエンザと比べてもかなり潜伏期間が長いために忘れたころに発症することが多いようです。感染力は強いため、気をつけていても患者さんが多い場所に行くと感染する可能性が高いようです。

     症状は耳の下にある耳下腺やエラの内側にある顎下腺の腫れや痛み、高熱などです。通常、普通の風邪の場合は喉や鼻の奥などの粘膜が腫れ違和感が出るのに対して、おたふく風邪の原因となるムンプスウィルスは唾液腺の腫れが特徴的です。熱はだいたい3日程度続き、唾液腺の腫れは1周間程度で治まりますが、合併症として無菌性髄膜炎や脳炎、膵炎、難聴、睾丸炎や卵巣炎が起こる場合があります。

     以前、友人が意識混濁した現場に居合わせ救急車を呼んだことがあります。ムンプスウィルスが原因かはわかりませんが、無菌性髄膜炎になり重症化した状態だったそうです。高熱、意識混濁、激しい頭痛、そして本人は必死に何かを訴えようとしていたようですがちゃんとした言語にはなっておらず……。幸い処置が早かったため一命を取り留めましたが、悪化すると脳炎になることもあるそうで非常に怖い症状です。

    ■大人の場合は重症化しやすい

     大人になってからおたふく風邪にかかると、より症状が強く現れる場合があり重症化しやすいそうです。39度以上の熱が出て唾液腺が強く腫れるせいで食事を摂ることが困難になる場合も。
    先に挙げた合併症に関しても重症化しやすく、最悪命に関わってしまうことも……。

     男性の場合はおたふく風邪を発症した場合約30%という高い確率で発症する可能性があります。通常は片方だけが炎症し機能を失っても、もう片方が残っているために不妊症の原因に直結することはないと言われてはいますが、左右両側の睾丸炎が重症化する可能性もあり、この場合は無精子症になってしまうこともあるそうです。
    女性の場合も約7%に卵巣炎が起こりますが、これも同様で両側に炎症が起こった場合は不妊症の原因になってしまうそうです。

    ■ワクチンについて

     通常、どんな感染についても自然免疫、つまりその感染症にかかった後につく免疫が一番強いとされています。しかし、だからといってわざと感染し辛いを思いをして免疫をつけるなんてことは体のためにも危険です。おたふく風邪の予防接種は1歳になってから早い時期に1回、小学校就学前に追加で1回するのが理想的です。1回だけだと後々に免疫が弱くなる可能性があるからです。また、予防接種を受けたからといって絶対にかからないわけではありませんが重篤化を防ぐことができます。現在、自分に抗体があるかどうか心配な人は血液検査を受けて抗体の有無を調べることができます。検査結果によって追加接種をするかどうかを判断してください。

     感染力が高く飛沫感染でうつるおたふく風邪にを予防するためには、ワクチンを打っておくことが重要です。いくらマスクをして出歩いたり、きちんと手洗いうがいをして患者が多い場所に行ったりしなくても、感染するときは感染します。特に、これから子供を持ちたい思っている男女の皆さんは1日でも早く抗体の有無を調べて、心配場合はワクチンを打っておくにこしたことはないかもしれませんね。

    (文:大路実歩子)

    あわせて読みたい関連記事
  • えっ略字ってこんなにあるの……?「機」「傘」などメモ用に覚えたい45種類
    インターネット, 雑学・コラム

    えっ略字ってこんなにあるの……?「機」「傘」などメモ用に覚えたい45種類

  • セルフケアに積極的な新社会人はワークライフバランス重視の“二刀流”!?第一三共ヘルスケアの調査で明らかに
    社会, 経済

    セルフケアに積極的な新社会人はワークライフバランス重視の“二刀流”!?第一三共ヘ…

  • HPVワクチンのキャッチアップ接種、期間が延長されているの知ってた?
    社会, 経済

    HPVワクチンのキャッチアップ接種、期間が延長されているの知ってた?

  • 井上咲楽さん公式Xより
    エンタメ, 芸能人

    女優・井上咲楽、気づくと右目が緑色に!心配の声が上がるも「大丈夫なやつです」

  • Geroさん公式X(@Gero2525)より引用
    エンタメ, 芸能人

    Geroさん、尿路結石再発も「ビッグサンダーマウンテン療法」に異論

  • (写真左から)江崎グリコ株式会社 健康イノベーション事業本部 商品開発部の池田紀子さん、日本料理店「和敬」店主の竹村竜二さん、江崎グリコ株式会社 執行役員の木村幸生さん
    企業・サービス, 経済

    江崎グリコ、「おいしく減塩」に挑戦 減塩食品の革命を宣言

  • 「カロリAI」で食事の写真を読み込ませた画面。AIが分析して材料や量、カロリーを推定する
    インターネット, サービス・テクノロジー

    カロリー管理続かない人が作った「カロリAI」が話題に 管理をスマート化して“自分…

  • ジョンソン・エンド・ジョンソン「人生100年時代のヘルスリテラシー白書」公開!デジタルツールの活用が都市圏で拡大
    企業・サービス, 経済

    「人生100年時代のヘルスリテラシー白書」公開 デジタルツールの活用が都市圏で拡…

  • ICIによるがん免疫療法のいまとこれから
    企業・サービス, 経済

    がん治療“第4の柱”「免疫チェックポイント阻害薬」製薬会社がセミナー開催

  • 思春期男子の睾丸の痛みは我慢せずすぐに受診を 泌尿器科医が注意喚起
    インターネット, 雑学・コラム

    思春期男子の睾丸の痛みは我慢せずすぐに受診を 泌尿器科医が注意喚起

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • ヤマト運輸、元従業員が取引先情報を不正持ち出し 2社に流出、営業活動での使用も確認
    企業・サービス, 経済

    ヤマト運輸、元従業員が取引先情報を不正持ち出し 2社に流出、営業活動での使用も確…

  • YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能にする試験導入を発表
    インターネット, サービス・テクノロジー

    YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能に…

  • 南インド伝統のチキンカレー「ケララチキンカレー」
    商品・物販, 経済

    松のやが南インド伝統の味を再現 「ケララチキンカレー」新発売

  • 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)
    商品・物販, 経済

    ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」…

  • キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化
    商品・物販, 経済

    キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

  • 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言
    社会, 経済

    時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

  • トピックス

    1. 藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      プロの声楽家として活動する傍ら、1時間1000円から自分の時間を「レンタル」している男性。キャリア豊…
    2. ドムドムが“カニまるごと”の衝撃バーガーを再販 新作コチュジャン味を食べてみた

      ドムドムが“カニまるごと”の衝撃バーガーを再販 新作コチュジャン味を食べてみた

      ドムドムハンバーガーは10月14日に、カニを丸ごと挟んだ「丸ごと!!カニバーガー」を販売開始しました…
    3. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト