ヒトからは様々な体臭が発生します。良く知られている加齢臭は、加齢と共に発生する特有のニオイ。ニオイは自分では気が付きにくい反面、他人からは「クサイ、不潔」という印象を与えかねないため、ニオイケアは身だしなみの一つともなっています。資生堂が10月に新たな体臭「ストレス臭」の原因物質(ジメチルトリスルフィドとアリルメルカプタン)を特定、その発生源がストレスから発するものという事を突き止め、これを発表したところ当時大きな話題となりました。

 そこで発表から約1か月がたった11月に、首都圏在住の20代~40代の男女1200人を対象にカラダのニオイに関する調査を実施。その結果が今回新たに発表されています。

■ ストレス臭とは

 人間が緊張した時などストレスを感じた時に、体の皮膚から放出される気体で、多くは血液に由来している「皮膚ガス」のひとつ。ネギの様なニオイと称され、性別や年齢に関係なく、面接、試験、プレゼンテーション、スピーチ、初対面の会話など心理的に心拍数が上がるような緊張した状況で全身から発生します。

 このストレス臭、資生堂が10月に発表してから意識調査を行った11月のわずか1か月後には、約3人に1人がストレス臭を認知していることがわかりました。さらに、ストレス臭とはどんなものかを示すと、約8割がストレス臭をケアしたいと回答。ストレス臭に対して多くの方々が高い関心を示すことが分かりました。

■ 日常の様々な場面に「ストレス臭」は存在

 資生堂が行った意識調査に参加した、首都圏(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)在住の20代~40代の男女 1200人(10歳刻みで男女各200人ずつ)で、ストレス臭を経験した424人に、におった場面を聞くと、「職場」(61.3%)が最も多く、次いで「電車やバスやタクシーのなか」(28.3%)、「社内会議室」(19.1%)、「研修やセミナー会場」(16.0%)などがあげられました。特別な場所や状況だけではなく、むしろ、日常の中に「ストレス臭」を感じる傾向があるようです。「ストレス臭」自覚率の高い30代男性は、職場で「ストレス臭」を感じた割合が74.2%と群を抜いて高くなっています。以下、面接会場(15.1%)、エレベータの中(13.9%)、自宅(12.7%)、駅(10.8%)、イベント会場(5.4%)、デパート・スーパー・コンビニなどの商店(5.0 %)、学校(5.0 %)となっています。

 また、ストレス臭を感じた人に、ストレス臭がどんなニオイかを表現してもらうと、「気むづかしいお客さまの接客の際に感じる自分の不快なニオイ」(28歳・男性)、「アンモニア臭のような酸味のあるツンと来る嫌なニオイ」(45歳・男性)、「汗臭のようにきついニオイではないが、いやな感じのする苦味のあるニオイ」(29歳・女性)、「今まで嗅いだことのない不快なニオイ」(37歳・女性)、また、「脂っぽい・脂が酸化したようなニオイ」という意見が男女ともに出ていました。

■ 男女問わず、約半数が気にしている

 「ストレス臭」の定義を明らかにした上で、全員を対象に改めてストレス臭が気になるかと聞くと、全体の約半数が「気になる」(47.6%)と答えています。男女ともにさまざまな緊張やストレスにさらされる機会の多い30代(男性51.5%、女性52.0%)が最も高い結果となりました。以下、女性40代(51.0%)、女性20代(49.5%)、男性20代(43.0%)、男性40代(38.5%)と、全体的に女性の方がニオイに対する敏感さが感じられる結果となっています。

 また、ストレス臭をケアしたいかと聞くと、全体の81.8%が「ケアしたい」と答えており、ニオイケアへの関心の高さがうかがえます。

■ 気になるストレス臭の元をケアするには

 ストレス臭は緊張による心理的ストレスが原因で発生するニオイ。現代社会はストレスと切っても切れない状況ですが、そのストレスを上手にケアする事でストレス臭を軽減させる事ができるといえます。意識調査に参加した人にストレス解消のためにしていることを聞くと、「しっかりと睡眠をとる」(54.1%)、「好きなものを食べる」(47.3%)、「趣味など好きなことに没頭する」(39.5%)などが上位にあげられ、男性よりも女性の方が取り組む割合が高めとなっています。中でも、「買い物をする」は男性19.2%に対して女性45.7%、「人と話をする」は男性18.3%に対して女性40.3%、「お酒を飲む」は男性26.5%に対して女性19.5%など、ストレス発散のための方法に男女差がはっきりと分かれる傾向もみられます。全体的にみると、女性の方が男性よりもストレスの発散に対して意識が高い傾向にあるようです。

■ ストレスケアはニオイ以外にも有益

 身体・精神面へのストレスは内臓疾患、抑うつ症状、皮膚症状などあらゆる症状を引き起こす引き金になります。特に強いストレスは日常生活や社会生活にも問題を引き起こす事に繋がります。自分にとって何がストレス源になっているのか、どうしたらストレスを緩和できるかを考えて実践していく事で、ストレス臭の軽減にも、生活の質の向上にも繋がります。

情報提供:株式会社資生堂

(梓川みいな/正看護師)