いよいよ2018年5月19日に迫った、イギリスのハリー王子とメーガン・マークルさんの結婚式。ロイヤルウェディングに向けて様々な準備が進んでいますが、王室騎兵隊も式典に向け、着々と準備を進めています。

 17世紀からの長い伝統を誇るイギリス王室騎兵隊。そのうちのひとつ、ブルーズ・アンド・ロイヤルズは、王室のアン王女が連隊長(名誉職)を務め、2006年に陸軍士官学校を卒業したハリー王子が最初に配属された部隊です。装甲偵察部隊としての側面もありますが、騎兵の伝統を受け継ぐ1個中隊は、もうひとつの王立騎兵連隊であるライフガーズの1個中隊と合わせて、王室騎兵乗馬連隊を組織し、儀仗任務にあたります。

 儀仗任務の中でも、ロイヤルウェディングは特に晴れがましい舞台です。このため、それぞれの装備も普段以上にピカピカに磨き上げ、準備を進めています。清教徒革命で知られるオリバー・クロムウェルがイングランド共和国時代の1650年に「胸甲騎兵連隊」として創設した当時から続く、部隊名の由来となっている紺色の制服に、胸甲と額にイングランドの紋章が輝くヘルメット。金属部分はピカピカに磨き上げられ、ヘルメットの頂部につけられる赤い房装飾、そして金色の肩章と飾緒が美しいコントラストを見せています。


 制服につけられる飾緒などは、兵士たちにより、ひとつひとつ手作業で縫い付けられていきます。手縫いで仕上げられていく様子は、さながらテーラーのよう。

 1652年にチャールズ皇太子(のちのイングランド王チャールズ2世)の騎馬護衛隊として発足したもうひとつの王室騎兵隊、ライフガーズは、イギリス陸軍における連隊序列1位の連隊として知られています。こちらは、ピカピカに磨き抜かれた胸甲とヘルメット、そして鮮やかな赤の制服です。ヘルメット頂部には白色の房装飾が付いています。キュロット(乗馬ズボン)は白で、イングランド国旗の色の取り合わせ。

 もちろん、各連隊の乗用馬も晴れの婚儀に備え、美しく手入れが続けられています。毛艶を高めるブラッシングはもちろん、蹄鉄も打ち替えます。


 式典では、トランペット(アイーダ・トランペット)によるファンファーレも欠かせません。これを担当するトランペット奏者の制服は、紫に金モールの装飾、胸と背中には王冠に「エリザベス2世」を示すイニシャルが大きく記されています。紫に金のモールというのは、競馬におけるエリザベス2世女王の馬主服(勝負服)も同じ配色です。


 5月19日の結婚式の様子は、世界中に中継される予定なので、皆さんがその様子を目にすることがあるでしょう。どうしても主役のハリー王子とメーガン・マークルさんに注目してしまいますが、その式典を支える王立騎馬連隊など近衛兵たちの華やかな服装にも注目してみると、より楽しめるかもしれません。

Image Credit:Crown Copyright 2018

(咲村珠樹)