おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

ネットを見ていたら突如「システム警告!」 新たな偽警告にご用心

 つい先日、他社のニュースサイトを見ていたところ、突然画面が切り替わり「システム警告!」、なんてどぎついページに飛ばされてしまいました。一瞬、ビックリしてしまいますよね。

  • ■ 以前流行った「おめでとうございます!」と似た手口

     とはいってもこのパターン。今年の年始あたりから夏頃にかけ、かなり大規模に発生した「おめでとうございます!Googleをお使いのあなた!!○○○の当選者に選ばれました。OKをクリックして景品をお受け取りください」と似た手口。

     この時も、普通のサイトを閲覧していたら(国内外新聞社のサイトや、人気サービス、大手SNSなど)突然当選ページに飛ばされるという流れでした。なお、このまま受け取り手順をふむと、個人情報を記す画面が現れ、最終的には「情報(名前やクレジットカード情報)」が何者かに取られてしまい、後に金銭的被害につながるという、一般でいう「フィッシング詐欺」サイトになっていました。この時は、ネットニュースでも度々紹介され「詐欺の認知度が向上」。2018年夏頃には収束へと向かっていったのですが……。

     久し振りに飛ばされて「システム警告!」。またかぁ。しかも今回どぎついな。なんて思いつつ、ついでにネットの反応を調べたところ、やはりというか「こういうの来てビビった」「大丈夫なのこれ?」なんて声がちらほら。「うっかり騙されそうになった!!」という人も。今回はまだ大規模発生はしていないようですが、この手の詐欺は情報共有が一番!ということで記事にしてみることにしました。

     さて今回の詐欺について、一体どんな手口なのだろう?「システム警告」の後にある、「更新」ボタンを押す勇気はないので、その道のプロにサクっと聞いてきました。


    ■ 「ウイルスバスター」の中の人に聞いてきた

     記事に協力いただいたのは、トレンドマイクロ株式会社。トレンドマイクロはセキュリティ関連製品の開発・販売を行っている企業で、有名な商品に「ウイルスバスター」があります。今回の攻撃は2018年9月の段階で確認していたとのことで、セキュリティエバンジェリストの岡本勝之さんに詳しい話をうかがいました。

     まずこの詐欺についての名称ですが、一般的には「偽警告」と呼ばれているものだそうです。私がこのサイトに飛ばされた理由は、見ていたサイトの広告枠の中に、不正なプログラムを仕込んだ「不正広告」が表示されたのではないか?というお話。

     「ネット上に不正広告が表示されると、不正なサイトに自動で転送されてしまい、最終的にフィッシング詐欺やマルウェア感染といった被害に繋がります」と岡本さん。

     ただし、前回のプレゼント系の時とはことなり「フィッシング詐欺」が目的ではなく、今回のものは「マルウェア感染」(悪意のあるプログラムに感染させること)が目的。なんだか前回よりも手口が巧妙となり悪質さが増しています。

    ■ 「偽セキュリティソフト」をダウンロードさせるらしい

     今回の脅威について改めて詳しく調べていただいたところ、「最終的な被害として偽セキュリティソフトがインストールされ、製品版の購入と称して金銭を騙し取られてしまうことが分かりました」とのこと。

     金銭をだまし取るまでの具体的な流れとしては、偽警告画面から「更新」ボタンを押すと、PC修復プログラムをダウンロードするよう促されるそうです。そしてその画面から、ダウンロード開始を押してしまうと、偽セキュリティソフトがインストールされます。インストールした偽セキュリティソフトでスキャンを実行すると問題が検出され、修復しようとすると製品版の購入を促されるという流れになっていたそうです。

     なお、万が一ひっかかってしまった時の対応も聞いてみました。「感染前であれば、ご使用のセキュリティ製品のウイルス検出機能により最終的に感染するマルウェアを検知する、Web対策機能により不正URLへのアクセスをブロックする、などの対策によりマルウェア感染を防ぐことができます」とのこと。

    画像提供:トレンドマイクロ

     また万一感染してしまった場合には、「感染したマルウェアの種類によってはセキュリティ製品で駆除できる場合もあります。ただし、マルウェアの種類によるため、ご使用のセキュリティ製品の提供会社にお問い合わせいただくことを推奨いたします」と教えてくれました。

    ■ ひっかからないための第一歩は「手口を知る」こと

     マルウェアに感染すると、様々な悪影響が考えられます。上記以外にも、個人情報を抜き取られる、(外部から)不正に操作される、などなど。感染して良いことは一つもありません。場合によっては、位置情報やIPアドレスなど、知らない間に自分のPCやスマホの情報が何かの犯罪で悪用されることもあるでしょう。怖い怖い。

     そうならないためにも、どうしたら自分を守れるのか。これについては「手口を知り騙されないようにする」ことが、まずは最大の防御につながるそうです。また、「Web上の表示で示されている内容について一旦止まって考え直すことで気づけることもあります。STOP、THINK、CONNECT」と岡本さん。おかしな表示に出くわしたら、止まって、考える。その後でつなぐ。また、考える時に、何か情報がないか「調べるクセ」をつけるのもいいですね。

     さらにいえば、情報共有するのも大事なこと。筆者がこうして記事にしたように、もし自分が見かけたらSNSなどで注意喚起する。家族や身近な人には雑談の時には「こんなのあるよ~」と口コミで広めることも重要だと思います。

     自分の身を守るだけではなく、人に知らせることで情報が共有される。自分がひっかからなかったからセーフセーフ。ではなく、折角ならその情報、誰かを守るためにぜひ役立ててみてください。

    <記事化協力>
    トレンドマイクロ株式会社

    (宮崎美和子)

    あわせて読みたい関連記事
  • 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠
    インターネット, サービス・テクノロジー

    警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

  • 怪しい電話を意図せず撃退してしまう?黒電話ユーザーの詐欺対応が話題
    インターネット, おもしろ

    怪しい電話を意図せず撃退してしまう?黒電話ユーザーの詐欺対応が話題

  • 「ふくぎょうのおしごと!」既視感満載の怪しい広告が勧めてくる“副業”とは?
    インターネット, 社会・物議

    「ふくぎょうのおしごと!」既視感満載の怪しい広告が勧めてくる“副業”とは?

  • 偽ファッション広告
    インターネット, 社会・物議

    偽ファッション広告がGoogle広告に大量出現 サポート詐欺被害に注意

  • ちょ、まてよ。それ何のドラマだよ!「勇者」出演の偽キムタクとLINEで対峙した一部始終
    インターネット, 社会・物議

    ちょ、まてよ。それ何のドラマだよ!「勇者」出演の偽キムタクとLINEで対峙した一…

  • 偽公式からの当選通知を追跡!行き着いたのは「能登半島応援」を騙る悪質詐欺
    インターネット, 社会・物議

    偽公式からの当選通知を追跡!行き着いたのは「能登半島応援」を騙る悪質詐欺

  • AIで生成されたフェイク動画
    インターネット, 社会・物議

    一瞬本物かと……有名人の顔と声までAIで再現!進化する投資詐欺の実態とは

  • “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート
    インターネット, 社会・物議

    “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート

  • 詐欺電話に“うっかり出た”読者の実体験 あなたの不安に付け入る手口とは(画像:PhotoACより)
    社会, 雑学

    詐欺電話に“うっかり出た”読者の実体験 あなたの不安に付け入る手口とは

  • フッション系と思わせるサポート詐欺サイト
    インターネット, 社会・物議

    ファッション広告のフリをした罠 ますます巧妙化する“サポート詐欺”

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売
    商品・物販, 経済

    なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売

  • Discordの発表
    インターネット, 社会・物議

    「Discord」で外部委託先に不正アクセス 一部ユーザーの個人情報が影響か

  • 江口拓也さん&鬼頭明里さん、“声で伝える広報”第2章へ ENEOS「#こえ報部」新企画が始動
    イベント・キャンペーン, 経済

    江口拓也さん&鬼頭明里さん、“声で伝える広報”第2章へ ENEOS「#こえ報部」…

  • 旨辛ユッケジャンクッパ風スープ
    商品・物販

    ダイドードリンコ、韓国の味わいを缶スープで再現 「旨辛ユッケジャンクッパ風スープ…

  • 新作ゲーム「裏バイト:逃亡禁止 たつ子の謎」
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「裏バイト:逃亡禁止」の恐怖をゲームで 小学館がマダミス「たつ子の謎」を11月配…

  • 新物板うに手巻きセット(5貫分)
    商品・物販, 経済

    くら寿司、旬の「新物うに」登場 板うに手巻きセットや北海たこうにも販売

  • トピックス

    1. 任天堂が謎の映像「Close to you」を公開 ピクミン新作?ロゼッタ?ファンの考察が過熱

      任天堂が謎の映像「Close to you」を公開 ピクミン新作?ロゼッタ?ファンの考察が過熱

      10月7日22時5分、任天堂が突如として一本の短編CGアニメ「Close to you(あなたのそば…
    2. 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      インターネットを使っていると、ふとした瞬間に現れる「警告ポップアップ」。 近ごろでは「サポート詐欺」…
    3. 母に何気なく70年万博の話をしたら……“55年前の資料”にテンション爆上がり

      母に何気なく70年万博の話をしたら……“55年前の資料”にテンション爆上がり

      大阪・関西万博をきっかけに、55年前の1970年の大阪万博(以下、70年万博)に興味を抱くようになっ…

    編集部おすすめ

    1. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    2. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    3. フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      「みんなの75点より、誰かの120点」を合言葉にドン・キホーテが展開している偏愛メシシリーズ。10月1日に「本当にこの組み合わせが好きな人が…
    4. 将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      オンライン将棋対局サービス「将棋倶楽部24」が、2025年12月31日をもって終了することが発表された。運営する席主の久米宏氏が10月1日付…
    5. pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

      pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

      アパレルブランド「pium」が9月30日、店舗スタッフの接客に対する多数の指摘や批判を受け、公式Xにて謝罪文を公開しました。併せて再発防止策…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト