インドネシア国防省は2019年4月11日(現地時間)、インドネシア海軍の新しい潜水艦「アルゴロ(405 Aligoro)」が進水したと発表しました。アルゴロは、インドネシア国内で初めて建造された潜水艦です。
アルゴロは、ドイツの輸出用通常動力型潜水艦209型を原型とする、インドネシア海軍のナーガパーサ級潜水艦の3番艦。1番艦のナーガパーサ(403)、2番艦のアルデダリ(404)は、開発元であるドイツのホヴァルツヴェルケ=ドイツ造船から製造ライセンス供与を受けた、韓国の大宇造船海洋(世界2位の規模を持つ造船会社)が建造しました。同じく209型潜水艦を原型としている、韓国海軍のチャン・ボゴ(張保皐)級潜水艦とほぼ同型ということもできます。
全長は約61m、全幅6.25m、1400トンクラスの潜水艦で40人乗り。MTUの12V493ディーゼルエンジンで発電し、モーターで推進するディーゼル・エレクトリック方式を採用しています。最大速力は潜水時21.5ノット、浮上時11ノットとされ、艦首に魚雷発射管を8門備えています。
このナーガパーサ級潜水艦建造をめぐっては、韓国のほかにフランス、ドイツ、ロシアも入札に参加していましたが、技術移転も提示した韓国が2011年12月に3隻総額11億米ドルで受注に成功していました。この契約に基づき、技術移転してインドネシア国内で建造したのが3番艦のアルゴロです。建造はインドネシアの国営造船企業PT PALが行いました。
スラバヤのPT PALセマラン造船所で行われた進水式で、インドネシアのリャクドゥ国防大臣は「この3番艦は、我が国の防衛産業における大きな契機となります」と述べ、自国の造船会社が潜水艦を建造した意義を語っています。
インドネシアは大小の島々で構成される海洋国家であり、シーレーン防衛を担う海軍力は重視されています。アルゴロ進水の翌日となる4月12日には、韓国の大宇造船海洋と総額10億2000万米ドルで、同型艦3隻の追加発注契約を締結。インドネシアの潜水艦戦力は強化される方向に進んでいます。
Image:インドネシア国防省
(咲村珠樹)