内閣府は4月24日、防災情報発信用の公式Xアカウントで「地震の日時や場所を特定して予知することは困難」とする内容の注意喚起を投稿した。

 現在インターネット上では、「2025年4月26日に首都直下地震が起きる」や「2025年7月下旬に大災難がやってくる」といった“予知”情報が拡散している。こうした噂の広がりと時期が重なることから、政府として冷静な対応と正しい理解を促す狙いがあるとみられる。

「地震について 日時と場所を特定して地震を予知することは、現在の科学的知見からは困難ですので、いつ発生してもおかしくない地震に対し、避難場所や避難経路の確認、家具の固定など日頃からの備えを行うとともに、揺れを感じたり津波警報等が発表されたら直ちに避難するよう、お願いいたします。」(内閣府防災公式ポストより)

■ SNSで拡散する“予知”とその背景

 「2025年4月26日に首都直下地震が起きる」とする噂は、一部のSNSアカウントや動画投稿などを通じて、不安を煽るようなかたちで拡散されたもの。内容には「霊的な予言」なども含まれており、多くの人が真偽に関心を寄せる事態となっていた。

 また「2025年7月下旬に大災難がくる」との説も、2021年に出版された“予知夢”を扱う書籍をもとに広まり、相乗的に地震予知への注目を高める要因となっている。

■ 科学の力をもってしても「正確な予知」は困難

 日本は世界有数の地震多発国であり、これまでにも数多くの研究機関が地震の発生メカニズムに迫るための調査・解析を続けてきた。

 気象庁や大学、防災科学技術研究所などの専門機関では、全国各地に設置された地震計やGPS観測装置などを使い、地面の動きや震源域の変化を常時観測。プレートの動きや微小地震のパターン、過去の巨大地震の記録など、さまざまなデータが収集・分析され、研究は日々進められている。

 しかし、こうした努力を重ねてもなお、「いつ」「どこで」「どのくらいの大きさの地震が起こるか」を正確に言い当てることは、現在の科学技術をもってしても実現されていない。

 このような背景から、内閣府が今回改めて強調したのは、「いつ発生してもおかしくない」という前提で備えを進めること。備えの一例として、「避難場所や避難経路の確認」「家具の固定」を紹介した。

 また、地震の揺れを実際に感じたときや、津波警報が発表された場合には、「直ちに避難する」ことも強調されている。

内閣府防災のポスト

■ 不確かな情報に惑わされない“防災リテラシー”を

 今回のような「地震予知」の噂は、過去にも何度かSNSや動画サイトで拡散され、話題を呼んできた。そのたびに、根拠が不明確なまま不安が広がる傾向がある。

 不確かな情報に振り回されないためにも、「信頼できる情報源から情報を得る」という基本姿勢が求められる。政府の防災アカウントや気象庁の公式発表など、公的な情報に基づいて判断することが大切だ。

 防災の基本は「正しく恐れること」。科学的な知識に基づいた理解と、日頃からの備え、そして冷静な行動が、災害から命を守る最も確実な手段となる。

<参考・引用>
内閣府防災(@CAO_BOUSAI)