おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

ドイツ軍が無人偵察機(ドローン)「ヘロンTP」を採用

 2018年6月13日(欧州中央時間)、ドイツ政府はエアバスと滞空型無人偵察機(ドローン=UAV)として「ヘロンTP」を導入し、運用中のサポートも含めた契約を締結しました。この契約は2018年後半に予定される政府予算の議会承認を待って有効となります。

  •  ドイツ軍は既に、滞空型無人偵察機「ヘロン1」をアフガニスタン(2010年から)やマリ(2016年から)の派遣先で運用しています。今回の契約で、能力を増強した新しいヘロンに更新されることになります。

     ヘロン(Heron)は元々、イスラエルの国営企業IAIによって開発された中高度長時間滞空型(Medium Altitude Long Endurance=MALE)無人偵察機。機体後部に備えられたプロペラを駆動する、推進式プロペラ機です。機体には偵察用機材や航法機材、燃料タンクやエンジンがあり、推進式のレイアウトのために、尾翼は主翼から後方に伸びるブームの先にあるという「双ブーム式」の機体レイアウトを採用しています。

     今回ドイツ軍が採用を決めた「ヘロンTP」は、ヘロンの性能向上型。当初は「エイタン(Eitan)」という名前でアナウンスされていました。全長14m・全幅26m、最大離陸重量は5.4トンで、標準的な任務における積載量は1トンとなっています。エンジンはヘロンのレシプロエンジン(115馬力のターボチャージャー付きRotax914)から、ターボプロップエンジン(1200馬力のプラット&ホイットニー・カナダPT6)に変更され、大幅にパワーアップしています。これにより最高速度も倍近い220ノット、運用最高高度も民間旅客機が飛行する航路の上を飛べる4万5000フィートとなりました。

     操縦系統はトラブルに備えて3系統あり、衛星回線(SATCOM)経由で遠隔操縦できるほか、自動での離着陸(ATOL)システムも搭載しています。滞空時間は30時間以上。また、NATOが定める無人機運用に関するNATO標準化協定第4671号(STANAG 4671)にも対応しており、NATOのシステムに完全に対応しています。

     IAIはドイツ軍の提案要求に対し、ドイツ政府との実績の豊富なエアバスと共同でヘロンTPを提案していました。ドイツ軍は5機のヘロンTPを導入し、9年間運用する予定。ドイツ軍への納入はエアバスを通じて行われます。

    Image:AIRBUS

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • イギリスの外務・英連邦・開発省(FCDO)の公式Xアカウント
    ゲーム, ニュース・話題

    ゲームコントローラーが戦争に使われてる?イギリス、ロシアへの輸出を禁止

  • (C)Disney
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    東京ディズニーリゾート、スペシャルドローンショー「マジック・イン・ジ・エア」を全…

  • ACSLの鷲谷社長(左)と万国郵便連合の目時事務局長(右)
    企業・サービス, 経済

    日本のACSL ドローン関連企業として初めて万国郵便連合に加盟

  • 国土交通省の無人航空機登録ポータルサイト(スクリーンショット)
    宇宙・航空

    2022年6月20日よりドローンの登録が義務化 そのポイントは?

  • フランス国家憲兵隊の特殊部隊とH160(画像:Airbus)
    宇宙・航空

    フランス国家憲兵隊に新ヘリコプターH160 パリ五輪に備え2024年より受領開始…

  • NTTドコモの実験をしたエアバスのソーラー無人機ゼファー(画像:Airbus)
    宇宙・航空

    NTTドコモ エアバスのソーラー無人機を使用しての移動基地局実験に成功

  • 談笑するドイツのゲアハルツ空軍総監とイスラエルのノルキン少将(画像:イスラエル空軍)
    宇宙・航空

    ドイツ空軍制服組トップ 共同訓練に合わせイスラエルを訪問

  • 離陸するソーラー無人機ゼファーS(画像:Airbus)
    宇宙・航空

    エアバスのソーラー無人機「ゼファーS」 クラスの高度世界記録を樹立

  • プレアデス・ネオ3号機が撮影したエジプトのピラビッド(Image:Airbus)
    宇宙・航空

    地球観測衛星プレアデス・ネオ3号機 宇宙からとは思えない超高精細画像を公開

  • 空中給油試験中のEC725(H225M)とA400M(Image:DGA)
    宇宙・航空

    エアバスA400M輸送機 ヘリコプター2機への同時空中給油に成功

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)
    商品・物販, 経済

    ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」…

  • キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化
    商品・物販, 経済

    キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

  • 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言
    社会, 経済

    時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

  • ゴロっとチキンのカレーナポ
    商品・物販, 経済

    パンチョ初の人気投票1位「カレーナポ」が進化 期間限定で復刻登場

  • 山崎賢人さんと坂口憲二さん(※山崎賢人さんの崎の字は正しくは「たつさき」です)
    イベント・キャンペーン, 経済

    サントリー生ビール新CMメイキング公開 山崎賢人ら“生ひげ”姿で掛け合い

  • なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売
    商品・物販, 経済

    なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売

  • トピックス

    1. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…
    2. これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      親に怒られてしまった子どもが、その後に取る態度はさまざまです。落ち込む子もいれば、しっかり反省する子…
    3. 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      インターネットを使っていると、ふとした瞬間に現れる「警告ポップアップ」。 近ごろでは「サポート詐欺」…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト