地震大国といわれるほど全国各地で地震が起きる日本。6月18日には最大震度6弱を記録する大阪北部地震が発生したばかりです。

 今回は大阪を中心に大きな揺れが観測されましたが、他の地域でも他人事ではありません。このため常日頃から被災した時に備えて災害への備えが盛んに唱えられていますが、中でも役立つのはやはり「被災経験者たちの知恵」。そんな声の一つが話題になっています。

 1995年に発生した阪神・淡路大震災を経験したという、Twitterユーザー・Pepperさんのお母さま。当時、家の中が大きく揺れ、食器棚の観音開き(フレンチドア)になっている扉が全開。大切にしまっていた食器コレクションのほとんどが割れてしまったといいます。

 この経験から、食器棚の扉には「S字フック」をかけるようになったそうです。S字フックは百円ショップなどでも売られている、荷物をかける時に利用される便利グッズの一種。これをかけることによって、揺れによる扉の開きを阻止しようというアイデア。家族にも扉を開け閉めした後には必ずかけなおすよう癖づけていたといいます。そして訪れた大阪北部地震ではその対策が大いに役立ち、扉が開くのを食い止めることができました。内部で食器のずれは多少あったそうですが、それでも扉が開いて食器が飛び出し、割れてあたりに散乱するという事態は防ぐことができました。

 地震発生時のケガの中には、割れた食器を踏んだことなどによるものも多く含まれます。そのため、いざという時の備えとして就寝時には枕元に履き物を用意しておくことが推奨されていますが、床に割れた食器が散乱しないにこしたことはありません。特にペットを飼っているご家庭の場合は、大事なペットを守ることにも繋がります。犬や猫は裸足ですからね。

 この方法は、阪神・淡路大震災をきっかけに知られるようになり、2011年の東日本大震災の時にもS字フックのおかげで「食器落下の被害が防げた」という体験談がSNSに投稿されています。また、使い方としてはPepperさんの写真のようなS字フックの片方だけをかける方法以外に、S字フックのサイズや扉の取っ手の幅・形状によっては横にして左右の扉にかける方法もあるようです。

 他にも棚の作りについては、阪神・淡路大震災の経験から「引き戸」がいい。などあるようですが、既に観音開きタイプの扉があるご家庭にとって、S字フックは手軽にできる対策。食器棚以外にも、キッチンの収納扉やタンスなど家の中を見渡せば何かと観音開きの扉を持つものは多く存在しています。いちいち戻すのは面倒な気もしますが、癖にしてしまえばいざという時に役立ちます。今一度家の中を見渡して、不安な場所があれば是非試してみてはいかがでしょうか。

<記事化協力>
Pepperさん(@PepperAnnex)

(宮崎美和子)